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オシム氏の本音
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ヒデ
2007年07月14日 12:56 visibility48
アジア杯1次L(13日、ベトナム・ハノイほか)日本代表は13日、UAE戦に3−1勝利。イビチャ・オシム監督(66)はアジア杯初勝利を2試合目で飾った。初戦のカタール戦でまさかのドローに終わり、がけっ縁に立たされた日本だが、オシム監督の強い意思が結実した形。これで一気にB組首位に浮上し、1次リーグ突破に王手をかけた。
指揮官は立ち続けた。額から吹き出る汗も拭わなかった。先制後も座ることはない。集中力を切らしてドローに持ち込まれた前戦。過酷な蒸し暑さの中、厳しい表情で立ち続けた66歳の指揮官はホッとしたのか、思わず本音で答えてしまった。
「選手に感謝しています。タフなゲームだった。高温多湿のなかで選手たちはよくやってくれた。選手におめでとうといいたい」
普段は「勝利から学ぶことはない」などと快勝も評価しないオシム監督が、この日は違った。会見でも「一番いい試合をしたかもしれない。相手のレッドカード以降、おそらく日本のボール保持率は95%はあったでしょう。ほとんどUAEはボールに触れなかった」と大げさな数字まで使った。シニカルな人物も素直になる、激戦だった。
気温30度、湿度80%。風もなく、座っているだけで汗が噴き出す、カタール戦以上の過酷環境だった。「選手、スタッフの誰も心臓発作を起こさず試合を終えれてよかった。それほど、困難な気象条件だった」とこの環境で走り抜いた選手に感動していた。
前日の公式会見で、「美のために死を選ぶ」と語った指揮官。あくまで『美』のための『死』でなくてはならない。3試合で終わっては経験を積めない。1次リーグ敗退を避けるため、勝利が義務付けられていた。親しい関係者にはカタール戦後「次の試合で負けたらサヨナラだ」と明かしたという。「サヨナラ」とはアジア杯からなのか、日本からなのか…。心の中はわからないが、強い決意があったのは確かだった。
「きょうはきょうで終わり。明日以降はこれから準備しないといけない」。いつもの厳しさで締めた指揮官の後方には高層ビル群が美しい夜景を作っていた。急速に発展するベトナム経済のように、オシム・サッカーもこの勝利から“高度成長”への歩みを進める。
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