移籍先の日本ハムで大活躍!大田泰示の打撃について考える
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舎人
2017年06月12日 05:15 visibility2795
日本ハムとの交流戦三連戦は巨人の1勝2敗でした。初戦にマイコラスの好投で辛勝したことで連敗が13で止まり、チームはホッとした雰囲気に包まれたのでした。しかし、そんな安息も束の間のこと昨日今日と連敗。これは事もあろうか、昨年まで巨人に在籍していた大田の大活躍に依るものだったのです。現在の巨人はそうでなくても貧打にあえいでいます。それだというのに昨年開花の兆しがあった大器をあっさりと放出してしまった編成の不手際には呆れ返るばかりです。これからこのような不始末はどんどん検証されると思いますが、なぜ編成が見切りをつけた大田という選手が、こうも移籍先で活躍しているのか。それはただの精神的な理由だけなのか?それともテクニカルな根拠のある話なのか?今回はその辺りのことを考えてみたいと思います。
大田は今シーズン。春先こそケガで離脱していましたが、一軍に復帰すると、徐々に結果を出し始めます。私は遠巻きながらこの活躍をほくそ笑んでいたのですが、その活躍がどんどん本格化するにつけ、茶柱さんとこれは「封印されていた山崎打法ではないか!?」と話題にし始めていたのでした。これは何も私たちだけでなく、ファームに関心のある数名の人からも同じような感想を話されたのです。
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その頃に某掲示板で私が書き込んだ大田についての話(2017年 5月20日(土))
大田が移籍した日ハムで活躍している理由として、伸び伸びとした雰囲気でプレーできているとか、いつ交代させられるかもしれないという無用のプレッシャーから解放されたとか、様々な事が話されています。確かにそういった事はあるのかもしれない。しかし、私が思う一番の理由とは、もっと技術的なことではないかと思う。具体的にいうと、今の打法が大田に合っているということ。今の大田の打撃を見ていると、巨人時代に課せられていた「軸回転」を意識した打法から解き放たれ、自由な体重移動と大きなフォロースルーで打っているように思うのだ。これはなんだろうか?つまり、2年目に原さんからダメ出しをされた「山崎打法」ではないのか??
2010年、大田が2年目のこと。大田は春先から好調で、本塁打を量産していました。6月の初旬までに、イースタンで本塁打も二桁を記録していました。今考えてみると、その時の大田が巨人時代、最も輝いていたと思います。しかし、一軍に昇格するや否や、当時の原監督は大田の打ち方にダメ出しをして、完全否定したのでした。打ち方が気に食わないとのこと。それが大田の巨人で足踏みをすることになったケチの付き始めだったのですが、その時みダメ出しされた打法が「山崎打法」で、取り組むように申し渡されたのが「軸回転」打法だったのです。
原さんは大田のことを松井秀喜のような確実性のあるスーパースラッガーにしたかったのだと思う。なまじ、坂本の指導に成功したことで、大田にも同じ指導が適用されると思ったのかもしれない。しかし、選手はそれぞれ違う個性を持ったもの。手駒のように使う選手は、自分の野球観に即した指導や矯正で、使いやすい選手に仕立てて行けばいいと思う。しかし、将来のレギュラー候補のようなスケールのある選手には、その選手の個性をある程度認めてあげないと、本来の持てる力を発揮出来ないまま、埋もれてしまうものなのではないだろうか。私には8年前に思っていた危惧が、今回の出来事で証明されたような気がしています。
球団の首脳陣やフロントは、選手の育成方法をよくよく考えて欲しいと思う。コマ的な選手はどんな指導はいいとしても、将来のレギュラー候補の育成は、一軍の首脳陣の考えよりも上に無くてはいけない。つまり、育成方針は球団あげて行うもので、終始一貫していなくてはいけないのではないか。大田の悲劇は二軍でやって来たことを一軍で全否定されたという、チグハグさがあった。もっとも、当時のフロントは清武さんの下、指導が一貫するように選手ごとのカルテを作っていようだ。しかし、全権というか独裁を目指す原さんはそういった清武さんの方針を忌み嫌ったのだ。こんなところにもなんともつまらない確執があり、少なからず大田にも影響したのだと思う。岡本に大田のような轍を踏ませてはならない。つくづくそう思います。
私の2010年のブログも参考にしてください。
https://labola.jp/blog/user/89100/6526294
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この時に書いたことで、さらに様々な人から同意するといった意見も寄せられました。しかし、y-rc48さんからは異論を唱えるメッセージをいただいたのです。これは素晴らしい意見であり、当時のファーム事情はもとより、打撃についてのテクニカルな見識がないとまとめることのできなかったものです。この意見に私は全て同意した訳ではありませんし、人によって受け止め方はまちまちだと思います。しかし、大田という選手、そして打撃というものを考える時、きっと参考になることだと思います。ぜひとも共有したいと思います。
