ファジアーノ岡山2018年シーズン前考察Part6「TRM愛媛戦」

1、前書き

 開幕まで1か月を切りこの練習試合を経て、キャンプでチームを仕上げて開幕に臨む形になります。キャンプに向けて、課題を掘り出すために重要な1戦と言えたTRMです。怪我人が多い状態ですが、今いる選手で、開幕に向けて、しっかり準備することが求められる状況でもあり、情報を制限しつつ、どこまで課題を見つけられたか。ここまでの練習やTRMで、選手の特徴は掴めていると思いますし、このTRMの結果をしっかり整理して、まとめて行きたいと思います。
 まずは、恒例のポジション分布から入りたいと思いますので、宜しくお願い致します。

2、ポジション分布

3-4-3(3-4-2-1)

GK:13金山 隼樹、22一森 純、1椎名 一馬、40李 京泰(イ・キョンテ)、29似鳥 康太
CB:3後藤 圭太、4濱田 水輝、6喜山 康平、5増田 繁人、27チェ・ジョンウォン、33阿部 海人、31下口 稚葉、23久保 飛翔
DH:14上田 康太、15末吉 隼也、16関戸 健二、8塚川 孝輝、25武田 将平、28加藤 健人
LWB:19仲間 隼斗、11三村 真、34デューク・カルロス
RWB:21椋原 健太、26松本 健太郎、2澤口 雅彦
OH:7伊藤 大介、10大竹 洋平
ST:18斎藤 和樹、30武田 拓真、20藤本 佳希
CF:24赤嶺 真吾、9李 勇載(イ・ヨンジェ)、32福元 友哉

4-5-1(4-2-3-1)

GK:13金山 隼樹、22一森 純、1椎名 一馬、40李 京泰(イ・キョンテ)、29似鳥 康太
CB:3後藤 圭太、4濱田 水輝、5増田 繁人、27チェ・ジョンウォン、33阿部 海人、23久保 飛翔
LSB:6喜山 康平、34デューク・カルロス、
RSB:21椋原 健太、31下口 稚葉、2澤口 雅彦
DH:14上田 康太、15末吉 隼也、16関戸 健二、8塚川 孝輝、25武田 将平、28加藤 健人
LSH:19仲間 隼斗、11三村 真
RSH:18斎藤 和樹、10大竹 洋平、27松本 健太郎
OH:7伊藤 大介、30武田 拓真、32福元 友哉
CF:24赤嶺 真吾、9李 勇載(イ・ヨンジェ)、20藤本 佳希

 

3、注目ポイントに対する感想

注目ポイント1:どこまで状態を上げてきているのか。

Q、「TRM姫路獨協大学戦の試合中に修正して良くなっていたサッカーが1回のTRMと練習を重ねて行く中で、どこまで良くなったのか。」

A、「まだ、パスがずれる選手がいるもののボールを主体的に持つことが出来、しっかり得点をすることが出来るまでに状態が上がってきている。また、前回より連動性が増し、連携に磨きがかかっている。キャンプで、この辺りをしっかり煮詰めて、パスミスや連係ミスを減らし、シュート数を増やし、得点増と危険な守備シーンを減らしたい。」

注目ポイント2:どこまで実戦的な組み合わせでTRMを行うか。

Q、「TRM姫路獨協大学戦では、年齢に応じたチーム分けに近かったですが、この愛媛戦では、どこまで実戦を想定した組み合わせで、TRM愛媛戦に臨むのか。」

A、「ベテラン組は、4バックを実戦導入。怪我人が出ていることも関係しているものの3バックと遜色ない出来で、十分オプションとして使える。まだ、ベストメンバーといよりは、年齢により分けているので、最適格とは言えず、あくまで、状況に即した形で、チームを組んだ印象。3バックと4バック共に、若手とベテランを融合した時に、どれだけ力を見せてくれるのか。」

注目ポイント3:怪我であった新戦力の選手がどれだけ復帰しているか。またそのプレーぶりは。

Q、「やはり、新戦力というのは、気になる所で、前回のTRM姫路獨協大学戦で見る事ができなかった選手が出場すれば、是非見てみたいです。」

A、「新加入での、初登場の選手は居なかった。ただ、後半に出てきたユース組の技術の高さとそれを活かした仕掛けの切れ味の高さに驚いた。実際にユース組2人で、崩してゴールに絡んだ事もあり、これからの成長が楽しみ。」

注目ポイント4:怪我であった既存戦力の選手がどれだけ復帰しているのか。また今季はどこで起用を考えているのか。

Q、「やはり、チーム構成が大きく変わった中で、既存戦力の起用法というのは、1つのポイントなると思いますし、そこにも注目してみたいです。」

A、「11三村 真が、SBをしていた。攻守ともに課題は多く、個人的には1つ前で見たい。OHの7伊藤 大介、CFの24赤嶺 真吾の安定感は流石。」

注目ポイント5:どこまで今季のサッカーをみせるのか。

Q、「長澤 徹監督は、情報を大事にする監督で、非公開の練習やセットプレーを温存したりしますが、この試合では、どこまで勝ちに拘るときの手の内を見せてくれるのか。本番を想定した試合は、キャンプの最終日に非公開で、TRMすると思いますし、サポーターなどに対してどこまで見せてくるのかはやはり気になります。」

