ジェラシー

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    2007年07月31日 01:06 visibility28

「西武が松坂のくじ引いた」

  部活から帰りトビラを開けると母がこう叫んだ


  まだ携帯電話を持っていない中学生のときの話

  横浜高校のユニフォームを着て投げる松坂を見たのがそのときの夏

  暑さにもうろうとしながら

  気がついた

  スコアボードが示す「怪物」

  6−0

  記憶に残っているのは

  最後の1球だけ

  高めに抜けた速球が頭から離れない

  その松坂が西武に来るんだ。。。。。。




  でも、西武の松坂の大ファンにはなれなかった

  100以上の白星も

  勝負どころで何度も目にする背番号「18」も

  俺にとっては西武ライオンズという恋人の一部でしかなかった

  松坂がレッドソックスに移籍しても

  何かドライにとらえた自分

  それはオトナになったから?

  違う


  松坂へのジェラシー


  甲子園を連覇して

  西武に入って

  女子アナとくっついて

  日本のエースと呼ばれて

  そんな松坂にあこがれとは違う

  ジェラシーを抱いていた


  松坂が勝つことは西武が勝つこと

  何か手の届きそうな

  西武ファンの俺にとって頼れる存在だった松坂が

  今はアメリカにいる

  もう松坂は手の届かない存在になった



  深夜に松坂の姿を見て

  いつもと違うユニフォームと

  変わった表情が

  俺を悲しくさせた

  遠くに行ってしまった松坂が

  異国の地で見せる笑顔は

  俺をドライな感情にさせてはくれない

  俺は

  松坂に恋していた

  そして


  俺はまたひとつ大人になった

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