2018:FUJI XEROX SUPER CUP:川崎フロンターレvsセレッソ大阪「攻守の完成度の高さに差でC大阪が初優勝」

川崎vsC大阪:2-3
得点者:6山口 蛍(9杉本 健勇)、10清武 弘嗣(9杉本 健勇)、11小林 悠(PK)、13高木 俊幸(18梁 東炫)、4大久保 嘉人(16長谷川 竜也)
観客数:41,803人
試合会場:埼玉スタジアム2002

1、チーム情報&評点

評価基準

良:1~5:悪

審判

主審:福島 孝一郎:2.5
副審:平間 亮、木川田 博信:2.5
第4審;池内 明彦

川崎

監督

鬼木 達:2.5

スタメン

11小林 悠:3.0
8阿部 浩之:2.5、14中村 憲剛:3.0、41家長 昭博:3.0
21エドゥアルド・ダ・シルヴァ・ナシメント・ネット(エドゥアルド・ネット):2.5、19森谷 賢太郎:2.5
7車屋 紳太郎:3.0、5谷口 彰悟:3.0、3奈良 竜樹:2.5、6田坂 祐介:3.0
1鄭 成龍(チョン・ソンリョン):3.0

リザーブ

GK:30新井 章太
DF:2登里 享平
MF:10大島 僚太、16長谷川 竜也、25守田 英正
FW:4大久保 嘉人、20知念 慶

途中交代

19森谷 賢太郎→10大島 僚太:3.0
14中村 憲剛→4大久保 嘉人:2.5
6田坂 祐介→25守田 英正:3.0
8阿部 浩之→16長谷川 竜也:2.5
41家長 昭博→20知念 慶:評価不可

 

C大阪

監督

尹 晶煥(ユン・ジョンファン):2.0

スタメン

8柿谷 曜一朗:2.5、9杉本 健勇:2.0
10清武 弘嗣:2.5、7水沼 宏太:2.5
24山村 和也:2.5、6山口 蛍:2.0
14丸橋 祐介:2.5、23山下 達也:2.5、22マテイ・ヨニッチ:2.5、2松田 陸:2.5
21金 鎮鉉(キム・ジンヒョン):2.5

リザーブ

GK:27丹野 研太
DF:5田中 裕介
MF:17福満 隆貴、26秋山 大地
FW:13高木 俊幸、18梁 東炫(ヤン・ドンヒョン)

途中交代

8柿谷 曜一朗→18梁 東炫(ヤン・ドンヒョン):2.5
10清武 弘嗣→13高木 俊幸:2.0
7水沼 宏太→17福満 隆貴:2.5
14丸橋 祐介→5田中 裕介:評価不可
9杉本 健勇→26秋山 大地:評価不可

2、得点経過

C大阪:0-1:6山口 蛍(9杉本 健勇)

経過

 スローインの流れからしっかりパスを繋いで、左サイドから逆サイドまでしっかり繋いで、一気にスピードを上げた所で、川崎の守備網を突破し、24山村 和也が右サイドの裏のスペースへフリーで抜け出します。ここで安易に浮き球のクロスを選択せずに、近くにいた選手の足元へ付けるパスを出し、そのパスを受けた9杉本 健勇が、絶妙なボールコントロールで、反転して、近くの後方にいた6山口 蛍でボールを預けます。6山口 蛍は、フリーでしっかり助走を取って強いシュートをコントロールしてうち、これが右隅に突き刺さって、C大阪が、先制に成功しました。

コメント

 ボールの主導権を握る川崎に対して、C大阪は、ボールを奪った後の攻守の切り替えの速さで、このゴールシーンの経過の冒頭のスローインに繋げました。こういった攻守の切り替えの速さに強さを持っていたのが、大きなポイントで、攻める時の思い切りの良さというプレー強度とミスをせず持続的な攻撃に繋げる正確さというという対になる要素を備えた得点までの流れでした。
試合を通してポゼッションの部分では、主導権を川崎に渡していましたが、このシーンの様に攻める時の技術と強さという両要素を持った攻撃というのは、非常に力強く、川崎としてもそれを防ぐ事が難しかった。

