2017:J2:23節:A:vsツエーゲン金沢「J2屈指のセットプレーでの破壊力を持つチームへ」

金沢vs岡山:1-2
得点者:27塚川 孝輝(19片山 瑛一)、17朴 亨鎮、10中美 慶哉(14金子 昌広)
観客数:4,293人

1、チーム情報&評点

評価基準

良:1~5:悪

審判

主審:高山 啓義:2.5
副審:藤澤 達也、日比野 真:2.5

A:岡山

監督

長澤 徹:2.5

スタメン

24赤嶺 真吾:2.5
30豊川 雄太:2.5、8石毛 秀樹:2.5
17朴 亨鎮(パク・ヒョンジン):2.0、27塚川 孝輝:2.0、16関戸 健二:2.5、2澤口 雅彦:2.5
14喜山 康平:2.5、39篠原 弘次郎:2.5、19片山 瑛一:2.0
22一森 純:2.5

リザーブ

GK:13櫛引 政敏
DF:6竹田 忠嗣
MF:5渡邊 一仁、7伊藤 大介
FW:11三村 真、10大竹 洋平、20藤本 佳希

途中交代

8石毛 秀樹→5渡邊 一仁:3.0
30豊川 雄太→7伊藤 大介:2.5
2澤口 雅彦→6竹田 忠嗣:3.0

 

H:金沢

監督

柳下 正明:2.5

スタメン

9佐藤 洸一:2.5、11杉浦 恭平:2.5
10中美 慶哉:2.0、15宮崎 幾笑:2.5
6小柳 達司:3.0、6大橋 尚志:2.5
18野田 紘史:2.5、3作田 裕次:3.0、39庄司 朋乃也:2.5、28石田 崚真:2.5
23白井 裕人:2.5

リザーブ

GK:22田尻 健
DF:5太田 康介
MF:7秋葉 勝
FW:14金子 昌広、19垣田 裕暉、24大槻 優平、30山崎 雅人

途中交代

11杉浦 恭平→19垣田 裕暉:3.0
18野田 紘史→14金子 昌広:2.0
4小柳 達司→5太田 康介:2.5

2、得点経過

A:岡山:0-1:27塚川 孝輝(19片山 瑛一)

 24赤嶺 真吾が、サイドへ展開し、クロスを入れて8石毛 秀樹がシュートもブロックに遭うというシーンでCK獲得。
 更にそのCKで8石毛 秀樹が蹴って、毀れ球を24赤嶺 真吾がシュートも再びブロックに遭い3度目のCK。
 3度目の正直で、8石毛 秀樹が蹴ったボールに19片山 瑛一が、ニアですらして、後方で27塚川 孝輝がダイビングヘッドを放って、これがゴールに突き刺さり、27塚川 孝輝自身の明日の誕生日を祝う岡山の先制ゴールを決まりました。

 まず、このゴールには何点かポイントがあります。
 1つ目は、24赤嶺 真吾がサイドへしっかり開いて走っているという事。ベテランともいえると思いますが、走るべき所でしっかり走っていい形を演出出来る事は素晴らしいと思います。スピードが不足していてもサイドから良い形を作る事ができるインテリジェンスは、素晴らしい思います。
 2つ目は、8石毛 秀樹のキックの精度です。平均身長が高くなったこともあるかもしれませんが、8石毛 秀樹がスタメンに出る様になった辺りからセットプレーからの得点は増えており、その平均身長が高くなった状況を上手く活かす事ができている事も素晴らしいと思います。新加入の選手も身長が高いですし、セットプレーは、より武器になると思います。
 そして、3点目ですが、19片山 瑛一のポジショニングは大きいと思います。1つのパターンとして19片山 瑛一が前のニアサイドですらして、後方の選手がフリーで決めるという形。これは、30豊川 雄太のゴールが印象に残っていますが、それとほぼ同じ形です。ゴール前の混戦の中で、フリーで打つことは、J2レベルであればなかなか難しい事です。しかし、ニアサイドで、1クッションおくことで、少しズレが生まれます。ゴール前の至近距離でのこのズレを少しでも作る事ができれば、高確率で決まるかなり有効なセットプレーの形と言えると思います。2つ目と重複する部分がありますが、8石毛 秀樹と17朴 亨鎮の精度が高いから狙える形であり、昨季以上にセットプレーは破壊力があると思います。
 4つ目は、やはりチームとして迷いなく狙えている点です。27塚川 孝輝を含め、そのすらしたボールに対して、反応良く迷いなく飛び込んでいます。全く対応出来ていなかった金沢の選手と比べてもまるでそこに来るかがわかっていた様にダイビングヘッドという難しいプレーを混戦の中選択できるわけですから、快心のゴールと言えると思います。

 この4点から考えてもチームとしてセットプレーを如何に得点を繋げるかという部分をしっかり煮詰めて、練習からしっかり準備出来ていると感じました。今後も勝利に繋げるセットプレーでの得点に期待したいです。

A:岡山:0-2:17朴 亨鎮

 右CKを左利きの17朴 亨鎮(パク・ヒョンジン)が蹴ったボールは、前に出ていたニアサイドの選手を超えて行き、手薄だったニア後方で、手前の方のポストバー付近で巻いて入っていて直接決まるというエクセレントなゴールでした。6小柳 達司も少し触ってますが、素晴らしい軌道であったと思います。

 これは、チームとして色んな形を狙って行く中での副産物であったと思います。やはりパターンが多ければ、守り方も難しいですし、条件が良ければ、こういったゴールも決まります。また、その条件を活かす事ができた17朴 亨鎮(パク・ヒョンジン)を褒めるべきであると思います。

H:金沢:1-2:10中美 慶哉(14金子 昌広)

