今年の桑田を検証する
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DIME
2006年09月24日 21:38 visibility116
いつものように、読売巨人軍のHPへのリンクも。
http://www.giants.jp/G/eastern/eastern_20060924_01.html
http://www.giants-venus.net/eastern/9-24.html
3495人ということでした、これ用意したチケット枚数だけの話で、入りきれない人が近くの高台に鈴なりになっていたり無理矢理球場に入り込んでいたり。もっといたのは間違いありません。
単なる感想などは日記の方で書き連ねています。http://baseballsns.jp/member/437/diary/2883/
こっちは今年桑田を見てきた上での検証をします。
○桑田真澄について
もう今日は桑田真澄にしぼって話をしたいと思います。
まず、私は自分の日記上で桑田について以下のように評価していました。
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2軍に関しては「好投を続けていた」という趣旨の報道が多いです。しかし実際に何試合か見ていますけど2軍レベルに対して技術を駆使して何とか抑えているというのが実態で、たまに投手にさえジャストミートされていたりします。
私の見立てとしては今の球ならば2軍ならその経験もあって抑えられるだろうけど、1軍ではちょっとミスしただけで簡単に長打を打たれるだろうと思っていますし実際そんな数字(被本塁打)も出ています。この傾向は02年の最後の活躍以降ずっと続いているものですからやはり1軍じゃなぁ。。。って思ってしまいます。
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今日も改めてみまして、正直今年の中でも良い方だと思いましたがやっぱりその評価は変わりませんでした。
○オールスター以降の観戦
振り返ってみると、自分でも気づいていなかったのですが、8/1(@G球場)、8/12(@神宮)、8/21(@東京D)と今日9/24でオールスター戦以降、後半戦の桑田の試合は全部生観戦していました。桑田がジャイアンツ球場での登板が多い(ベテランは遠征あまりいかない)&私がジャイアンツ球場観戦が中心という関係上こうなったのかと思いますが、私後半戦は全ての球場あわせても10試合ぐらいしかいってないのでちょっとびっくり。
ちなみにオールスター前の登板は7/15は観戦予定だったけど天気が悪かったのでG+で見ることにしたら、スコールのような大雨で2回ノーゲーム。その前が6/29(@宮城)でこれも本当は見に行くはずだった試合(この時は桑田は栂野だったかが上に緊急で上がったために繰り上げの緊急登板で、私の目当ては相手の岩隈でした)とほんと今年は因縁めいていました。
http://www.giants.jp/G/eastern/eastern_20060801_01.html
http://www.giants.jp/G/eastern/eastern_20060812_01.html
http://www.giants.jp/G/eastern/eastern_20060821_01.html
8/21の試合は怪我があったので評価から外すとしても、8/1・8/12・9/24の3戦をみた内容で話していると考えていただければ結構です。
○桑田真澄 評価
私の見立てとしては、「スタミナがない」・「球威がない」の2点が今の桑田の問題だと思います。
まず直球に球威が無いので失投をすると打者に関わらずジャストミートされてしまいます。こうなってくると桑田のキレイなフォームが逆にあだとなるというかあまりにキレイに球が来るので合わせやすいのかもしれません。これが非常に深刻で8/12の試合でも触れているピッチャーの高木に打たれた2塁打というのが野手顔負けのあたりだったように記憶しています。この記憶が鮮明にあるので上の日記にもそれを書き記しています。
でもその球威でも抑えてしまえる理由はひとえにコントロールのよさにあります。「ベルトの高さ」から上には直球がまったく来ません、多分いいときはベルトの高さどころかストライクゾーンのボール1個分ぐらいで球の出し入れが出来ていると思います。そのコントロールで球種に関係なく両サイド低めへどんどん投げ込みストライク先行のカウントを整えていくのが今年の彼のピッチングスタイルになっています。
今でも良い時のコントロールに限れば巨人の投手の中でも上原浩治あたりと並んでトップクラスでしょう。ただ上原と違うのは繰り返しになりますがちょっとでもコントロールミスをすれば打者が打ち損じない限り投手でもジャストミートできてしまうほど球威がなくなっていることです。
