消滅したリーグを記録する試みin台湾 その3 完結編
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ミオヂ
2006年06月06日 20:38 visibility458
【前回までのあらすじ】シアトルではなく、台北、新荘球場で太陽隊日本人選手の活躍を見守るミオヂ。客が少ないのに、やたらやかましい応援を楽しみつつ、中華味な弁当を喰らい、売店のおっちゃんに高橋智の行方を尋ねるも、すでに帰国している事を知らされる。がっくりしながらも試合は中盤に!
・・・しかしこの観戦記に「続きが見たい!」をつけてくれる人がいるとは思わなかった。ありがとうございます!
グッズショップの帰りにトイレに行ったついでに太陽隊応援団の近くまで行ってみる。
うわー・・一番後ろの席の後ろにでかいアンプが置いてある。そのとなりに直径1mはありそうな太鼓。
太陽隊の攻撃が始まってから観ていると太鼓の音量がものすごい。で、団長が『ラッチャーラッチャー』って、かけ声をかけてお客をあおる。アンプの音量は多分最大だろう。選手ごとに応援のパターンを変える日本的な応援は無いみたい。
全部の選手に同じ太鼓のリズムで応援している。よく見ると太鼓にはスポンサーの『誠泰銀行』のシールが貼ってある。
スポンサーからの提供物なのかな?
それにしても、あいかわらずチアガールの気合いの入ってなさが笑える。
さっきのイニングの合間はお客としゃべってたぞ。楽しそうに。
あとで分かったのだが、応援団の人たちはリーグの職員で応援のショーアップを専門に受け持つ人たちらしい。
なるほど、それでマイクも使い放題ってことだし、勇士隊にも同じようなマイクの応援団長がいた訳か。
またもや試合のほうは6回裏に太陽隊が2ランホーマー。5-2と突き放す。5番を打つ安藤選手のヒットがきっかけ。
ここぞとばかりに盛り上がるスタンド。ただでさえうるさいのにその3倍増しの音量。
このまま太陽隊有利で勝負アリか?と思われたが8回表、太陽隊山原投手の制球が乱れる。
それまでは140k台のストレートが低めに決まっていたのだが、球が高めに浮きはじめる。
連打で1点とられ1アウト1,2塁で5-3。たまらず内野手、石井監督がマウンドへ。しかし続投。
ここで私が思わず立ち上がる。
『日本人選手が異国の地でピンチだ!ここはひとつ日本人の私が日本語で声援を送らなくては!』
唐突にそう思ったんである。思わず叫ぶ。
『ヤマハラー!!がんばれぇー!おさえろぉー!』
気がつくと近くにいた台湾人親子4人が『コノ訳のわからん言葉で叫ぶ外国人は何者?』みたいな怪訝な目で見ていた。
無理もないか・・。
山原投手がその声援に気づいてくれたかどうかはわからない。しかし声援も空しく、勇士隊の5番打者(後で分かったが元西武のポールだった)に逆転3ランホーマーを打たれ、山原投手、降板。
ベンチに引き上げてくる時にボールをファウルゾーンに無造作に放り投げた山原投手のなんと残念そうな事か。
国は変われどプロはキビシイのだなぁ。『日本から来た』の看板だけでやってけるもんじゃないのだなぁ。
どうでもいい話だが・・この新荘球場、すぐに場外ホーマーが出る。外野席がほとんど無いからなぁ。
2番手の投手がどうにか後続を押さえて最終回、太陽隊の攻撃。
2アウトから5番の安藤がしぶとくヒットを放ち、さぁどうなる?ラッチャーラッチャー!と応援団も一気にもりあがる
・・のだが、あれ?チアガールが3人しかいない?よく見てみると、なんと1人はさぼって水飲んでいるんである。
台湾人よ、いいのかこれで・・?思わず苦笑。
しかし後続が続かず、試合終了。6-5で勇士隊勝利。
一緒に観に行った相方曰く『ソコまで野球は好きやないけど、今日のゲームはおもしろかったなぁ!』うん、同感。
引き上げてくる選手に拍手を送ってると、周りの人たちはさっさと帰ってゆく。応援団も帰り支度、
チアガールもお疲れさまー状態。実務的だなぁ・・台湾人。あっとゆうまにスタンドが空っぽ。
で、グラウンドを見ると太陽隊の選手がベンチ前に集合し、石井監督(と通訳)の試合後の言葉を聞いた後に
『オスッ!!』と全員で叫んで解散。うーん、さすが日本人監督。でもなんか高校野球みたい。
球場の外に出ると何故か消防隊がホース処理の訓練をやっていた。
帰りのバスでガイドさんに聞いたら昔の球場周りは野球賭博の賭け屋だらけだったんだとか。
今は、ほんっとに健全すぎで何も無い。
帰りのタクシーも割と簡単に拾える。今度は『請到、MRT新哺站』とかいたメモを渡し20分くらいで到着。新哺站のあたりも出店がかなり出ていて賑やかだが、疲れてるゆえにホテルへ直行。
この旅行の帰りに、「職業棒球」という日本で言えば「週刊ベースボール」みたいな雑誌を買ったがTMLに関する記述はどこにもなかった。この本はTMLと対立してるもう一つのプロ野球リーグCPBL中華連盟専門誌だったようだ。TMLには専門雑誌はないらしい。大丈夫なのかこのリーグ。と、思ったら・・・・
2002年シーズン終了後、TML台湾大連盟は経営不振から規模を縮小、2チームになり、CPBL中華連盟に合併吸収された。事実上の消滅である。
太陽隊は雷公隊と合併、現在は誠泰コブラスとなっている。勇士隊は金剛隊と合併、現在La Newベアーズとなっている。
その際,太陽隊にいた日本人選手は、全員クビ。寡聞に私が知ってるその後の選手の消息は石井丈裕が、韓国プロ野球に行った、くらいである。
この文章の最初に書いた「台湾に行った日本人選手は二度と見れないかも知れない!」 というのはある程度現実になってしまったのであった。
それにしても、自分たちが応援していたリーグそのものが無くなってしまうのは、どんな気持ちなのだろう?さぞや、悲嘆に暮れてる野球ファンたちが・・と思ってまた翌年台湾に行ってみると,「TML?何それ?」と言わんばかりに台湾シリーズがヒートアップしていたんであった。
この試合については、多分,次回観戦記
「激闘!台湾シリーズ2003 天母球場タダ見上等!観戦記(仮)」
で書くかもです。でも、今回より長い観戦記になるのは、確実・・どうしよう。
観戦手帳より、高橋智。
現地で見たかったなぁ。
これも観戦手帳より、山原と加藤。
山原は、私が声援したから打たれた・・ってのは無いよね?
またもや観戦手帳。
元西武の安藤。彼は2000年、ベストナインに入っていました。
現,西武の張誌家の野菜ジュースの広告。
2002年、彼は太陽隊に所属していました。
なんか笑えるのは何故だぜ?
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2006年6月2日
- 事務局に通報しました。
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