 DFラインに多くの選手が吸収されている、もしくは、ラインが下がり気味になってしまっているという時間帯であったと思います。その中で、プレスに行けずサイドへ展開されてしまいます。サイドでほぼフリーで受けた14金子 昌広は、迷いなくアーリークロスを入れます。これが精度が高く裏へ走っていたファーサイドの10中美 慶哉のシュートまで行かれてしまいました。シュートも当てるだけという感じの様なコースを突いたシュートが絶妙でした。22一森 純も正面に構えていましたが、ゴール至近距離で、ファーサイドに打たれてしまうと防ぐことはほぼ出来ない素晴らしいシュートであったと思います。

 チームとして受け身になってしまう時間帯での失点でした。昨季までパワープレーを跳ね返して、そういった波状攻撃を受ける時間帯が短かったですが、今季はそういった時間帯が長くなってしまった試合が多く、この試合でもそうでした。もしくは、その時間帯が短くても一瞬の隙を突かれて失点してしまった試合も多く、この試合の様に終盤に失点しまう事が、今季は目立っています。チームとしての得点力が上がった事で、なんとか勝つことが出来ていますが、この部分の改善の必要性は高く、優勝争いをしている福岡の様な力強さが備われば、もっと勝てる筈であると思いますので、最終ラインに高さが無い中で、どうやって守っていくか、この課題に対して、ディティールの部分までしっかり修正して、1試合1試合戦い抜いて欲しいと思います。

3、戦評

数値評

評価基準

良:A~E:悪

A:岡山

攻撃評価:B
守備評価:B
采配評価:B
総合評価:B

H:金沢

攻撃評価:B
守備評価:C
采配評価:C
総合評価:C

文章評

 東京V戦のスタメン全員を入れ替えて臨んだ天皇杯の長野戦に敗れこそしましたが、この試合に万全の状態で臨む事ができた岡山。対する金沢は、多くの主力でスタメンで起用して天皇杯の神戸戦に臨みましたが、敗れました。コンディションに関しては、現地で調整した事もあり、アウェーですが、有利な状況でした。一方で、J2のリーグ戦は、4連勝中の金沢と8試合負けなしの岡山という構図でした。

 このカードは、前半はこの試合の様にリスクをあまり冒さない事が多く、チャンスは少ない傾向にあります。この試合でも実際にそういった立ち上がりで、両チーム慎重な形で試合に入りました。2澤口 雅彦のプレーが分かり易く、前半戦は、前へ行くプレーがほとんどありませんでした。しかし、後半からは、意を決して攻撃に絡むシーンも増えて来ました。縦へ中へ逆サイドへ。前半ではあまり見れなかったパスでの効果的崩しで、攻撃を活性化していました。流石に前半セーブ気味でも90分間走り切る事は、スタミナ的に厳しいですが、この試合の岡山を象徴するプレーぶりかと思います。

 得点経過でも触れましたが、セットプレーが大分整備されてきたと感じます。左右の両サイド毎にロングスローワーがいて、利き足が左足右足のキッカーが各2人ずつ。これだけ揃っているチームは、近年のJリーグでも珍しいと思います。具体的には、ロングスローワーに関しては、左サイドが17朴 亨鎮(パク・ヒョンジン)で、右サイドが19片山 瑛一。プレースキッカーに関しては、右足が利き足の8石毛 秀樹と7伊藤 大介、左足が利き足の17朴 亨鎮(パク・ヒョンジン)と10大竹 洋平と、スペシャリストとも言える選手が揃っています。次の山口戦からは、高身長の新加入選手が出場可能ですし、より武器になるのではないでしょうか。上手くフィットすれば、セットプレーだけで、3得点以上という離れ業も可能かもしれません。それだけの武器になりつつあると思います。

 やはり、DHの二人のインテンシティの高さというのは、チームのタフさに繋がっていると思います。27塚川 孝輝は、ルーキーながらパフォーマンスの向上は著しく、90分間持つスタミナもついてきました。恵まれた体格を活かしたプレーは、攻守で引き締める事ができています。何より凄いのが、発想の柔軟性です。精度は高くなくてもスルーパスやプレーの選択は、意表が突く事ができる事も多い。技術だけであれば、25武田 将平の方が優れますが、パスセンスであったり、視野の広さ、高い守備能力。こういった部分が、光っていることで、出場機会を勝ち取っています。今後も出場機会は、増えてくると思いますし、今後の成長と活躍が楽しみです。
 また、相方の16関戸 健二の運動量は素晴らしく、攻守での頑張りが目立ちます。後ろから前へ縦横無尽に走り回っています。ボールロストも少なくはないですが、出場機会が増えてくる中で、パフォーマンスがこちらも復調していきていますし、ルーキーの時以上のプレーを見せる事も増えて来ました。
 この二人の頑張りというのは、チームの好調において重要な役割を果たしている選手で、今後の活躍が楽しみです。

 チームとして出来る事が増えてきている事は大きいですが、まだまだ改善すべき点も多く、得意の夏場だけではなく、終盤でもしっかり勝てるチームをどう作っていくのかは、注目すべき点です。実際に、この試合でも許してしまった終盤での失点と、流れからの得点を増やす事ができなければ上を目指す事は、難しいと思います。この部分に関して、どうチームとして対応していくのかは、最後まで修正できないのではないかという不安と、試合を重ねて行く中でしっかり修正していきJ1昇格を果たしてくれるという期待という相反するものがあります。そういった難しいミッションではありますが、新戦力と巧く融合させて、達成してくれると信じたいです。

試合評

MOM:17朴 亨鎮(岡山)
MIP:15宮崎 幾笑(金沢)
満足度:8点(10点満点)

岡山から世界へ
To Be Continued

by 杉野 雅昭(masaaki sugino)

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