C大阪:0-2:10清武 弘嗣(9杉本 健勇)

経過

 1本のロングパスで、最終的な競り合いで、9杉本 健勇が高さと強さを活かして競り勝ち、サイドのスペースへ走っていた10清武 弘嗣へと頭で繋ぎます。そのままGK1鄭 成龍(チョン・ソンリョン)と1対1となると、10清武 弘嗣は、冷静に動きを見極めて、狙いすましたシュートを決めて、C大阪が立ち上がりに追加点を決めて、上々な後半のスタートを切りました。

コメント

 この試合での勝負を分けた差を象徴する得点シーンであったと思います。川崎の前線とは対称的に、後半のC大阪の前線の2選手は、高さと強さ、巧さという特徴を持った2枚看板のストライカーでした。その1枚であ9杉本 健勇が、その3拍子揃った能力を発揮し、決定機なシーン作って、追加点に成功したというシーンであったと思います。
 やはり、主導権を握れなくても前線のゴールに近い所で、持つ時間帯が長くなれば、得点機会も増えますし、そういった良さが出た得点でした。

川崎:1-2:11小林 悠(PK)

経過

 川崎が左サイドからデュエルの中で、最終的なボール保持者となり、その保持者である41家長 昭博が、フリーでクロスを入れる事に成功します。そのクロスを22マテイ・ヨニッチがクリアするも上に高く上がり過ぎた事で、不十分に終わります。その落下点に居た7車屋 紳太郎に対して、軽率にも後ろから競りに行った18梁 東炫(ヤン・ドンヒョン)が、7車屋 紳太郎が競ろうとした事を、上から潰すような接触をしてしまいペナルティエリア内でのファールとなり、川崎がPKを獲得しました。
 このPKを11小林 悠が、正面に蹴り、それを予測出来なかった21金 鎮鉉(キム・ジンヒョン)は触れず、川崎が1点を返すことに成功しました。

コメント

 激しい守備の所を突破すると何かが起きるというそういったシーンであったと思います。C大阪としては、PKを与えた18梁 東炫(ヤン・ドンヒョン)のプレーは、確かに軽率ではあったもののサイドのデュエルでの攻防で、奪えそうになっていただけにそこで、しっかり奪いきれなかった事が、試合の中での危険度というのは、試合の中では小さいと言えますが、この経過の中では、大きな失点要因であったと思います。

C大阪:1-3:13高木 俊幸(18梁 東炫)

経過

 C大阪の浮き球のパスを何度かクリアするもC大阪の選手が、セカンドボールを拾って、状態を整えてパスを繋ぎ、当てて落として当ててという組み立てで、18梁 東炫(ヤン・ドンヒョン)の所に収まります。この時、ボールの移り変わりがあった事と、守備のバランスが少し崩れていた事もあり、寄せに行けず18梁 東炫(ヤン・ドンヒョン)が前を向くことが出来ました。18梁 東炫(ヤン・ドンヒョン)が前を向いた時も川崎の選手は、寄せに行けませんでした。そのため18梁 東炫(ヤン・ドンヒョン)は、、13高木 俊幸の動きをしっかり認知し、裏へ抜け出すタイミングを余裕を持って計ることが出来、実際にそこに丁寧なスルーパスを通す事が出来ました。このスルーパスを受けた13高木 俊幸は、ほぼGK1鄭 成龍(チョン・ソンリョン)との1対1となり、シュートコースもあったので、そこを冷静に狙ってけり、流し込む様なシュートが、決まって、C大阪が、追加点を決める事が出来ました。

コメント

 流れの中で、ボールの保持者が入れ替わったとはいえ、18梁 東炫(ヤン・ドンヒョン)に対しての守備のアプローチが緩かった事が、失点に繋がった大きな要因であると思います。せめて、1人でも18梁 東炫(ヤン・ドンヒョン)の自由を少しでも制限出来ればと強く感じました。

川崎:2-3:4大久保 嘉人(16長谷川 竜也)

