【バルセロナからの質問状】

大学サッカーは、非常に微妙です。
高校サッカーのように「しゃかりき」や「がむしゃら」ではないし、
例えば監督からの見えないプレッシャーに背中を追われて限界以上に走る、
というほど強迫観念のあるものではないけれど、
ビルドアップというほどボールが回るものでもなく、
早く窮屈な展開も往々に見られる。

けれど、少なくとも高校生よりは非常にコンパクトではある。
敵味方のDFラインの間は30メートルの中に納めて、
その中でプレッシングなりダイレクトなり、
攻守の切り替えで相手を凌いでいこうという意図は見える。

ボールが動く間にそれは間延びをすることもままあるし、
不完全なラインの押し上げや統率だと、
前述のように簡単な動き出しでギャップが生じもする。
とはいえ、コンパクトゆえにプレッシャーは早めに強くかけることはできる。

その時、非常に大切だなと改めて思ったことは、
やはりファーストタッチが重要になるということ。
そこから関連づければ、
ファーストタッチを意識するためには事前に周囲を見ているかどうか、
ということが当然のように前提になるし、
ファーストタッチの際のカラダの向き1つで、
次に確保できる視野≒プレイの幅が雲泥の差となり表れもする。
(ジュビロ時代の藤田がよく言っていたことでもある)

話が少し飛ぶが、特に南米の選手は、ブラジル・アルゼンチンでなくとも、
ペルーやチリ、ベネズエラなどに至るまで、
もはや遺伝子的かと思うほどカラダの向き、入れ方といった使い方が、
圧倒的に上手なのはいつ見ても思うこと。

明治の方がインターセプトの狙いどころ、その意図が嵌まっていたと書いたが、
これも単純なことで、
プレッシャーをかけて(いわゆる「ワンサイドカット」ね)
よりプレスのかかる局面へ誘い込み、
そこへインターセプトを狙い飛び込む、という、
基本はこの守備の連動性の繰り返しである。

確かに、得点になりそうな場面は結局、
足の速さに帰結する展開が多いのも事実ではあるが、
ファーストタッチをポイントに考えるだけでも、
その前にいかに周囲を把握しているか、
周囲がイメージを共有して連動できているか、
受けた時の体の向きやその後のプレイの選択はどうなのか、
そこに相対するDFのアタックの姿勢はディレイなのかインターセプトなのか、
そういう場面を意識しながら見ているだけでも、
大学サッカー観戦の意義は果たしていただろうと。

結局、驚くべき目を見張る技術が出現するワケではないが、
判断しやすい視野や技術を発揮しやすい体勢を確保するという当たり前のことを、
いかに周囲との連携の中で互いに共有できるか、
ということに尽きた観戦レポートである。

で、もう1つの疑問への僕の考えとしては、
「美しく勝つ」の項で日本らしいスタイルって何だろうと書いたが、
ブラジルやイタリアは、こうすりゃ評価される、というプレイスタイルが、
少なくとも歴史の中で確立されているのでしょう。

だからある意味、監督の戦術がそれと余りに異なれば、
こんな守備重視の3バックはブラジルじゃないと、
監督がメディアより早く選手自身から叩かれたり反発を食ったりする。
監督の顔色を伺うのとは、まさに対極の位置関係とも言える。
リッピが攻撃重視の「半身の3トップ」みたいな体制を取って、
でも結局はトニとジラを併用さえせずトッティを先発落ちさせても、
イタリアンスタイルを分かってる選手やメディアや国民は「否」とは言わない。

脈々と受け継がれるスタイル、譲れない母国のプライド、
それがあるから、W杯が面白いという理由の1つともなるワケである。


今日は全文です♪
『Road to PK BAR(仮)』
http://wearecrazy.exblog.jp/

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