高濱の人的補償による流出に思うこと
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舎人
2011年03月02日 01:26 visibility1059
阪神の高濱が小林宏の人的補償としてロッテに移籍へ移籍することになりました。戦力の点から考えたら、昨年まで全くと言っていいほど実績がなく未知数の選手ですし、大した問題ではありません。しかし、問題なのは戦力の流出ではなく、将来があり可能性のある選手が成長する過程を、自分の贔屓するチームで確認することができなくなったことの喪失感だと思います。そういった意味で私は阪神ファンに同情するし、この制度の問題点を感じてしまいます。
なんで阪神のフロントが高濱のことを有望な選手だと分かりながらプロテクトできなかったのかを考えると、現在の力を優先してプロテクトをかけているからだと思います。もしも、私なら残りの選手寿命が長い順にプロテクトを優先したと思う。入団して2年や3年のつまづきなど、その後の長い選手生活でどうなっていくか分からない。だから、少々力が上でも、選手としての実力が見極められている選手をプロテクトから外すべきと思うのです。
実は巨人にも今から考えると有望な若手選手がFAによる人的補償で流出しそうになったことがありました。2006年オフの門倉のFAによる人的補償の時です。当時の2chの書き込みを転載してみます。
門倉の人的補償を考えるスレ
14 :代打名無し@実況は実況版で:2006/12/05(火) 18:04:23 ID:Ko6wbe0q0
巨ヲタの俺がよそん
投手 上原 高橋尚 木佐貫 久保 林 内海 野間口 西村
福田 真田 豊田 栂野 越智 辻内 加登脇 深田16人
野手 阿部 加藤 星 二岡 小坂 脇谷 高橋由 矢野 鈴木
亀井 古城 小関 12人
漏れ
投手 工藤 前田 野口 木村正 東野 会田 三木 酒井
野手 清水 斉藤 梅田 実松 村田 岩舘 吉川 十川 川中
三浦 木村拓
こんなところだと思う ちなみに工藤は去年もプロテクト漏れだったらしい
この書き込みは当時の選手事情を鑑みた、なかなかしっかりとしたリストで、私もこんな感じだと思っていました。おそらく実際のプロテクトリストもこんな感じだったのではないかと思います。そのとおり、この中で‘漏れ’とされている選手はその後ほとんどが、退団したり引退したりしています。しかし、その中にはその後のチーム勝ち頭の東野が含まれていたのです。東野は2004年のドラフトで7巡目指名でした。しかも、入団して2年間は全く鳴かず飛ばずといっていい選手だったのです。最もどうでもいいと思われていた選手で、プロテクトしろという方が無理の選手でした。
東野成績
イースタン
2005年 04試合 04回 0勝0敗0セーブ 防御率6.75
2006年 12試合 13回 0勝2敗0セーブ 防御率9.69
2007年 12試合 31回 0勝1敗1セーブ 防御率1.74
2008年 12試合 39回 1勝4敗0セーブ 防御率3.00
一軍
2007年 01試合 0回2/3 00勝0敗0セーブ 防御率0.00
2008年 28試合 54回 02勝0敗0セーブ 防御率2.83
2009年 27試合 153回1/3 08勝8敗0セーブ 防御率3.17
2010年 27試合 157回0/3 13勝8敗0セーブ 防御率3.27
この時はご存じのとおり、人的補償には工藤が選ばれましたが、もしも東野だったらと考えるとゾッとします。一説には先に横浜に移籍した仁志が東野のことを「将来必ず出てくる投手だから」と強く推薦して、実際に人的補償に選ばれかけたそうです。その話の真偽はさておき、とにもかくにも若手選手にはこういった大化けが時としてあるのです。そういった成長を見つけることが若手選手を見る時の楽しみの1つであり、若手選手のブレイクを発見することが私のようなファームウォッチャーの至上の喜びでもあります。
しかし、私はFAや人的補償の否定派ではありません。一番いけないのは球団のエゴで人材が有効活用されず、飼い殺しになっていることです。他の球団に行けば一軍でレギュラーを取れる選手が万年控え状態だったり、ファームで埋もれているのは何とかしなくてはいけないと思います。そういった飼い殺しがなくなるようなFAや人的補償ならありだと思っています。
こんな人的補償案ならどうでしょうか?
① 23歳以下及び入団4年目以下の選手は自動的にプロテクト。
② 上記以外の選手は10名までプロテクト可とする。
23歳以下や入団4年目までの選手は、これからモノになるかどうか分からない選手です。球史に残る名選手になる可能性もあれば、そのまま消えていく可能性もある選手たちです。こういった立ち位置の選手たちを人的補償の対象にすることは、人材の有効活用にはつながらないと思います。だから、自動的にプロテクトとするのです。その代り、それ以外の選手たちのプロテクトはチームの根幹がぶれない最低限の人数でいいと思います。私はそれを10名程度でいいのではないかと思います。
この案で仮に巨人が小林をFAで獲得したとしたら、坂本や金刃までは自動的にプロテクトとなります。しかし、それ以外のプロテクト10名を選ぶとしたら、次のような感じになるかと思います。
阿部、脇谷、小笠原、高橋、亀井、内海、東野、山口、越智、久保・・
投手でいえば野間口も福田もプロテクト漏れになります。彼らがいなくなっても巨人にとってチームがぶれることはないでしょう。しかし、彼らが移籍すればそこで彼らは大きな戦力になることと思います。捕手も阿部に続くのが鶴岡だろうが加藤だろうが実松だろうが星だろうが、巨人にとっては大した問題ではないのです。それならプロテクトする意味はない。捕手が必要なチームに送り出してあげた方がいいのです。このように、入団5年目以上だったり、24歳以上の選手で10名に選ばれない選手はレギュラー当落線上の選手で、場合によっては他のチームに送り出してあげた方がいいのです。彼らの存在がチームにマイナスになっている場合だって往々にしてあります。そういった当落線上にいる選手がえてして若手選手の蓋になっている場合が多いのです。もしも、人的補償でその選手がいなくなれば、その分若手の出番を増やすことにつながります。つまり、送り出す側にも新陳代謝が生まれる良い効果があるのです。何より大事なのは人材の有効活用であると考えるなら私はそんな風に考えます。
いつもの癖でつい横道に話がそれてしまいましたが、高濱には移籍先でも頑張って球界全体を盛り上げることのできる選手になって欲しいと思います。
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