千葉ロッテの地域密着モデルとはなんだったのか6


千葉ロッテの地域密着モデルとは何だったのか 5 の続きです。

■球団自身が経済基盤を持つ
「地域密着を図るためには球団自身が経済基盤を持つことが大事」と荒木執行役員はお話をされました。
ここでサッカーのJリーグと野球の違いについての話が出ました。
「元々サッカーと野球ではアプローチの仕方が違いました。
だから今までは球団から赴いて応援してくださいといっていたのですが、
これからは出て行くのではなく、地元の方々と一体となって頂きたい、
観戦ではなく、参戦して欲しいんですね。」

■戦うことを略すこと、「戦略」
「首都圏球団として戦う・・・ご存知のように首都圏には中央に讀賣ジャイアンツと東京ヤクルトスワローズ、横浜には横浜ベイスターズがあり、同じリーグには埼玉に西武ライオンズがあるのですが、セントラルリーグは新聞社あり、テレビ局の中継があり・・・という我々にないものを持っている。
特に讀賣さんと戦ってもビジネスで勝つことは難しい。
戦いを略すこと、つまり差別化する戦略を考えようというところになりました。」

テレビ局アリ、接待用の年間指定席が多数存在し、
ビジネスの中心、大手町からも程近い立地条件もよい場所と同じ土俵で千葉ロッテがまともに勝負しようとしても勝てないと・・・。





















■キーワードは外部作用と「場」下町
□外からの人材
2005年から40人もの人材を入れました。
サービスの創造は「人」がつくる、プロを覚醒させる仕掛けとして
旧態然の組織のころから居る人と、新しい人材を外部から入れることによって化学反応を起こして職場の活性化を図りました。

職場もよくなりましたし、将来的には地元の学校や大学を出た人を対象に就職説明会だったり試験を行いたいとも思っています。
去年のドラフト会議で1位指名した成田高校の唐川君なんて究極ですね。
彼のように地元で育って学んできた学生をロッテが入れることによって地域のモデルとして作りたいと思っています」











□場下町=誇り
城下町というのは普通「城」と書くのですが、
ここではかつての城下町同様、球場周辺の幕張ベイタウンなども含めて「場下町」として、
サービス+話題性+効果的なメディアを使ったプロモーション
の3セットを現場で仕上げました。

そして今まではチケットの単価で球団経営を考えていましたが、
04年からは「客単価」の概念を入れました。

そして2006年以降、当社(千葉ロッテ)は千葉マリンスタジアムの指定管理者(地方自治法244条2項参照)になりまして、
観戦からハード、ソフト、そして人によるサービスのトータルが来場経験になるフロー(流れ)を考えました。
チーム・ファン・フロントの三位一体モデルで観戦することから参戦する、一緒に戦って欲しいと思っております。

2005年の6冠(交流戦優勝、パリーグ優勝、日本シリーズ優勝、アジアシリーズ優勝、イースタンリーグ優勝、ファーム日本選手権優勝)というのもファンの後ろ盾があってこそですし、
26番を永久欠番にすることでファンもチームの一員であるというのを示しました」

※無料券で来るお客様も居るので、飲食店の売り上げなども総合的に含めてそれを客数で割る形の算定方法に変えたということですね。


















■縦軸から横軸へ
そこで、ファンクラブのTEAM26という組織をつくり、ファンと球団が2ウェイになるシステムを作るべく、球団側では「カスタマーセンター」と「コールセンター」、そしてインターネットでも声をやり取りできる「Voice26」というものを作りました。

単に観客動員数だけで物事を図るのではなく、
観客動員数かける滞留時間で計算する・・・
それは今まで線だけで追いかけていたものを面へ発展させることで
より多くのビジネスチャンスが存在していることになります。
勝ちを価値にするブランディングすることで、
不確実性を確実に変えていくことが出来ます。

商品ブランドも「チーム」という企業ブランドであり、
選手とスタッフが一体となって試合を作る・・・
これにはそれぞれマーケティングのやり方が違うんですね。

球団は一人の選手に拘ってしまうと突然の怪我や移籍などで球団としての勝敗の成績や観客動員数などでの数字も左右されてしまうので、
マスメディアには話題性を使って報道させることが大事だと思っています。
それだけでなく独自のメディア・・・特にコミュニティー向けのメディア(インハウスメディア)を作ることや(Marines.TV)、アライアンスメディアと提携を今年から行い(BSデジタル12チャンネルのTwellviのこと)、展開を図ることにしました。


















■地域密着から融合へ

「サッカーの話に戻りますが、サッカーと野球は出来た経緯が違うんです。
サッカーはJリーグをはじめますよーといった時にクラブチームはなかったんです。
ですからチームを作る条件や理念にホームタウン制を盛り込み、プロチームが市民と行政と一体となることでスタジアムだったりチームが地元の公共財になることが条件で要望が強いところに手を挙げて貰い、リーグを作った。
プロ野球はあらかじめ球団やスタジアムが存在しててリーグを作った。
ところが04年の危機以降、チームサイドから人気低下をした結果、
マーケティングとして地域密着という言葉を言い出したんですね。

なのでこれからは地域密着というよりも「融合する」ことを目標にしています。

■融合
パシフィックリーグというのは北は北海道から南は九州福岡にときれいに分かれていて、競合することが少ない。
だったらチーム外でお互いに頑張りましょうということで昨年5月に
パシフィックリーグマーケティング(PLM)という会社を共同出資で立ち上げました。
最初はプロ野球24として4球団が共同して中継した試合を形態に配信するサービスを行っていたのですが、オリックスなどを加えた6球団で来シーズンからヤフーで全試合みられるようになるなどがあります。
PLMはすでに「ヨドバシカメラ クライマックスシリーズ」としてスポンサーを独自に呼び込んだりして成果を上げております。


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Jリーグ世代の人間としてはあの時代のことをよく思い出すのですが、
鹿島などは「ジーコのリーダー論」なんて読んだ時はその練習設備の貧弱さとレベルの違いにギャップを感じたそうで、実際NHKの特集でしょうか。
現在の茨城県鹿嶋市というのは「陸の孤島」と呼ばれ、住友金属内では鹿嶋への「転勤拒否」なんていうのも有ったぐらい、何もなかったところだそうで。
今では県庁所在地の水戸ホーリーホックのほうが勢いが小さくて、
鹿嶋のほうがビッグクラブになってしまいましたからね。

次回は場下町としてのマリンスタジアムの変化とは何かという話で
今までのおさらいのようですが、書いていきたいと思います。



































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