2015:J2:36節:A:vs東京ヴェルディ「代表規格とJリーグ規格の違い」その3

3、得点経過&分析

A:岡山:0-1:24矢島 慎也(14押谷 祐樹)「才覚が表れ決断力の光る貴重な先制ゴールから分かる考える力の重要性とチームの目指す道」

経過

バイタルエリア付近の攻守の激しいデュエルで、最終的に高いインテリジェンスで巧にキープした21加地 亮が前を向くと、迷いなく前線へのフィードを出す。
このパスをフリーで受けた14押谷 祐樹が、空中のボールをジャンプしつつ24矢島 慎也に落とすと前線へ走りだして、カウンターになる。
24矢島 慎也は、そのまま自陣へ引いてカウンターを遅らせようとする東京Vの選手に対し、ドリブルで駆け上がる。
14押谷 祐樹が東京Vの選手となって重なって、スルーパスの難易度が上がり、GKの位置を見ていたという24矢島 慎也がシュートを選択。
1佐藤 優也がゴールの少し前で左によっていたため飛びついて触るも弾ききれず、ゴールポストに当たって内側に跳ねて、岡山の先制ゴール。

分析

この試合で岡山のゴール前以外での岡山のデュエルが行われるという守備は少なく、基本的に東京Vのパス回しに対し、ハイプレスというのは、空振りに終わっていた。
その中で、一つのボールに対して、ボールを奪いに行くために体を何人も選手がぶつけ合うという貴重なデュエルのシーンだった。
やはり、激しくボールを奪いにいったのは8渡邊 一仁であり、それを回収したのも円熟味溢れるインテリジェンスなプレーが出来る21加地 亮であった。
21加地 亮のその後のプレーでは、冷静に効果的なパスを出しており、こういった当たり前のプレーを当たり前の様にする安定感というのが光る一連のプレーであった。
これが、21加地 亮が重宝される最大の理由である。
実際この試合での26田中 奏一が何も出来ずに終わった事を考えてもこういった劣勢に近いハイレベルな試合では、インテリジェンスが求められる事は、間違いない。

また、なんと言っても24矢島 慎也のゴールというのは、スーパーゴールだった。
何が凄いのか述べて行くのでそこを知って欲しい。
驚くべきは、試合後の岡山の公式HPのコメントでは、東京Vの1佐藤 優也のポジションが前目に来ているというのを把握していたという事である。
FWの選手でもそういった情報を感覚で感じ取っていても、把握して言葉に出来ない選手が居る中で、ディフェンシングハーフという後方の位置ながら、冷静にそういった情報を整理して把握していた事である。
これは、どこにどういったパスを出せば効果的で成功率が高いのか。
もしくは、シュートをどこに蹴れば決まる可能性が高いのか。
パスやシュートというアクションを行うための判断材料として全体を把握し、アシストもしくはゴールという結果を残すために逆算されたプレーが出来ている事を示している。

そして、勿論その技術も素晴らしい。
遠距離であったが、しっかり枠を捉えており、シュートの威力もあった。
これは、しっかりボールの中心を捉えるミート力と、ボールをどこに蹴れば決まるのかというのをイメージする想像力、それを決断して迷いなくプレーをやり切る思い切りの良さである決断力に優れていた証拠である。

今季加入した35岩政 大樹の発言を見てもインテリジェンスに溢れており、一つ一つプレーに対しても情報量が違う。
また、同様に前述した通り、21加地 亮のプレーの一つ一つを見ても非常にインテリジェンス溢れるプレーが目立つ。
そして、このゴール及び試合後のコメントを見ても24矢島 慎也もそういった「考える力」を持った選手である事が分かる。

このゴール一つの情報を整理しても世界で戦って来た選手が如何に凄いのか。
テクニックやフィジカルが優れているだけでは、世界で戦えないという事を再認識された。
岡山が、育成型クラブを目指す上で、こういった考える力を鍛える事が出来れば、世界で戦える選手を育てる事が出来るという参考すべきである。
テクニックやフィジカルを鍛える事も大事だが、こういった考える力というのを如何に落とし込めるのか。
これが、如何に難しく大事な事であると感じた。

最後にデュエルから始まった得点シーンであった事。
ここも大事なポイントである。
守備から入る左翼型チームである以上、良い奪い方からのカウンター。
そういった形を如何に作るかである。
奪うためには、デュエルというのが非常に大事である。
1対1でどれだけ奪えるか。
空中戦にどれだけ勝てるか。
攻守の切り替えを早くし、どれだけボールを奪われた時に守備に戻れるのか。
接触プレーで粘り強く主導権を握って、ボールをマイボールにするのか。
こういった感じに守備時には多くの場面でデュエルが行われる。
そこを増やして、かつそこに勝てればボール奪取に繋がり易い。
言うなれば、この場面では、高い個人技により可能としているパス回しに対して、ボールの奪いどころを作れた数少ないシーンであり、実際そこから得点に繋がった。
これは、チームコンセプトに則った岡山らしい得点であったと言える。
それと同時に岡山というチームが上を目指す上で、高めて行く必要がある要素であり、ボールをもっと奪えるシーンを増やしていきたい。
現状のチーム力では、上位の東京Vの試合の内容が示す通り、あまりに「奪う」事が出来なかった。
今後更なる高みを目指す上で、高めて行きたいポイントの一つである。

その4に続く。

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