若い人たちの中でやっていく懸念

  • 虎男
    2017年12月04日 11:22 visibility372

私はプレイングマネジャーであり、チームの仕事一切をやっているから気にしていなかったが、ある時助っ人で来ていた人と試合後に話をする機会があって、面白いことを聞かされた。この話は中年草野球プレイヤー、しかも「俺は生涯現役草野球選手でいる!」と言う目標を立てている人たちにとって辛口で厳しい意見だ。

 

助っ人さんは20代後半の男性で、私が56歳の今年のシーズンの自チームの活動に対して一度も欠席をしていないことを告げると「凄いですね。」と言う一言が返って来た。そして、彼の話が始まった。「うちのチームでもいますよ。50歳を超えていて、チームの中で浮いている人なんですけどね。あまりコミュニケーションもとらないし、無口だし、だいたい僕らのチームはネットで集まった人間が大半ですが、チームの選手平均年齢は20代中盤です。その中に50代の人が後から入ってきて、無口でコミュニケーションもとらないとなれば浮いて当たり前ですよね。でも、その人に一度「何歳まで野球をやるつもちなんですか?」って聞いたら、「死ぬまでやりたいね。」って言葉が返って来たんですよ。びっくりしました。」私は、そこまで話したところで彼の話を遮って「どうして、びっくりしたの?」と聞いてみた。すると「その人、野球の技術が全くないんですよ。僕らとしては人数がいれば良いって思って、入部の問い合わせに来た時には皆で大歓迎してたんですが、こちらから色々質問しなければ、黙っているし、我々が楽しく会話している時には、どこか離れたところでバットの素振りしているなんてことばかりで、あの人はチームで野球の試合を個人で協議するために入って来たって感じなんですよね。居心地も悪そうだし。試合の後に軽く飲んでいきましょうかと誘っても一度も誘いに乗ってこないし。最近では、チームの連中で彼が来ると、楽しく雑談していても、それをいきなり中断してしまう感じになります。それでいて、守備をやらせればエラーの多いこと、僕らとしては、年配者なのであからさまに注意もしたくないし、敗戦の原因になるような守備が多くて頭を悩ませています。だから、僕らは「おにもつさん」と影であだ名をつけているんですけどね。」

 

「だったら、守備でも打撃でもチームを引っ張れるくらいの技術を持っていれば、そんな陰であだ名をつけられないってことなのかな。だけど、なぜ彼がそれほどまでして若い人のチームに入ってプレーをしたいのかな?」

 

「彼の自宅から近くに、我々が頻繁に使うグラウンドがあると言うのが第一の理由だと思います。だけど、野球を連盟や大会の試合をやっているチームに技術も無い中年の選手が入ってくるのは、足を引っ張るだけじゃあないかなって思うんですよ。僕なら、むしろ50代の人のチームに入りますね。」

 

「悪いけど、簡単に50代の人たち中心で構成されているチームを見つけるのには、本当に苦労するはずだよ。なぜなら、ネットですら簡単に見つからないんだもの。そう言う風に言われたら、50代の人たちは野球を楽しめる場所が無くなっちゃうよね。今、はやりの排除ってやつか。」

 

「生涯一草野球選手って言いたいのであれば、それなりの技術が無いと、若い人たちのチームでやっていこうと考えたら、お荷物扱いされますよ。むしろ、連盟や私設リーグでやらないようなチームさんの中でやるべきでしょう。そして、同じような年齢であれば、お互いの年齢を考慮されるわけですから、エラーだって笑い話の一つとなりえるわけですからねぇ。でも、入部してくる前に僕らのチームは勝利至上主義チームで真剣に優勝を狙う事が目的のチームだってことを説明したにも関わらず、地域的な事が第一理由で入部を決めて来たのは、無責任さを感じますね。」

 

「本当にそう思っているとしたら、それは君だけじゃあないの。君がそう思っていてチームの他の人たちは違うかもしれないよ。ぎりぎりの人数だったところに彼の活動への出席があったから試合がきちんと成立したってことだってあるんじゃあないの?そういうことがあったことも忘れているんじゃあないのかな。その出席がものすごいチーム貢献だって考えられないってところが、まだ若いんだろうな。それと技術が低いから野球をやっちゃいけないって言うなら、なぜ彼に本気で言わないんだよ。本気で野球やっているって言うのであれば、〇〇さん、あのエラーは捕球できるボールですよ。もっと練習しないと、僕らの目的とする野球とかけはなれた野球をしなければならなくなってしまいます。なんとか技術を揚げる努力をしてくださいって俺なら言うな。だって、それを言うだけのことと、試合に勝つことと比較したらどっちが難しいんだよ。」

 

「言われてみればそうですね。僕は偏った見方をしているかもしれません。本気で勝ちに行くチームなら、チーム内で起こったことに関して傍観しないで、真剣にここを改善しようと意見を戦わせるべきでした。次回、そういうケースがあれば、勇気を出して言ってみます。」

 

「それがいいよね。そして、本当に技術の無い50代の人も真剣に考えてくれると思うよ。俺はこのチームの方針にあっているのか否かをね。でも、考えさせられる話だったよ。50代後半の俺としては、チーム貢献と言うことで年齢が行くってことはスタミナや技術、気力、そしてコミュニケーション力も含めて「引退」すべき時が近づいているってことをね。だから俺みたいに「野球に固執するための抗う精神力」を持つって言うのも生きるためのエネルギーとしたいって希望があるんだけどさ。」

 

野球をシンプルに考えれば、老兵は去れなのかもしれない。つきつめて考えれば「勝負の世界」にいるわけで、チーム貢献ができなくなった年齢でチームに選手としているのは、若いプレイヤーたちにしてみれば「迷惑」と言う部分がクローズアップされるのは無理もないわけで、自分がチームの足手まといと感じれば潔く引退するのは道理であると思う。私にも現役で残された時間は長くは無い。だからこそ活動は休めない。監督と選手の二刀流を続ける限り。だが、私は彼との話の最後にきつい一言を言ってやった。「誰にも平等に時間は過ぎて行く。そして誰もが平等に年をとる。今の君が、その50代のプレイヤーと同じ年になった時に、君がチームの仲間たちと平気で使っている「お荷物さん」と言う影のあだ名を若い20代の連中に言われてごらん。その時の悔しさ、さみしさ、やるせなさを君も同じように味わうんだよ。それが人生なんだ。忘れないでいて欲しい。」

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