古典落語/二神(ふたがみ)
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おりやん
2010年02月15日 00:18 visibility362
元ネタの「平林(ひらばやし)」という上方古典落語をご存知ない方は、コチラをご覧下さい(笑)
↓
http://ja.wikipedia.org/wiki/平林
(解説)簡単に言うと「平林」という名前の人の所に、丁稚どんがお使いを頼まれるのですが、
読み方を忘れて、色んな人に尋ねるんですが、それぞれ知ったかぶりをして、
勝手な読み方をする、という古典落語でございます(笑)
では、かなり長いですが、古典落語/二神(ふたがみ)にお付き合い下さいませ。
(私的には自信作ですんでwww)
♪てけてんてんてんてん、、、。
■定吉、さだきちぃ〜!
●へ〜〜〜い!
■そこに居たか。使いに行ってくれるか。本町の二神(ふたがみ)さんとこや。
●本町の二神さん、、、へっ、よろしゅございます。
で、二神さんとこ行てどない言ぃまんねん?
■黙って聞ぃてなはれ、今日はここに手紙が書いてあるで、
これを向こぉへ持って行って、丁寧に挨拶をして来ますのじゃ、よろしぃか。
●わかりました〜、ほな行って来ます〜。
●、、、、あっ、えらいことした。歩いてる間に苗字忘れてしもたがな。
これからすぐ帰ったら何ぼ怒られるや分かれへんし、、、。
ここに書いたぁんねんけど字ぃ読まれへんしなぁ、、、。
せや、この手紙誰ぞに見せて読んでもらお、そしたらすぐに分かるやろ。
え〜ッと、どこぞに、、、あ、この人に聞ぃてみたろ。
●ちょっとお尋んねします、えらいすんまへんけどこの手紙読んでもらいとおまんねん。
えらいお易いご用ぉで。。。
◆そら何を言ぅねや「お易いご用」とはこっちの言ぅこっちゃがな……、
子どもっさん、こらなかなか綺麗ぇに書いたぁるなぁ。。。
こら上の字ぃ「に」といぅ字ぃやなぁ、下が「しん」、、、。
「にしん」と読むねんや。
●あ「にしん」でっか。で、その二神さんちゅう家、どこでっしゃろ?
◆わしもなぁ通りがかりのもんやさかい、この辺りの事はよぉ知らんねん。
見たところおまはんも使いのこっちゃろ。
間違ごぉて主人に怒られてもいかんさかい、もっぺん誰ぞに尋ねてみなはれ。
●さよか、分かりましたおおきに。
●なんや「にしん」さんやな、けど親切な人やったなぁ。。。
「間違ごぉて主人に怒られたらいかんさかい、もっぺん誰ぞに尋んねてみ」
ちゅうてなはった、もっぺん聞ぃてみよ。
えぇ〜ッと、えらいすんまへんちょっとお尋んねしますけど、
この辺りに「にしん」さんちゅう家、おまへんやろか?
★「にしん」? そんな名前、聞ぃたことないけどもなぁ。
そら間違ごぉてんのと違うか?
●今、これ読んでもろたとこでんねんけど、これ「にしん」と読むのん違いまっか?
★おぉ、手紙があるのんかいな、それこっちかしてみなはれ……。
ははァ〜、こら子どもっさん「にしん」と読んだら間違ごぉてるなぁ。
●へっ、間違ごぉてまっか? どない言ぅて読みまんのん?
★こらなぁ、上の字ぃ「に」と読んだらいかん「ふた」と読むねんなぁ。
で、下が「じん」やなぁ、、、「ふたじん」さんや。
●「ふたじん」でっか、その二神さんちゅう家、どこでっしゃろ?
★わしもそんな名前、聞ぃたことないなぁ、、、。
ここの先の四つ角右に回ったとこにタバコ屋があるさかい、そこで聞ぃてみなはれ。
じき分かると思うで。
●さよか、おおきに。
●なんや「ふたじん」さんやな。この角を回って、ここやここや、ここで聞ぃてみよ。
えらいすんまへん、ちょっとお尋んねしますけど、
この辺りに「ふたじん」さんちゅう家、おまへんやろか?
▲「ふたじん」? そんな名前、聞いたことないなぁ。そら間違ごぉてんのんと違うか?
●へぇ、いっぺん間違ごぉたとこでんねんけど、これ「ふたじん」と読むのんと違いまんのん?
▲おぉ、書いたもんがあんねやがな、それをこっち貸しなはれ。。。
ははァ〜、こら「ふたじん」と読んだら間違ごぉてるなぁ。
●また間違ごぉてまっか? どない言ぅて読みまんのん?
▲こらなぁ、一番上、これ「一」といぅ字や、その下がまた一、で下の字が、左にネや。
横にこれは申す、という時や。判るか?
そやから続けて読むと、「いちいちのねともうします」という名前や。
●「いちいちのねともうします」でっか。で、その二神さんちゅう家、どこでっしゃろ?
▲わしもそんな名前、聞ぃたことないわ。もっと先で聞ぃてみなはれ。
●あ、さよか〜、おおきに。
●ケッタイな名前やなぁ……、もっぺん誰ぞに聞いてみよか。
えらいすんまへん、ちょっとお尋んねしますけどね、、、。
この辺りに「いちいちのねともうします」さんちゅう家、おまへんやろか?
◆「いちいちのねともうします」?そら日本人か?
●日本人やと思てまんねんけど、
これ「いちいちのねともうします」と読むのん違いまっか?
◆手紙があるねんやな、それをこっち……、
あのなぁ、こんなもん「いちいちのねともうします」と読んだら間違ごぉてるで。
●やっぱり間違ごぉてまっか、どない言ぅて読みまんのん?
◆こらなぁ、一番上「いち」と読んだらいかん「ひとつ」や。
その下がまた「ひとつ」、それから下の左がネ、右に1という数字と日という字や。
これは、「ひとつとひとつでね〜いちにち」ちゅうねや。
●「ひとつとひとつでね〜いちにち」でっか、段々ややこしなってきたなぁこれ。
で、その二神さんちゅう家、どこでっしゃろ?
◆そんな名前、聞ぃたことないわい。もっと先で聞き。
●すんまへん、おおきに……、いろんな名前教せてもろたなぁ。。。
「ひとつとひとつでね〜いちにち」に「いちいちのねともうします」「ふたじん」「にしん」……、どれがホンマやら分からへんがな。
●せや!これみな言ぅて歩いたろか〜。
そしたら誰ぞ親切な人が「定吉っとんこっちでっせ」言ぅて呼んでくれるわ、そないしょ。
●え〜ッと「にし〜んか、ふたじんか、いちいちのねともうします〜、」
……、お、オモロイなぁこれ(笑)
「♪にし〜んか、ふたじんか、いちいちのねともうします〜、、ひとつとひとつでね〜いちにち。」
●何やホンマにオモロなってきた、どぉせ今から帰ったかてまた用事させられんねん。
今日は一日中こないして歩き回ったろ。
「♪にし〜んか、ふたじんか、いちいちのねともうします〜、、ひとつとひとつでね〜いちにち。」ひょえ〜ッ♪
★あっという間に人が集まってくる。
その中の一人が「何をやっているんや、お前さんは?」
●「へぇ、人を探しているんです。ところで、あなた様の名前は?」
★「私は二神(ふたがみ)だ。」
●「ふたがみ…おしい!おたくに用事はおませんわ。」
、、、おあとがよろしいようで。
♪てけてんてんてんてん、、、。
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- 事務局に通報しました。
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