野球読書日記「捕手論」
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こじっく
2022年12月04日 10:41 visibility347
この本、発行されたのが2002年のプロ野球開幕直前なので、登場する捕手の顔触れは確かに新しくはないです。
しかし、本棚に残しておいて良かったな、と思うのは、日本で捕手経験のなかった若者がアメリカマイナーリーグの球団に入り、捕手を任されたエピソードが章ひとつをまるごと使い紹介されてる章が読めることです。この事実から改めて捕手に求められる資質や役割を考えるのが目的です。
「コーチには以下のことを指導された。
『三塁ランナーの突進に対して、左足の爪先をラインに合わせ、三塁方向に向けるというこ とを教わりました。 左膝がサードに向いている状態です。その体勢で野手からの返球を受け ると、右足で踏ん張ってランナーの突進を待ち受ける。こうすることによって、膝の怪我を 防止できるんです。もし、左膝が内側に入っていたら、横からぶつかってこられたときに大 怪我をしますからね。ブロッキングの方法としては、相手より重心を低くして、下から突き 上げるように迎え撃てと言われました。なにせ、あちらの選手はアメフト風のタックルを仕 掛けてくる。ダンプカーが突っ込んでくるようなものです。そりゃ、恐怖感はありますよ』」(156頁)
いきいきした語り口から、アメリカで成功しようという意気込みや、捕手というポジションの面白さを伝えようという熱さが伝わる様です。
この若者の名は佐藤隆彦。
後に日本でプロ入りし、登録名をG.G.佐藤として活躍しました。しかし日本では一塁手、外野手としての出場しかなかったこともある意味で興味深いと思います。
この本で冒頭を飾ったのは当時の球界ナンバーワン捕手、古田敦也さんでした。
今、同じテーマで本が出るとすれば、最初に紹介される捕手は甲斐拓也選手でしょうか。それとも中村悠平選手でしょうか。
そんなことを考えながらページをめくると、プロ野球の歴史が流れている実感とともに、「打てて守れる」という理想の捕手がいかに稀有な存在かという事実を改めて思わされるのです。
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