全国大会に出ながら甲子園で試合していない学校　（沼津東高校・旧制沼津中学）

掛川球場での第二試合は「沼津東ー浜松東戦」。

１塁側：　沼津東。略称「沼東（ぬまとう）」。

アイボリーユニに濃紺基調。胸には筆記体で「Ｎｕｍａｚｕ」。

実は今回の遠征はこの学校が目当てでした。

この学校は「全国大会に出場しながら甲子園で試合していない学校」としてマニアにとっては見てみたい存在だったのです。

沼津東が夏の全国大会に出たのは１９４６年（昭和２１年）の第２８回大会。戦後最初の大会でした。終戦から僅か１年で復活したというのは驚きですね。

しかし当時は甲子園がＧＨＱによって接収されていた為使用出来ず、会場は阪急西宮球場になっていました。（甲子園での開催復活は翌年。）

当時はまだ学制改革前だったので校名は「沼津中学」でした。その後「沼津第一高校」となり、更に後年現在の「沼津東高校」になりました。

１９０１年（明治３４年）創設という非常に古い歴史を持つ伝統校で、特に有名なＯＢとしては作家の井上靖氏が居ます。

沼津東（沼津中学）が全国大会に出たのは戦後のこの一回きりだったので同校は未だに甲子園で試合していないわけです。

あるマイヤキューさんが「全国大会に出場したのに甲子園で試合していない学校」について過去詳細な日記を書かれています。なので私は今回現地レポへと走ったのです。（雄さん、出番ですよ。笑）

＜追記＞

「全国大会に出場しながら甲子園で試合をしていない学校」の内、私が球場観戦したのは今回で４校目になりました。下は観戦順。

１．宇治山田　（三重）　：　豊中グラウンドでのみプレー

２．国泰寺　　（広島）　：　豊中グラウンドでのみプレー

３．明　善　　（福岡）　：　豊中グラウンドでのみプレー。第４回大会（鳴尾）は米騒動で中止。

４．沼津東　（静岡）　：　西宮球場でのみプレー

３塁側：　浜松東。略称「浜東（はまとう）」。

白ユニに濃紺基調。胸には筆記体で「Ｈｉｇａｓｈｉ」。

こちらは１９７０年代に創設された県立校。あまり予備知識はありませんが、ダンス部が有名な学校のようです。

それにしても祝日だったとはいえ両校ともかなりの応援団でした。特に浜東にはブラバンだけでなくチアまで居ました。

関西での地方大会の初期（１～３回戦頃）はごく一部の学校の試合を除きスタンドは空いているのですが、関西圏以外の都道府県では大会初期といえども全般的に観客や応援団が多いですね。

どうも関西人は甲子園が近いこともあってか感覚的には「高校野球イコール甲子園」になっていて地方大会にあまり関心が無いのかもしれません。

大阪や兵庫ではＴＶ中継などもあまりやっていませんしね。（大会終盤のみ中継。）

かなり前置きが長くなってしまいました。試合の話を。（汗）

初回、浜東はいきなり１死満塁のチャンスを掴みます。

沼東は初戦で強豪「聖隷（せいれい）クリストファー高校」を倒していたので私は当然同校が優位と思っており、これは予想外の展開でした。

しかしこのピンチを沼東が併殺で無失点に切り抜けたのが結果的に大きかったと思います。逆に浜東は相手の出鼻を挫いて慌てさせるチャンスを逃してしまったわけです。

その裏、沼東は打線が繋がりいきなり３点先制。優位に立ちます。

更に２回裏に２点、４回裏には一気に７点を奪って完全に主導権を握りました。

浜東も３点返して５回コールドは防ぎましたが、投手が打ち込まれ、さらに送球エラーが多かったことが大量失点に繋がってしまいました。

劣勢で苦しい浜東。しかし攻撃では常に積極的な姿勢が見受けられました。

最後まで見たかったのですが、第一試合が延長１５回の長丁場だった為に時間切れになりました。５回表終了時点でやむなく帰路へ。

結果は１２－３で沼津東の７回コールド勝ちでした。

近年野球部に力を入れているクリストファーに勝った沼津東。

この夏どこまで勝ち上がれるでしょうか？

（追記：次の３回戦で清水西に敗れてしまいました。）

昨今は強化した私学が公立を圧倒するケースが多い各地の高校野球。でも個人的にはいつか思いもかけぬ公立が奇跡の躍進を遂げて甲子園にやって来ることを期待しています。

「甲子園は素晴らしい場所。しかし甲子園出場だけが高校野球の全てではない」これは私の根本的な考えです。

しかしその反面、「願わくばその土地に生まれ育った選手が多い公立校に『真の地元代表』として甲子園に出てきて欲しい」と願う気持ちは強く持っています。

全国各地の地方大会に行く時、「なるべく公立で知名度の低い普通の学校か、あるいは公立の古豪の試合を見たい」と思っているのはその気持ちの表れでもあります。