山陰放浪記〜小泉八雲と松江北高

  • 仲本
    2011年08月03日 22:01 visibility635


(小泉八雲記念館の入口にある、尋常中学校の礎石)
松江に着いた。

午前中は雨だったので、歩かなくて済むように松江城の堀沿いにある小泉八雲記念館と旧居に行ってみた。もともとこの日は試合観戦の予定はなく、普通に観光する日である。

小泉八雲。本名をパトリック・ラフカディオ・ハーンという。ギリシアで生まれたが小さいころに両親と離別。以後預けられた親類も破産の憂き目に遭い、単身アメリカへ渡った。文筆で身を立て、日本に来たのも特派記者としての取材行だった。ところが版元との契約がこじれて絶縁する。アメリカ時代に新聞記者稼業のかたわら文学に手を染めていたのが幸いしたか、明治日本で教師の職を得ることができた。1890年、島根県尋常中学校の教師として赴任する。

ハーンの松江滞在は1年3ヶ月と短かったが、この地の風光から大いにインスピレーションをうけた。生涯の伴侶とも出会った、まさに運命の町だ。

さて、その島根県尋常中学校、現在は松江北高校という名前になっている。校舎は八雲記念館の裏山をちょっと上ったところにある。ハーンゆかりのこの学校、実は地方大会皆勤校の一つでもある。しかし坂の上のどん詰まりなのであたりを巡るのもままならない。仕方なく坂を下った。

お堀のほとりの土産物屋兼食堂で出雲そばを食べていると、堀川めぐりの小船が見えた。雨も小降りになってきたし、お客さん乗っていくといいよ。ここから5分で船着き場だから。土産物屋のおばさんに言われるがままに歩いて行くと…、














道沿いにグラウンドがあった。なんと「松江北高野球場」のプレートがかかっているではないか。観光お堀めぐり船着き場のすぐそばに、実は第二グラウンドがあったのである。雨で水たまりができており、人影はない。松江北高野球部は松江中学時代に全国大会に3度出場。2002年の選抜大会に21世紀枠で55年ぶりの復活出場を果たしている。

ひとしきり写真を撮ってからお堀めぐりの船に乗った。定員10人ほどの小船でゆるりと松江城の外堀、内堀を巡る。約1時間弱の遊覧となる。
城から宿に向かう道すがら、宍道湖のほとりの公園に石碑が立っているのを見つけた。ハーンの「神々の国の首都」の一節が書かれている。

”私も方々へ巡礼の旅をしなければならない。この市をぐるっととりまいて、みずうみのかなた、山々のあなたに、いつからともなく古い神聖な場所があるから。”

…。

まこと、島根は不思議の国である。皆勤校めぐりという名の巡礼の旅は続く。













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