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y-rc48さんからのメッセージ(原文のまま)
一素人が選手の技術をどうこう言うのはどうなのか?という話も当然あるのですが、それを言い始めると選手だけではなく、監督の采配やコーチの指導もファンは批判しないのが正解となってしまうので(笑)
それでは駄目だと思っています。
私なりの大田(と原ら)の解釈はこうです。
まず
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/38039?page=2
ここにあるのですが、山崎本人は軸回転打法だと言っています。(と言っても相当嫌がってるように思いますが)
山崎は確かに足を結構上げています。その一方で、後ろ側で回転するようにもしている…という事です。
大田がまずひとつ問題だったのはこれです。
http://www.tokyo-sports.co.jp/sports/baseball/330555/
おそらくタイミングを取るのは得意ではないという事です。
マシンは当然機械なのでタイミングが一球一球正確なので慣れてくれば打てるのですが、実際の野球は人間が投げるので、投球間隔もスピードも一球一球違いますし、そうなるとこういう現象は起こうるのではないかと…。
足を上げると軸足側に体重を乗せやすく(バランスも崩れにくくなるそうです)なるのでその点は良いと思います。しかしその場合は足を上げて体重移動する時間だけではなく、下げる時間も必要であり、またその間にバットをトップの位置に持っていく動作も必要です。つまりスイングに時間がかかるという事です。
これがそもそもまともにタイミングが取れてないと原に言われている大田には良くなく、そもそもタイミングが遅れているのに時間がかかる事しようとしているわけですから、打つのは大変です。時間を短くするために結果的には足を勢いよく下げて打ってしまっていた…そのせいで勢いよく踏み込んでいく分、前に(出たくもないのに)出てしまっていたのでしょう。
だから1軍に上がると投手のスピードが2軍よりもあるのでそれが顕著に出たのでは…ということになると原は自分の言った事と大田が逆の事をしていると勘違いしたのではないかと…。
そして原は前に出るなと怒っていた訳ですが、これ自体は合っているのですが今度は他の問題が発生しました。
大田はその前から元々普通に構えている選手だったと私には見えるんです。
http://gogoorangespirit.blog87.fc2.com/blog-entry-193.html
https://www.youtube.com/watch?v=1QoZhGNLZXk
https://www.youtube.com/watch?v=g6BtOMQgqLE
https://www.youtube.com/watch?v=EiFq8sxyMBc
その結果、前に出ないで打つという意味では正解でしたが、そのせいでバットが(山崎打法の時の)トップの位置に行かなくなってしまったのではないかと私は思います。(この辺は2軍戦を碌に見れていない私より舎人さんの方がよくご存知でしょうが…)
大田は実は途中のを読むと高校時代からそういう傾向はある感じだったんでしょうね。なので普通の構え方をしている場合、バットをトップの位置に持っていくためには足を上げる必要が合ったという事です。
どこかで矢で打撃をたとえている人がいましたが、大田の打ち方は山崎打法の時は弓は引けるが、狙いを定める時間がなく、定めた場合は制限時間オーバー。そうなるのは嫌なので、狙いは定めないで慌てて制限時間内で発射する…みたいなイメージですかね。その結果どこに矢がいくか分からない…原に狙いを定めろと怒られ…今度は弓を余り引かずにきちんと狙いを定めて弓を放つ…そうして今度は制限時間内に発射できて的に当たるものの当然矢のスピードは遅い…みたいな。
http://gamo.blog.jp/archives/48835654.html
https://www.daily.co.jp/baseball/2016/07/18/0009295044.shtml
内田コーチが1軍のコーチになった後、(最初に足を大きく上げるなとは言わない一方で)実は原と同じく前に出るなと言っています。
そして色々と前に出ない為の指導をしていたのに最後に出した結論はノーステップで打てという。内田コーチもそういう位ですから相当なんでしょう。
http://pbs.twimg.com/media/CnffYbcUkAASSzB.jpg:small
http://base-ball.net/wp-content/uploads/2015/07/sakiyamadagekfchigai.jpg
この上の二つがなければ今日書こうとしている事を説明するのは私には不可能だったと思います。
これを見ると分かるんですが、バットを最初から後ろのほうにおいてます。秋山は体重も軸足側に置いてるように見えます。
(大田はここまで極端ではないかもしれませんが参考になれば)
https://www.youtube.com/watch?v=8J0PEGvisqE
https://www.youtube.com/watch?v=7mbE-VCMZpg
このような感じで最初からやっていれば…。
(足を上げたとしても)軸足に体重を大きく移動する必要もなく、バットもトップの位置(かその付近)にそもそもあるから大して動かさなくて良いという…
