開幕当初の低迷がもたらした強さ 若手の中の優勝

  • 舎人
    2012年09月22日 06:01 visibility1495



































































巨人がついに優勝を決めました。4月の頃は打線が振るわず、貧打に喘いでいたものが、打線の組み替えが功を奏し、波に乗り始めると一度ももたつくこと無く、一気にトップギアでゴールに駆け抜けてしまった感じでした。今年の優勝は相対的な戦力からみて、最初から巨人が優勝候補だったのは言うまでもありません。しかし、ここまで圧倒的強さで勝ち進むことができたのは、開幕当初の低迷があったからだと思います。私にはあの時期、5連敗を2度もするほど弱かったことが原監督にとっては良い薬となり、目が覚めたのではないかと思うのです。1番坂本、2番ボウカーなんて打順があり、なんと2球でツーアウトになったりしていました。その時に徹底的に弱く負けが込んでいなかったら、この打順にもうしばらく拘っていたかもしれない。このようなことが他にもあったことでしょう。あの弱い時期があったから原監督は謙虚になり、人に耳を傾けるようになった。清武さんの一件で宙ぶらりんだった戦略コーチの橋上さんの進言を重用するようにもなった。私は4月のあの弱い時期にほとんどの膿を一気に吐き出してしまったことが、その後の驚異的な快進撃に繋がったのだと思います。

優勝の具体的要因を考えて行くと、投では杉内、ホールトンの加入、宮國や高木京、田原、小山、笠原らの台頭がありました。本来なら久保や越智がいないのですから大変なピンチだった筈ですが、そんな心配は微塵も感じさせませんでした。先発では杉内、内海がシーズンを通じて安定した活躍を見せ、澤村もホールトンも悪い時期はあったものの、通してみれば立派な戦力になりました。また、2年目の宮國も5勝を挙げ、苦しい時にチームを救いました。今年はローテーションに実に3人も新戦力が加わったことになったのですが、一気にリーグ屈指の先発投手陣になりました。やはり杉内の加入がとてつもなく大きかったのだと思います。その強力な先発投手陣以上に凄かったのがリリーフ陣でした。特に前半戦の山口の大車輪の活躍、後半戦の西村の安定感が光りました。また、シーズン中盤まで毎試合のように投げていたマシソンの存在も忘れてはいけません、投手陣は相乗効果を生み出すと言われていますが、彼らの活躍に引っ張られるように福田や高木康、ルーキーたちもいつの間にか自信にあふれる活躍をするようになりました。
























































打ではレギュラークラスに大きな故障で長期離脱をする選手がいなかったことが最大の要因だったと思います。巨人は阿倍のチームです。我々巨人ファンは阿倍の全盛時代を体験できている幸運な世代だと思います。おそらく後世にON全盛時代を目撃したのと同じように、いま目にしていることが後々伝説として語り継がれることでしょう。存在感から言ったら、阿部は松井秀喜以上だと私は思います。しかし、阿部は突出した存在であるが故に、故障で離脱でもしたらチーム力は半減してしまう。原監督が今シーズン最も注意を払っていたのが阿部を故障させないという命題だったと思います。阿部以外のバッターでは1番の長野、3番の坂本が機能しました。快進撃はこの並びからスタートした感じです。FAで加入した村田は数字が物足りなく、チャンスにも弱く、なんのために来たのか分からないとか、優勝請負人ならぬ“優勝受取人”などど揶揄されていましたが、慣れない環境でよくやったと思います。特に対左投手に対して巨人が昨年よりも今年の方が、苦手意識が少ない気がするのは村田の存在があったからではないかと思います。私は村田の加入をプラスマイナスで考えたら、未だにマイナスの方が大きかったと思っていますが、今年1年に限って言えば、間違いなくチームの足りないピースの穴を埋めてくれたし、優勝のために働いてくれたと思います。打線全体のことを考えて昨年と大きく違うのはラミレスが抜け、小笠原がスタメンから名前を消したことです。その分、巨人は走れるチームになり、小技を多用できるようになりました。以前の方がどこからでも一発で点が取れる頼もしさもありましたが、同時に好投手に当たるとなす術なしといった脆さもありました。その点、今年の打線はしつこさがあり、相手が嫌がる野球を実践できていたと思います。

若手のことを考えると、投手においては、ルーキーや2年目の投手が本当に目立ったシーズンだったと思います。宮國に始まり、小山、高木京、田原、江柄子、一岡と次々と名前が挙がっていきます。宮國は今シーズンは100イニング程度を投げてくれたら良いなと思っていましたが、現在87イニングです。シーズンが終わる頃には95イニングほどになるでしょう。ほぼ予定通りだったと思います。来シーズンは130イニング程度を目標に掲げて欲しいと思います。勝ち星は8勝程度でいいと思います。小山はルーキー時よりも球速は伸びていませんが、本当にまとまってきました。1勝挙げたことで、自信も芽生えた感じです。今オフはしっかりと走り込みをして下半身をさらに強化して、ローテーションに組み込まれる活躍を期待したいと思います。高木京と田原は一軍で揉まれているうちに成長した感じです。一軍で初登板の頃は見ているこっちがハラハラするような内容でしたが、登板するたびに逞しくなりました。特に高木は球速もアップし、ドラフト4位で入団した投手には思えません。外れ1位相当の活躍をしていると思います。江柄子は何度か先発を任されながらも、なかなか結果が出ませんでした。しかし、一軍で活躍することは自分が考えていたよりも、ずっと手の届く所にあったと実感できたのではないかと思います。初勝利は来シーズン以降かもしれませんが、今シーズンの登板を励みにしっかりとスキルアップして欲しいと思います。一岡は福田と双璧をなす存在になれると思います。登録枠の関係で一軍には定着できませんでしたが、決して能力がない訳ではないでしょう。高卒ルーキーを除けば一番若い。勝負は来年以降です。

若手の打者について考えると、投に比べて本当に寂しい感じです。一軍昇格2年目の藤村はセカンドのレギュラーを期待されていたものの、守備でミスを連発し、打っても凡退続きで、思い通りには行きませんでした。しかし、シーズン後半になってようやく調子を取り戻しつつある感じです。優勝を決めた試合のグラブトスのファインプレーは素晴らしかったです。できればこのままセカンドの定位置を確保し、坂本との二遊間を向こう10年以上張って欲しいと思います。大田と中井はシーズン中に何度か一軍に昇格したり帯同していましたが、なかなか結果が出ず、ようやくヒットが出たのが9月になってからでした。まだまだ信頼をされておらず、一軍定着もままなりませんが、来季へ向けての土台作りはできたシーズンだったと思います。新時代のONとして来シーズンこそ一軍に完全定着をして欲しいです。一軍に呼ばれることはありませんでしたが、橋本も山本も、あのビール掛けの光景を見て、来年は自分もその輪に加わりたいと思ったでしょう。そのためには今から春のキャンプにかけてが本当に重要です。なんとか頑張って欲しいです。




































































胴上げには一軍に登録されている以外の、今年一軍でプレーをした選手たちもこぞって参加しました。一岡がいる、江柄子がいる、そんな中に背番号98・・ん!? なんでオマエがいるんだ。一番目立ちおって(-.-;)  来シーズンこそ、一軍初登板を果たし、堂々と輪の中心に加わってくれよ。

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