2016:J2:4節:A:vs水戸ホーリーホック「高くなったチームの重心」その2

2、戦評

岡山は、前節一人少ない京都に追いつかれるという勝ち点2を逃して、今節こそ勝利をと強い気持ちを持って、水戸のホームに乗り込んで来た。
水戸も今季初勝利に向けて、士気は高い。
前半は、風上に立った水戸が終始優勢。
岡山の24赤嶺 真吾へのマークをしっかりして、孤立させた。
セカンドボールも水戸が拾い、サイドや中央から色んな形で岡山ゴールに迫った。
岡山は、途中から2トップに変更し、打開を図り形は作るものの、シュートまで持っていく事は出来なかった。
主導権を握って攻める水戸に対して、岡山は、35岩政 大樹を中心に粘り強く守って決定機は作らせず、無失点で、前半を折り返す。

ハーフタイムでの交代は、両チーム無かった。
前半の膠着状態の中で、主導権を握っていた水戸ではなく、岡山が先制点で試合を後半の早い時間に動かす。
19片山 瑛一のロングスローに対して、後方からやってきたノーマークだった35岩政 大樹が、30宋 株熏に競り合いというデュエルで勝ち、力強いヘッディングシュートを決めて、先制ゴール。

劣勢だったが、先制点で流れを掴んだ岡山に対して、水戸は10船谷 圭祐に代えて、17湯澤 洋介を投入。
すると、その17湯澤 洋介のミスパスから岡山のカウンター。
19片山 瑛一がボールを奪って、すぐ前方の14押谷 祐樹に預けて、スペースへ走った19片山 瑛一がサイドでリターンパスを受ける。
19片山 瑛一は、14押谷 祐樹の足下ではなく、14押谷 祐樹の狙っているスペースへのパスを出す。
14押谷 祐樹は、絶妙なトラップからしっかりコースを狙ったシュートを放ち、これが決まって、岡山が追加点。

しかし、これで逆に火が付いた水戸がすぐさま1点返す。
水戸がサイドを5伊藤 槙人→22内田 航平→26佐藤 和弘と創造性溢れるパス交換で、一気にサイドを突破すると、26佐藤 和弘がクロス。
一度は6竹田 忠嗣がブロックするも毀れ球を22内田 航平がダイレクトでラストパスを入れて、11三島 康平が、押し込んで、1点返す。

その後は、お互い攻め合い岡山も追加点のチャンスがあったが、決めきれないで試合が進行するとアディショナルタイム。
水戸がFKで、7兵働 昭弘が素早いリスタートで、2田向 泰輝がパスを受けて、1トラップ後中を見て、狙いすましたクロスをを入れる。
これにルーキーでこの試合がデビュー戦の29宮本 拓弥が、高い打点のヘディングシュートで、プロ初ゴールを決めて、水戸が、同点に追いつく。

しかし、試合は、これで終わらない。
19片山 瑛一のクロスは、一度は跳ね返されるも毀れ球を競り合いというデュエルで、21加地 亮→5渡邊 一仁→16関戸 健二→19片山 瑛一と繋ぐ。
19片山 瑛一は、この場面で、ループパスとも言えるクロスを上げるという驚異的な落ち着きからのパスにファーサイドに居た35岩政 大樹へと通る。
35岩政 大樹は、このクロスでヘッディングシュートを放ち、GK21笠原 昂史の頭上を超えて行く浮き球のヘディングシュートが、ファーサイドのゴールネットを揺らして、劇的勝ち越しゴール。
19片山 瑛一とクロスと35岩政 大樹のゴールは、時が止まる様な難易度の高い素晴らしい勝ち越しゴールだった。

前節の悪夢を払拭する劇的勝利で、岡山は今季2勝目。
しかし、岡山としては、2試合連続複数失点かつ、アディショナルタイムに追いつかれるという課題を残した試合となった。
また、水戸にとっては、勝ち点0から勝ち点1を獲得という最低限の結果が手に入ると思ったが、同点に追いついた直後の失点で、悔しい敗戦となった。

3、試合評

チーム評

A:岡山

6竹田 忠嗣、19片山 瑛一、10矢島 慎也で守る左サイドは、明確な弱点を抱えている事は、ここまでの4試合で、誰が見ても明らかである。
19片山 瑛一と6竹田 忠嗣、10矢島 慎也の攻撃力というのは、ここまでの8得点の攻撃を支えている事は間違いない。
逆に右サイドは、21加地 亮、5渡邊 一仁、39篠原 弘次郎というのは、球際のでの守備に強い選手。
今季右サイドを崩されてというのは少なく、失点シーンでは、左サイドから崩されて、最終的にその影響で生まれたスペースを使われて失点している。
35岩政 大樹も釣り出されて、中央の高さや強度が損ねて失点するシーンも目立つ。
チームとしては、当然この部分の組み合わせとして色々と試している事が予想されるが、ここを弄る事によって、すぐに得点力不足に陥る事も十分あり得る事もあり、手を加えにくい。
左サイドを攻略された時に崩し対策として、39篠原 弘次郎に代えて高さのある23久保 飛翔の起用も考えれるが、経験や連携を含め、まだ時期早々と言える。
現実的な選択として、ボランチを3枚にする事で、低い位置で左サイドをカバーする力を上げるという選択肢もあるが、この試合の様に主体的に攻めるという事が、難しかった時にシステムを変更する事を重視している様だ。
攻撃と守備は、表裏一体であり、守るだけでは勝てないし、その辺り広島の様に攻める時と守る時。
これを見極めて、運動量を抑えつつ、守備を固めて、カウンターで加点を狙う。
そういった90分間でのインテンシティの強いサッカーを出来るかどうか。
現状は、チームとしては守備が脆く、インテンシティに欠けている。

また、チームとしてかつてなく、主体的に攻める時間帯というのが多く、前がかりになる部分がある。
昨季までは、前線まで運ぶことが難しい時間帯が多かった。
しかし、攻撃のタレントが多く揃ったが事で、デュエルの部分でも戦えるようになり、ボールをキープ出来たり、シュートまで持っていく事が出来る様になっている。
昨季と違って誰か1人を抑えていれば、岡山の攻撃を抑えられるという事は無く、多くの選手に注意する必要があり、ここまで高い攻撃力を誇っている。
徐々に攻撃の形が良くなっており、これに20藤本 佳希であったり、11三村 真といった選手が、戻ってくればもっと良くなるだろう。
一方で、攻めれている分、隙が生じてそこから失点する事も多く、ゴール前に人数が集まって跳ね返すというシーンは、昨季と比べて少ない。
その結果、個の守備力の低さというのが目立っており、その部分を練習から負けない様に集中して行く必要がある。
そして、チームとしての重心の高さに早く慣れて、安定した守備を取り戻して行きたい。

その3に続く。

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