今年期待の若手選手たち(7)田中大二郎

  • 舎人
    2011年02月27日 02:50 visibility1657





今日は宿題だった田中について話します。今年はキャンプで一軍に抜擢され、試合にもチラホラと出場しています。2月22日のオリックスとの練習試合では九回に代打で登場し、相手投手の西川から大田の同点本塁打のお膳立てとなるライト線の二塁打を放っています。いま正に、左のスラッガーとして一軍定着の大きなチャンスを与えられているのです。



昨年までは外野手登録だったのが、今年は内野手登録になりました。これは巨人において田中が外野手としてやっていくのは厳しいと判断されたからだと思います。肩の強さは私が見てきた限りチームナンバー1です。亀井や長野、橋本よりもワンランク上の強さで、12球団を見渡しても田中以上の強肩はいるかどうかのレベルです。しかし、外野手として、これ以外の身体的特長がありません。足の速さは並以下、さらに打球の判断が悪く、微妙なフライをおぼつかない足取りで捕球をしています。これでは、そうでなくても層の厚い巨人の外野陣に割って入ることは無理だとしか思えません。先日の斗山との練習試合でも外野に回され、まずい動きをしていました。外野手として入団したものの、4年待ってこの程度なのですから、この判断は仕方ないと思います。



しかし、そういった外野手としての適性の問題もありますが、田中の内野手登録には、李スンヨプが抜け、ファーストの守備固めができる選手が必要になったという事情もあると思います。元々、田中は高校時代ファーストを守り、なかなかの名手でした。当時のドラフト雑誌を広げてみると、「攻めるファースト守備!」をいう表現で田中のファーストの守備を紹介しています。小笠原も年齢が年齢なのでフルイニングを期待することはできません。その時に、必ず田中のファースト守備は今年の巨人に必要になってくることと思います。




















昨年は一軍での出場がありませんでしたが、年間を通じて大きなケガをせず、イースタンではチーム最多の107試合に出場しています。年々、少しずつながら打率は向上しているのですが、特筆すべきは三振の少なさです。これはほぼ同数の打席に入った大田の3分の1以下という極めて少ない数字で、昨年ファームで300打席以上入った選手の中では12球団で最も少ない数字でした。



2010年に2軍で300打席以上の選手の打席数と三振数

巨人

大田 442打席 109三振

田中 448打席 034三振

中井 307打席 068三振

橋本 399打席 059三振

ロッテ

細谷 343打席 057三振

湘南

梶谷 429打席 052三振

北  443打席 080三振

筒香 451打席 102三振

松本 344打席 042三振

ヤクルト

荒木 356打席 061三振

高井 329打席 052三振

松井 360打席 070三振

森岡 351打席 049三振

日本ハム

岩舘 334打席 037三振

大平 393打席 083三振

杉谷 488打席 047三振

西武

大崎 357打席 043三振

黒瀬 367打席 068三振

斉藤 380打席 080三振

坂田 304打席 069三振

楽天

丈武 324打席 064三振

中川 421打席 094三振

横川 402打席 078三振

中日

岩崎 427打席 072三振

谷  327打席 040三振

阪神

柴田 313打席 036三振

田上 350打席 054三振

野原 387打席 050三振

ソフトバンク

今宮 306打席 066三振

小済 387打席 055三振

李  301打席 045三振

広島

堂林 386打席 111三振

丸  355打席 066三振



しかし、気になることは三振数が少なくなったと同時に本塁打数も減っていることです。田中は高校時代に44本塁打を放ったということから分かる通り、本来はスラッガータイプです。ルーキー時、坂本がイースタンで5本しか本塁打を打てなかった時に、田中はすでにふた桁10本の本塁打を放ち、ベースボール・マガジン社選定のビッグホープ賞を受賞しているのです。その時点では長距離砲としての成長を誰もが期待していました。しかし、昨年の田中はまるでアベレージヒッターのような成績です。三振が少ないことは良いデータですが、なんだか特徴のないバッターになってしまった感がしないでもありません。




















































































































































田中の昨年のイースタンの打撃成績を通して見てみると、全くオケラだった日もなければ、猛打賞もマルチヒットも意外なほど少ないことに気が付きます。実際にマルチヒットの数は大田が30回、橋本が32回だったのに対し、田中は24回しかしていないのです。また、マルチヒットが2試合以上続いたというのも2度しかないのです。まるで一日一善のように1安打で終わっている試合がやたらと多く、確変や爆発力というものがありません。このあたりが田中がいま一つ地味な点であり、どうも一軍昇格にネックになっていたような気がします。一軍に定着したり、レギュラーになった選手というのは一時的でもいいから爆発的な時期が必要なのです。その点で田中は物足りないと言わざるを得ません。







動画は11分を超える大作になってしまいました。田中に関しては、大田や橋本たちに比べ編集していないヒットシーンが多く、録画した当時のマスターから切り取ることから始めないといけないものばかり。橋本の時以上に時間がかかってしまい、今オフ最期の大仕事になってしまいました。右へ左へ広角に長打を打てるのが田中の特長で、動画の中にある昨年のイースタン第1号もレフトへ流し打っての本塁打でした。これは田中の大きな魅力だと思います。



田中大二郎 2010年の活躍!


田中大二郎2009年




2009年までの田中の打ち方と2010年の田中の打ち方を比べると大きな違いに気付きます。2009年のものはバットを立てて構え、李スンヨプのようなバッティングフォームなのに対し、2010年のものはバットを担ぐように構え、まるで高橋由伸のようなスタイルになっているのです。打ち方として、担ぐように構えることはあまり良いとはされていません。バットの重心が背中側になることで動作に余分な力が必要になるからです。しかし、腰を使ったスイングを意識するためにあえて試しているのなら理解できます。また、以前から打つ時に前のめりになる悪癖があったので、それを矯正するためなのかもしれません。このバッティングフォームの変更が田中の打撃スタイルを変え、田中をアベレージヒッターのようにしてしまったのかもしれません。



この先、田中がどのようなバッターになり、どんな成績を残すかは分かりませんが、外野以上に打撃が必要とされるポジションであるファースト専従になったということは、田中は一にも二にも打撃を磨かなくてはいけないということです。小笠原がいなくなったとしても、次から次へと現れる外国人選手たちや、他からコンバートされた選手たちとポジション争いをしなくてはいけなくなるでしょう。もしかしたらそれが後輩の大田になるかもしれません。しかし、それを勝ち抜いていくことが田中には課せられているのです。そのためには一日一善的な安定性ではなく、圧倒的な爆発力を見せつけるプレーが田中には必要になってくるでしょう。一皮剥けた田中の今後に期待したいと思います。



このシリーズは次回で最終回、伊集院と齋藤について、乞うご期待!







































































































































































































































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