日本代表が韓国戦で見せた“余裕”。得点に絡んだ香川、清武、本田の言葉を振り返る

  


 [写真]=江本秀幸
(SOCCER KING)


 


 北の大地が熱狂の渦に包まれた。U-22代表の勝利を受けて迎えた韓国との一戦で、日本代表が歴史的な勝利を収めた。

 韓国戦でA代表が3ゴール以上のスコア差で勝利を収めたのは過去に一度(1974年9月28日の日韓定期戦で4-1の勝利)だけ。実に37年ぶりの歴史的な敗戦を、韓国メディアは“屈辱”と報じている。

 この試合、日本のメンバーのプレーにはとにかく“余裕”が感じられた。ボールを奪える、パスがつながる、ボールを持てる、独力でも局面を打開できる…前半35分、香川真司の先制点のシーンは、その象徴的な場面でもあった。

 右サイドで遠藤保仁がイ・グノからボールを奪い、素早く前方の李忠成へと展開。そのボールを李がダイレクトでゴール中央へと流し、ボールを受けた香川は狭いスペースでDF2人をかわし、右足のシュートでゴールネットを揺らした。

 ゴール前で見せた冷静さについて、香川は「そこが自分の良さだし、ブランクは関係ないです。チャンスがたくさんあったので、もっと決めないと」とコメント。久しぶりの代表戦については次のように振り返った。

「(今年1月のアジアカップで)ケガをした相手との試合だったので、多少の怖さはありました。でも、しっかり準備したからこそ、こういう結果を出すことができたんだと思います。今、個人的には肉体的にも精神的にもすごく充実しています。ただ、今日の試合は親善試合だし、相手のモチベーションもアジアカップとは全然違いましたね」

「ただ、やっぱり自分の国でプレーする喜びはあります。久しぶりの代表戦でしたし。今日は選手同士の距離感やイメージの共有がすごく良かったので、これからも続けていければと思います。自分で前に持ち出して決めた2点目は、持ち味が出た形だったと思います。でも、あれは清武(弘嗣)のおかげ。素晴らしいデビュー戦になったと思いますし、初戦であれだけ堂々とできるのはすごいことだと思います」

「来月からもっともっと厳しい戦いが待っているので、プレッシャーのあるアジア予選の中でも今日みたいなサッカーを見せられるようにしたいですね」

 香川に「素晴らしいデビュー戦」と言わしめた清武も冷静なコメントを残している。

「代表デビュー戦でしたけど、落ち着いてプレーすることができました。(本田圭佑に出した2点目のアシストは)圭佑くんが見えたので、確率の高いほうを選択しました。デビュー戦で結果が出たのは良かったと思います。でも、個人的にはシュートも打ってないし、もうちょっと積極的にいきたかったですね。海外組と一緒にプレーできたことは、自分の成長にとってプラスだし、日本代表でのプレーはいい勉強になりました」

「ヤットさん(遠藤)に『中盤ではシンプルにパスを出そう。ゴール前では好きにしていいから」と言われていたし、相手のプレスが速かったので、中盤ではシンプルにプレーして、ボールを取られないように心掛けました」

「日本代表でのプレーに手応えをつかめたし、今後も自分の良さを出していきたい。この経験をU-22日本代表でも生かしたいですね」

 そして、清武からのアシストで、南アフリカ・ワールドカップのカメルーン戦以来、422日ぶりに流れの中からの代表ゴールを決めた本田は、結果と内容へのこだわりを表現した。

「今日はいかにシュートまで持っていくかを含めて、結果よりも内容にこだわっていました。同じ勝利にしても、何となく勝つのではなく、自分たちのサッカーをして勝つことが大切。全得点とも選手同士の距離感が良かったし、今日みたいな内容のサッカーができればと思いますね」

 最後にアルベルト・ザッケローニ監督の言葉。選手たちのパフォーマンスをたたえつつ、さりげなく韓国への賛辞をはさむなど、終始、余裕を感じさせる勝利会見となった。

「親善試合とはいえ、こうして明らかな差が出たことには満足しています。チームとして集中力を保ち、選手は自分たちがやることをピッチで表現してくれました。特に前半、相手の良いところを抑えられたのが勝因の一つだと思います。ボールを動かし、的を絞らせず、裏に飛び出ていくところが良かったと思います。今日の結果は、自分の中でも重要。これだけフィジカルが強く、技術の高いチームにこの結果で勝てたことは素直にうれしいです。日本と韓国は、世界的に見ても成長を続けているチームだと思います」

「試合前、選手には『システムは二の次、11人で攻めて11人で守るのが日本の良いところだ』と話しました。どのチームにも個性がありますが、私は日本人の選手たちの特徴を最大限に生かせるやり方で取り組もうと思っています。選手たちには、主導権を取って積極的に仕掛けるように伝えました。予想どおり、韓国は引いてカウンターを仕掛けてきましたが、選手たちはスペースが見つからないような状況でも、うまくプレーしてくれました」

「キックオフ直後、香川と駒野(友一)の距離感が少し離れているかと思いましたが、韓国のサイド攻撃は強力だし、ある程度は想定内でした。時間が経過するにつれて改善されましたし、香川も献身的に守備をしてくれました。駒野も効果的なオーバーラップを見せてくれました」

「(香川については)昨シーズンの終了時からプレーできる状態でしたが、しっかり休んでドルトムントのプレシーズンのキャンプに参加し、開幕戦でも良いプレーを見せていました。良い準備ができていると思いましたし、アジアカップからまた成長しているなと感じました」

「(清武については)私もスタッフたちとJリーグの試合をすべて把握しています。安定したクオリティーを披露している選手を選ぶのは当たり前。もちろん、海外組、国内組、すべての選手に対して門戸は常に開いています」

「結果も大切ですが、内容を重視していました。9月から始まる3次予選に向けて、本番のリズムでプレーしてほしかった。内容も伴い、結果もついてきましたが、修正点を分析しなければいけないですし、修正点については冷静に見つけていこうかと思います」

 もちろん油断は大敵だが、ライバル韓国との一戦で得た「やれる」という手応えが慢心ではなく自信へと結びつけば、9月2日の北朝鮮戦からスタートするアジア3次予選でも、“余裕”を持ってプレーする日本代表の姿が見られそうだ。












































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