A、「1つのオプションとして4バックを使えるという事が、この試合で証明出来た。情報を重視する対戦相手とかであれば、情報戦を制すことが出来れば、それだけで優位に立てそう。また、試合途中のシステム変更や、再三触れている6喜山 康平をキーとした可変システムの導入。この辺りを実戦で導入出来れば、柔軟性のある戦い方が出来るので、負け辛くなると思います。6喜山 康平が怪我という事で、この辺りに取り組めないものの4バックと3バック共に完成度を高めていけば、十分戦えるという事をこのTRMでは見せる事が出来たのではないかと思います。」

注目ポイント6:予想されるミラーゲームで、どこまで個の部分で戦えるか。

Q、「メンバーが大幅に変わった事に加えて、成熟度が低い分、個の力が目立ちます。その中で、どれだけ輝けるか。また、個が光った選手がいるのかどうか。」

A、「予想に反してベテランチームは、4バックで戦ったものの若手組は3バック。若手組は、強風で、長い時間プレーしていたこともあり、劣勢に立ったものの風上に立った時に優勢に立って、個の力で、しっかり仕掛けて得点まで行けたので、層は厚いと言える。粘り強い守備や積極性。こういった武器をしっかり出せていたので、ミラーゲームとしては、良い出来だった。」

注目ポイント7:キャンプに向けての課題は?

Q、「ある程度手の内を隠したとしてもやはり真剣勝負ですから本気でやりあう分、この時期だけに多くの課題は出てくると思います。そこが、どういった部分で、どれぐらいの課題なのか。」

A、「怪我人が多い中、3バックと4バックの完成度を高めつつ、怪我人が戻ってきた時に1人メンバーが変わった時でも崩れない安定感を作れるかどうか。2失点は、1椎名 一馬のミスと風上に乗った強烈なFKであったので、崩されたもう1失点のミドルシュートを打たせない守備組織に課題を残した。中央のスペースをしっかり埋めて、シュートコースをしっかり限定していきたい。この辺りの微修正というよりは、守備の形の構築が急がれる。TRM3試合で、無失点に抑える事が出来ていないですし、チームとして守備強度を抑えていないのであれば、守備の連動性をキャンプで仕上げて欲しい。セットプレーも高身長の選手とヘッディングシュートの得意な選手も多いので、この辺りもしっかり作り上げて欲しい。」

4、布陣

監督

岡山:長澤 徹
愛媛:間瀬 秀一

1本目~2本目途中

H:岡山

24赤嶺 真吾
19仲間 隼斗、7伊藤 大介、18斎藤 和樹
14上田 康太、15末吉 隼也
11三村 真、3後藤 圭太、4濱田 水輝、21椋原 健太
13金山 隼樹

A:愛媛

15丹羽 詩温
20河原 和寿、7近藤 貴司
17小暮 大器、16田中 悠人、10神谷 優太、14小池 純輝
24池田 樹雷人、2山崎 浩介、23林堂 眞
1岡本 昌弘

2本目途中~3本目(15分)

H:岡山

32福元 友哉
63練習生→64練習生、30武田 拓真
61練習生、27塚川 孝輝、25武田 将平、26松本 健太郎
27チェ・ジョンウォン、31下口 稚葉、33阿部 海人
1椎名 一馬→22一森 純

A:愛媛

40練習生
11神田 夢実、13練習生
33練習生、25竹嶋 裕二、6野澤 英之、34練習生
29練習生、19練習生、3玉林 睦実
31朴 成洙(パク・ソンス)→22原 裕太郎→21馬渡 洋樹

5、得点経過

H:岡山:1-0:21椋原 健太(アシストは確認できず)

21椋原 健太が、パス交換からオーバーラップして裏へ抜け出します。そこから愛媛のDFが対応しますが、21椋原 健太がシュート気味のクロスかクロス気味のシュートという様な速いボールを中に蹴ります。1岡本 昌弘が触りますが、これが決まって岡山が先制。

A:愛媛:1-1:?

 丁度目を離した。ミドルシュートが突き刺さっていて、失点。

A:愛媛:1-2:?

3後藤 圭太が後ろのスペースをカバーして、バックパス。これに対して、愛媛の選手がプレスをかける。1椎名 一馬が強風で、風下であったとはいえ、余裕があった中で、グラウンダーのパスで、相手にプレゼントパス。これが、相手に跳ね返って、ゴールへ向かって転がっていく、1椎名 一馬が飛びつくも届かず、失点。

A:愛媛:1-3:?

ハーフラインに近い右側の所からのFK。風上のFKであったとはいえ、これだけ離れているのに、飛びつくことすらできず、突き刺さって失点。準備してなかった?

