補強と育成の両立が巨人の方向性

  • DIME
    2011年11月22日 00:39 visibility1123
ちょっとまとめのような話をしておこうかと思います。
その前に雑感ですが、どうも世間での評価は「清武氏のGMとしての手腕はNG、しかし社内人事に関しては渡邉氏の手法はNG」という論調が主流みたいで、個人的に真逆の意見である私としては首を捻るばかりです。
世間一般ではナベツネ=悪というレッテルだけが先行してしまって、中身を客観的に判断していない(このあたり、前回衆院選での民主党への評価とか、直近の大阪のダブル選挙の評価とかに似てる気がします)ように見受けられます。


【補強と育成は両輪であるということ】
で、昨年の内容について改めて日記のログを見ると今年と同じようなことを書いているんですよね。
一部抜粋すると「今年は監督で負けている気がしてなりません」とか(笑)
あと、「今年の攻撃側に関する問題点の原因はたぶんこの「人数不足=特定の野手への偏り」に収斂していくのではないかと予測しています。」とかもそうですね。小笠原・ラミレスを念頭においた発言だったのですが、それでも今年のは予測の範疇外でしたけれど。

で、そこでも指摘していたことですが、ペナントレースにおいては「競ってる時点で少なくとも巨人においては戦略的に既に負け」だと私は考えています。
こういっては何ですが、多少現場が馬鹿な事をしようとも優勝できるぐらいの戦力差を創りだすのが巨人の編成の仕事であろうと。そういう意味ではここ2年の清武氏の編成手腕には十分に反省すべき点があったとは思います。
ただ、それでもリーグ最多かほとんどかわらない得失点差マージンを生み出していたので、最低限の仕事はしているんですよね。少なくともクビにするような事じゃない。
今回のことがなければ、こう書くつもりでした。
去年、今年と清武氏は育成にシフトしすぎるあまり全体のバランスを欠いてしまうという同じ失敗を繰り返した事になります。
育成を重視しすぎるのはベクトルの方向性が逆であるだけで補強ばかりで戦っていた往時の巨人とおなじ過ちを犯していることです。
2009年当時に述べたように清武氏が示した新しい黄金期「両立の巨人」への回帰こそが今の巨人には必要です。
もし仮にここでもまだ育成ばかりを追い求めようとするのであれば、清武氏は残念ながら育成に固執する余り客観的立場を崩してしまっていると言わざるを得ないでしょう。
残念ながらこのような事になってしまったので、状況が不明瞭になってしまいましたが、間違いなく言えることは、「今の巨人は疎かになっていた補強への対処が必要である」ということです。
間違って欲しくないのは、「育成を進めた清武氏の解任」→「育成重視の方針の否定」ではなく、清武氏の解任劇には関係なく「補強と育成のバランスの悪化」→「必要な補強の実施」という戦略修正が今の巨人には必要ということです

そしてこれはまた状況の違いということも大きいのですけど、外部条件と内部条件も10年、11年シーズンと比べれば、補強への条件が改善しているということもあります。
まず外部条件ですが、人的補償のマイナスを考えてでも取りに行く価値のある選手がいるかどうかという点です。杉内クラスの投手が出てくるのは非常に稀で、彼はそれに該当すると思います。
あとは村田に関してはそうは思いません、RCWINあたりで見たときにコンスタントに数字を残しているわけではないんですよね、栗原の方がよほど魅力的です。Aランクの人的補償、親会社がかわる見込み、などを考えるとリターンをあまり感じられないなというのが正直なところです。まぁ同じようなことを言っていた内川が今年大活躍したんですけどね、
次に内部条件ですが、過去2年は育成の進捗状況を考えると28人枠で明らかにプロスペクトが漏れることが濃厚でしたが、今年はある程度そのあたりのふるい分けが済んできているはずです。そして前年実績を考えればベテランも一定のところまでは戦略的に外せるはずで、比較的人的補償でのダメージが低くなるのではないかと考えられます。
もう一つですが、FA宣言選手がある程度出てくることも好材料です、単純に28人枠は減らせますからね。

今年はたぶん清武体制のままであってもある程度補強に舵を切ったであろうことは推察できました(そうでないと困る)し、今回の騒動に関係なく、今年は補強に乗り出すことが清武氏の示してきた「補強と育成を両立する巨人」という理想型に沿った方向性であるのは間違い無いと思います。



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【補強に関する雑感】

清武氏の補強への評価について「外国人の補強」という一点に矮小化されているのには大きな疑問を感じます。
選手が戦力になるかどうかっていうのはどうしてもバクチなんですから、トータルで勝ってるか負けてるのかが大事なんですよね。株取引とかと同じで。
10人補強して8人は合格点、10人全員の貢献度は得点換算で+10点、というのと
10人補強して2人は合格点、10人全員の貢献度は得点換算で+50点、というのでは
後者のほうが、成功した補強であるのは言うまでもないことなんですが、「外国人補強が失敗ばかりだった」という論調はこれを見失いやすくなってしまいます。
新外国人だろうが、他球団経由の外国人だろうが、FA選手だろうが、トレードだろうが、補強はただの補強で、そのトータルで考えれば清武氏の補強手腕にマイナスなんてつけようもないんですけどね。小笠原とラミレスなしで巨人が優勝できたはずがない。
今年の高橋、大村等のトレードにしても、同様の事例としてあげられるのが木村拓也であり、谷・鶴岡・小坂などなんですよね、ちょうど使われなくなってきたベテランを買い叩いてくるというトレードに関しては、今年の2例を加えたとしてもその辣腕ぶりは今までの巨人に全くなかった鋭さだったと思います。
全体としての補強成果は非常に高いもので、この水準を維持するのは並大抵では無理ですよ。


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【いくつかニュースについて】

高橋が自由契約での放出という形になるというニュースがありました。
これは、減額制限以上に下げる場合は自由契約にしなければいけない(双方の合意があった場合を除く)という決め事があるので当然のことだと思います。
一部報道で彼はFA補償でのBクラスというものがありましたが、たぶんCクラスではないかと思います。仮にBクラスだったとすれば、減額制限内の金額を提示しなければならなかったと思いますが、そこはビジネスなので。


菅野投手が浪人とのことですね。これで東浜とのバッティングが確定ということになります。個人的にはそう考えると社会人に進んでもらうほうが良かったのかなぁと思っておりましたが。
前にも書きましたが、「ドラフトでの一巡目指名権」というのは流動性の低いNPBにおいては非常に大きな“資源”です、機会損失を考えると非常に大きなマイナスになります。4巡目や3巡目ぐらいでリスクを張るのは理解できますが、一巡目はやっぱりリスクが大きすぎるなぁというのが印象です。
これでまた少しでも、ドラフトの形骸化が進んでプロ野球がより良い方向にかわっていってくれることを期待したいですね。
ドラフトこそが内向きで縮小に進んでしまうNPB(=閉鎖型モデル)の象徴だということを多くの人に認識してもらえればなぁと願います。

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