さらに足を大きくは上げない為、下げる距離も当然少ないので、ゆっくりと足をおろす事ができますし、その影響で慌てて下ろすことによる前への過剰な体重移動もほとんどなくなり…
さらにタイミングを遅れやすいと言われた大田が動作自体が少なくなるのでそのままの感じで打つことができると言う…。
さらに後ろにそもそもバットがあるから上でいう弓を引けないような事もなくフルスイングができますし、タイミングを崩されにくくなった訳ですから、緩い変化球もついていけるという…。
つまりこれで大田の問題は腕が長い分厳しいインコースがどうにも打ちにくいという事以外はなくなってきたんじゃ…という感じですね。
http://www.hochi.co.jp/baseball/npb/20170513-OHT1T50019.html
また、こんな記事もありました。私は岩本さんと同じでレアードを参考にしたのだと勝手に思っていましたが、違うようです。
今度は山崎ではなく二岡、江藤、村田、タイロン・ウッズだそうです。
https://stat.ameba.jp/user_images/20141105/01/miumalovely/6c/e1/j/o0800037413119691146.jpg?caw=800
https://www.youtube.com/watch?v=Cw7kgWglmbM
https://www.youtube.com/watch?v=8qbWxyNlRW8
https://www.youtube.com/watch?v=Yw_rCEFblDI
多分これを見たんだと思います。
これをみるとウッズのように構えているような…。
結局原の4つの指導自体はわりと合っていて、導いてる方向自体もそこまで間違ってるとは思えないです。
では何がいけなかったのかというと、上にも書きましたが最初から軸足に体重を乗せてない時足を上げると前に出てしまうのでそれをどうするか、又は最初から軸足に体重をかけてバットも後ろで構える等に関してが一切ないです。
用は歯抜けといいますか…教えているところに(結果的には)欠けてる部分があると思っています。
で、そこは大田と2軍打撃コーチで作り上げようとしたら前に出るようになってしまい…
また2軍で結果が出ていたからといって前に出ながら打っている事がそこそこあるとかそういう話はあまり2軍から1軍に伝達できていなかったのではないか…と。
結局一番悪いのは最初から(見極める前から)指導しまくったという点で原という事になるでしょう。しかし、4者それぞれに問題があり、そこに元々甲子園に出てない上素材型の選手にいきなり偉大な選手の背番号をあげてしまい、早く一軍レベルにならなきゃ・しなきゃいけないとかそういうのも重なってこうなったのでしょう。
坂本や亀井らのように(ある程度でも)結果を出してから良い背番号をもらうのというのが一般的だと思います。(当時の巨人の考えには松井は自分から巨人を出ていった選手というのがあって、その辺は深く考えなかったのかもしれませんが…)
そうすると清武と原で背番号を55にしたらしいのでやっぱり原のせいですね。
大田はこれで巨人から離れたのでのびのびやっていくのでしょう。
後これはおまけですが、プロの選手は年下の選手ですごい選手が入ってくると、その選手がレギュラーになると同じポジションの場合当分レギュラーになれなくなるというのが頭にあるので、必死にやるようになるとか…確かに年上の選手なら通常先にその選手の方が衰えますからね。
そういう意味では移籍先が日本ハムだったのも大きいかもしれません。実は大田より年上の外野手は代打の切り札の矢野しかいないんです。大田はなんと矢野のスタメン構想がなければスタメンで出る選手として一番の年長選手になるのです。
どっかのチームとは大違いですよ本当に。
http://www.sanspo.com/baseball/news/20170420/gia17042005000007-n1.html
私はこういう感じの解釈をしています。
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(ここから舎人)
この山崎打法とは、私も含めた一般的な認識と実際とはかなりズレていたのかもしれません。ただ、このy-rc48さんの意見に対し、私が少し腑に落ちない点を挙げるとすると、2010年当時の大田の打撃の課題とは、そもそもタイミングを取るためではなく、体の開きを抑えることだったのではないかということです。つまりガニ股で体が開き気味だった大田の開きを抑えるために、山崎のような体重移動を伴う打撃の指導が大田に対して行われていた。その過程でおざなりになってしまったのが軸足の意識だった。そこを原監督は問題視したのではないかということです。するとタイミングを取ることもおかしくなってしまった。まぁ、このあたりのことは今となっては些細なことかもしれません。
大田が日ハムに移籍して気付いたことは「結果を求めるため、自分の打撃が小さくなっていた」ということだったそうです。そのあたりの吹っ切れたような割り切りが、自分に合った打撃を取り戻すことになり、現在の活躍につながっているように私には思えます。
https://full-count.jp/2017/05/20/post69176/
- 事務局に通報しました。
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