H:岡山:2-3:32福元 友哉

 ユースの子が二人で、左サイドを崩して、クロス。その先にいた25武田 将平がミドルシュート。21馬渡 洋樹が弾いたところを32福元 友哉が押し込んで、得点。

6、TRMレビュー

前半組

 最初に見たTRMに比べて、見違える様に良くなっていた。3バックではなく、4バックであった事も関係していたかもしれないが、より主導権を握れており、全体の距離感も良くパスが繋がり易くなっていた。ただ、まだまだミスパスが散見されたのとお見合いするシーンがあるなど、意図が合わないシーンも多かった。4バック自体は、違和感なく、機能していたと思います。
 個人的には、11三村 真のSBは、オーバーラップの回数の少なさや守備の部分で、課題も多く、厳しい様に感じた。一方で、21椋原 健太は、逆にSBが、主戦場という事もあり、守備とオーバーラップの回数、判断共に申し分なかったです。このポジションに関しては、6喜山 康平が復帰できれば、可変システムの導入を含め、改善できそう。個人的には、6喜山 康平の復帰までは、11三村 真より守備に同じく課題がありそうですが、得点力と運動量のある34デューク・カルロスの起用が面白いと思います。
 また、15末吉 隼也は、14上田 康太に比べて、ミスパスが多いので、守備でも強さを見せる27塚川 孝輝の起用も1つの選択肢はありそうです。
 そして、一番の収穫は、19仲間 隼斗の守備が非常に巧い事です。相手が愛媛FCという実力の近いチームという事があるかもしれませんが、体を巧く入れて奪い取る事が出来ます。ショートカウンターも期待できますし、讃岐戦のニュースを見ても自ら仕掛けてゴールを狙える選手ですし、巧く嵌れば10ゴール5アシストという結果も夢ではないかもしれません。
 18斎藤 和樹に関しては、凄さという部分でそこまで感じませんでしたが、30武田 拓真という技術力のある面白いルーキーがいるので、チームにフィットするまで辛抱強く起用し、30武田 拓真に経験を積ませていくのが面白いと思います。9李 勇載(イ・ヨンジェ)というカードの選択肢もあると思いますが、チームとして試合を重ねて行く中で、絶対値の向上と選手層の拡充のため、巧い選手起用に期待したいところです。

後半組

風下で、苦しい時間帯が続いていましたが、25武田 将平を中心に組み立てていました。25武田 将平の左足のキックは、多彩で、パス技術は、高いレベルにあるのは分かりましたが、守備強度が高い中で、その質を維持できるかという部分で、14上田 康太という選手が居ますし、今季でのスタメンは、なかなか難しそうでした。
チームとしては、核と言える力強さこそかけましたが、随所随所に積極性が光っていました。ユース生も技術の高さを見せていましたし、しっかり戦えていたと思います。
33阿部 海人も練習などを重ねて行く中で、判断の質の向上が見られ、前回より著しく改善していました。現状では、3後藤 圭太と4濱田 水輝の二人がリードしている状態ですが、チームとして我慢して若い選手を起用していくのか。それとも結果を重視し、ベテランを起用するのか。この辺り気になる所ではあります。
 やはり、何と言っても30武田 拓真が巧い。線は細いですが、ボールを簡単に失わない。ボールタッチが柔らかく、ゴール前でも力を発揮できる選手だと思います。個人的には、今季の新人の中でも高い期待感を持っています。早い段階で、出場機会を掴んで欲しい。
 32福元 友哉も高卒ルーキーとは思えないぐらい大きく、プレーに安定感が出てくれば、面白い選手で、素材としては、素晴らしい選手かと思います。出場機会に関しては、24赤嶺 真吾と9李 勇載(イ・ヨンジェ)という絶対的な選手が居る事が考えれば、かなり厳しいですが、これからの成長が楽しみな選手ではあると思います。

 チームとして、選手層の厚みと戦術的な柔軟性を観戦したTRMでは、感じましたので、チームとしての課題をどこまで修正し、チームを作り上げて行くのか気になる所ではありますが、ベースとなる部分は、できつつあったので、開幕が楽しみです。

7、後書き

やはり、今季は、3バックと4バックを併用していく可能性は高そうです。戦力分析などから4-5-1(4-2-3-1)と3-4-3(3-4-2-1)をベースに戦って行くと予想してきましたが、選手の状況によっては2トップを採用する可能性は、十分あると思いますし、可変システムなどの採用も十分あると思います。
チームとしての構成は、非常にバランスを取れた状態ですし、即戦力、新人共に過去最高の選手層と言えると思います。その分、絶対的な選手という存在こそありませんが、全員守備全員攻撃のハードワークとして、戦う方針に合致したチームであると思いますし、開幕が楽しみです。Part7を行うかどうか分かりませんが、次回は、戦力分析に入りたいと思いますので、そちらも宜しくお願い致します。

岡山から世界へ
To Be Continued

by 杉野 雅昭(masaaki sugino)

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