じゃあいつまでコントロールが乱れないのかというと、だいたい打線2周りが限界です。
・8/ 1:3周り目の1番からの打順の5回にクリーンアップに打たれ3失点。
・8/12:2周り目の5番に本塁打、3周り目の上位打線に入った5回にもう1点失って降板。
・9/24:3周り目の3番から始まる好打順だった7回に4失点しています。
もちろんこのあたりで打たれること自体は先発投手の負けパターンとしてはある意味標準的な例のうちですが、よくある負けパターンの理由が桑田にもあるといえます、それがスタミナ切れです。
桑田の場合は具体的にどうなるかというとこればっかりは映像で実例示さないと伝えようがないのですが球数が70球を越えてくる頃から(今日は6回までで73球でした)、スタミナが切れてきて球が上擦り始めます。今日もそうでした。もちろん桑田ほどの投手になると肩で息をしたりなんてことはしませんのでもしかしたら肘・肩にでも痛みが出てくる可能性もありますが(追記:9/24の試合では7回に指のマメをつぶしていたそうです。)、ほぼスタミナ切れだと思います。
そして事前に指摘したように打ちごろの位置に直球がきたら今の桑田の球威はプロクラスの打者ならよほど打ち損じが多い打者じゃないかぎり簡単に打ち返してきます。
手元に打席ごとのデータがあるのが8/1と9/24(今日)だけなのでこの2つを例にしますと
8/1の試合は5回被安打9、そのうち4本が5回に長打3本(2塁打×2、3塁打×1)はいずれも5回
9/24の試合は7回被安打8、そのうち5本が7回に、長打2本(2塁打×2)はいずれも7回
という感じで相手側にビッグイニングを与えています。
以上より現在の桑田に対する私の評価は、「少ないイニングの先発(長くて5回)」或いは「(連投のない)ロングリリーフ」としてならば十分1軍クラスでも何とかなる。しかし長いイニング或いは連投などスタミナが切れる状況を作ってしまうと、2軍とは比べ物にならないほどバッティングの精度が高い1軍では満足にアウトを取るのも難しくなることさえあると思います。
残念ながら2軍レベルでいいところだけをみて6回までは1失点だった、という気にはなれません。全部無失点に抑えなければ意味がないし、これまでの投球も同じように最後に力尽きて失点していて改善がないからでもあります。
○チーム戦力とのミスマッチ
翻って現在の巨人を見たときに、先発候補は上原浩治・パウエル・内海哲也を中心として残り枠を争う投手が姜建銘・西村健太朗・野間口貴彦・工藤公康・木佐貫洋といて、また三木均・栂野雅史あたりも2軍から抜擢される可能性もあり、駒だけは非常に豊富です。またこの駒の多くを占める若手を積極的に使って戦力になるか見極める必要も同時にあります。
その中で先発したとしても長いイニングを任せるのは難しそうな桑田を使うのは若手起用を圧迫し中継ぎ・抑えを圧迫することになります。若干整ってきたとは言え中継ぎ・抑え陣の弱さはそう簡単に改善されることは無いでしょうから、先発にとって「長いイニングを投げられる」能力は2番手以降が豊富な球団よりも巨人は重視しなければいけません。
また「ロングリリーフ」というポジションは基本的には負け試合での登板が多くなりますので、最近ならば野間口・西村などが担っているように、将来の先発候補が1軍で経験をつむために使うべきポジションです。ここにベテランを入れてしまうと若手が1軍で投げるチャンスが少なくなり結果としてこの数だけは豊富な若手をうまく処しきれなくなります。
今の巨人では先日の日記で示したとおり若手右腕が飽和状態にあります。これをうまく開花させて投手王国にするのか、誰も彼も泣かず飛ばずで有望選手の墓場にするのかはこれから数年のこれらの若手投手の経験と成長にかかっています。実戦に勝る経験はありません。経験無しで成長するのはなかなか難しいことです。やっぱり巨人の現状が桑田のようなベテラン選手を抱えることにむかなくなっています。
この状況は桑田本人も当然わかっているでしょうから、報道にあるような発言が出てきたのでしょう。
私は他の球団ならまだ可能性は残っていると思います。今の彼の特性を生かした場所を与えられれば一定の活躍も見込めると思います。
ただ今の彼の能力は巨人の戦力とミスマッチしてます、残念ながら。「だったらマッチする球団に移ってやれるだけやりたい」というのが彼の意思であるならば、快く送り出してやるのがエースに対する球団の責任だと思います。
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- 事務局に通報しました。
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