「バスの規制緩和とツアーバス問題について」
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あおいちぱんだ
2007年02月21日 04:23 visibility1295
日本遠征学会 緊急寄稿「バスの規制緩和とツアーバス問題について」 先日、悲しい事件が発生した。「スキーバス衝突、添乗16歳死亡 スキー客26人重軽傷(毎日MSN)」 http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/jiken/news/20070219ddm041040031000c.html 道路運送法が改正され、観光バスが許可制になったことから東京・大阪間をはじめとした主要都市間を格安で結ぶツアーバスが次々と誕生した。しかしながら、以前からもこういったツアーバスではエンジントラブルによる車両火災や物損事故などがあったりと「いずれ・・・」と思われていたことが現実になってしまった形である。国土交通省 「今後のバスサービス活性化方策検討小委員会(第2回) 議 事 録」(pdfです)http://www.mlit.go.jp/singikai/koutusin/rikujou/jidosha/bus/02/images/060424.pdf 観光バス労働者のページ 2006年 http://www.yuiyuidori.net/atu/bus_jikyo/bus_02.html ■何故、安くできるのか?やはりこのツアーバスの魅力は価格である。一般のバス業者とは1000円以上違う場合もあり、これに多くのユーザーが吸い寄せられ爆発的にヒットしたのもうなずける。 しかし、なぜこのように価格が安くできるのか?・規制緩和による参入(詳しくは後述)・インターネットなどによる取り扱いで旅行窓口のコストが低く済む・チケットを不要とし、発券にかかるコストを抑制した・バスの収容力をギリギリまで上げた(薄利多売方式) 従来のバス業者であれば、駅やその周辺などの一等地に窓口を構え、取り扱いを行っていた。インターネットの普及によって、駅地下の一等地にオフィスを構える必要はなくなったこと、また、パソコンによる受付や顧客管理など、多くの従業員を必要とせず、人件費の抑制が図れたことなどが考えられる。 また、本来ならばバスのきっぷに関しても、既存バス業者がコンビニや旅行代理店などで購入する時の発券手数料が価格に上乗せされている一方、ツアーバスではパソコンを使用し、きっぷ代わりの証明書は各ユーザーがメールをプリントし、持参してもらう。本来代理店に支払う必要がある手数料が発券の必要もないことから限りなくコストをゼロにすることが出来る。 また、バスの収容力でもトイレを付けずに2+2の狭い座席で多くの人数を乗せ、予備座席を殆ど設けない形で運行する薄利多売方式によって利益を最大化する方式をとっている。その一方で運行事業者も中古のバスや海外(特に韓国など)の格安バスを使うことでコストを削減している。 ■規制緩和で何が変わったのか? いままでは各バス業者共に相次ぐ参入やダンピングなどの過度な競争による「共倒れ」を防ぐべく「免許制」になっていた。しかし、通称白バス(無免許営業)業者問題や既存業者による独占価格を防ぐこと、新たなビジネスの創出のために、00年に規制緩和を行った。そこでいままでは停留所一つ置く(動かす)にしても国交省への申請が必要であり、莫大なコストがかかっていた既存高速バス業者を尻目に、バスツアーとして東京ディズニーランドやユニバーサルスタジオジャパンなどへ格安で向かうバスの運行を始めたのが最初である。ここから東京駅や大阪駅、京都駅などの主要都市の中心駅に途中下車をし、都市間需要を開拓する業者が出、ツアーバスによる都市間輸送への相次ぐ参入が見られるようになった。 既存バス業者だけでなく、晴れて緑のナンバーになった元白バス業者に加えて公共事業に対する世間の目から、ダンプを所有していた会社が観光バス事業に切り替える場合も多く、既存バス業者・白バス業者・元公共事業のダンプ会社などによる過当競争が背景にある。 このことに関して詳しく乗っているのは「北海道観光研究所 北杜の窓」における「楽天なども参入 激安ツアーバスについて語る」 http://www.hokutonomado.com/cgi/mt/mt-tb.cgi/762 (2月21日現在のURL)に載っております。参考までにご覧ください。 北海道内で元公共事業関連が3割ということは首都圏に範囲を広げれば結構な割合になるだろう。さらに地方の事業者になれば成る程、人件費が安く付くし、足元を見られる場合が多い。 ※参考にCassipoea Sweet Daysの「会員制ツアーバスと路線バスの確執」で観光バス業者のコスト計算をされていらっしゃいます。 http://ap.bblog.biglobe.ne.jp/ap/tb.do?newsid=f52be46627 (2月21日現在のURL) 今回の事故では・家族経営の零細企業であり、4台のバスを社員全員の6人で運行していた。(従業員のなかで大型免許を持っている人間が何人なのかは不明だが、数字からしても明らかに過酷な労働環境であるのは素人目にもわかる。そして事故を起こした長男も21歳と大型免許取り立てであった。)・大型免許を持っていないものの、契約上の数合わせとして三男を添乗員として勤務させた(労働基準法違反)ことが大きな要因になっているものと思われる。 佐久間 充氏のベストセラー、「ああダンプ街道」という本がある。ご存じの方も多いかと思われますが、千葉県の君津市における山砂をダンプカーで運搬する際に出た粉塵被害に関する調査からその加害者となっているダンプの運転手が、安い賃金でこき使われていて、でもそうやらないと食っていけないという真実が分かったドキュメントである。 バスの衝突事故が分かっていく度に、この本と重ねてしまう。そして、20数年前の出来事と、事情は変わっていないのではないだろうか。
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