経過

 川崎が、クリアボールを巧く繋ぎ、サイドへ展開。パスを受けた16長谷川 竜也が仕掛ける。24山村 和也が一度はボールを奪うも繋ごうとしたところを16長谷川 竜也が奪い対面する22マテイ・ヨニッチも反応出来ない速いボールで、股を通します。その先にいた4大久保 嘉人が、フリーで押し込んで、川崎が、終盤に1点差に詰め寄ります。

コメント

 クリアボールからでしたが、この時間帯でもミスなく、しっかり繋いで、サイドのスペースを突くことに成功した事が大きかったと思います。一度は24山村 和也に奪われてしまいますが、24山村 和也が、繋ごうとした判断ミスを見逃さず、奪いきった川崎のチームとしての諦めない姿勢が生んだ、次の試合に繋がる得点であったと思います。
 また、4大久保 嘉人もそこに入って得点を決めたゴールの嗅覚も素晴らしかったです。

3、戦評

数値評

評価基準

良:A~E:悪

川崎

攻撃評価:C
守備評価:D
采配評価:C
総合評価:C

C大阪

攻撃評価:B
守備評価:B
采配評価:B
総合評価:B

文章評

寸評

 川崎の守備組織の甘さを、この時期としてはかなり良い仕上がりを見せる連動した動きで、C大阪が、立ち上がりから的確に突き、ゴールに迫ります。実際に先制したのもC大阪で、技術の高さ強さを活かした川崎のお株を奪うパス回しから狭い所を着実に突いた攻撃で、C大阪が先制に成功します。川崎もボールを持てているものの攻めているという印象を持てず、C大阪が前半の主導権を握って終えます。
 後半の頭から川崎は、選手を入れ替え、システムも変更し、川崎はゴールへ向かって行く方針を前面に出します。ハーフタイムから出た4大久保 嘉人が存在感を見せていましたが、立ち上がりに追加点を決めたのは、C大阪。1点目に続き、9杉本 健勇のアシストで、10清武 弘嗣というゴールでした。1サイドゲームになる雰囲気も出始めましたが、昨季J1リーグ最多得点のチームとして川崎が、PKで直後に1点返します。
 ここで、流れを変わるかと思われましたが、ゴール前で高さと強さ、技術の3拍子揃った前線にしっかり収まる事で、ゴールへ向かって行く力は、やはりC大阪にありました。川崎は、守備の組織力の部分で、C大阪の強力な2トップを抑えきれず、連動した崩しの前に、3点目を許します。川崎も終了間際に4大久保 嘉人の得点で、勝利する事を最後まで諦めずに戦いきります。しかし、それ以上にC大阪が、攻守で高い組織力とチームとしての完成度の高さを発揮し、逃げ切りました2-3で試合終了。
2-3というスコアではありましたが、それ以上の差を感じる試合でした。C大阪が順当に勝利し、FUJI XEROX SUPER CUPで、初優勝というACLとJ1に向けて最高のスタートを切りました。川崎もACLとJ1に向けて、課題を見つけることが出来、2得点も出来ましたし、しっかり修正していけば、ある程度戦える手応えを掴めたと思います。ここから連覇や2冠以上を目指し、ここからこの悔しさを糧に戦っていくという強い意志に変えて戦って日本のサッカーを盛り上げてくれると思います。

川崎評

 この試合に関しては、川崎の超攻撃サッカーは、影を潜めた印象。4大久保 嘉人と11小林 悠の共存をどう図っていくのかというのが、最大のポイントになりそう。この試合では、14中村 憲剛が、前半で退きましたが、日程に余裕があれば、もっと長い間プレーすると思います。怪我で欠場した37斎藤 学などが、このメンバーに加わってくれば、より破壊力が増すと思います。高い技術力は、J1屈指ですし、そこを巧く機能させていく事が出来るかどうかが、現段階の課題と言えそう。守備の部分では甘さがやはり目立ちましたが、川崎は、攻撃的なスタイルのチームですし、タレントを考えても攻撃を第一にして守備の比重を最低限に留めて戦う方が、あっていると思います。勿論、勝率を上げるには、守備組織の安定は、必要ではありますが、監督やチーム構成を考えた時は、打ち合いを制する。そういったカラーのチームであると思いますし、今季もそういったサッカーを展開していって欲しいです。

C大阪評

 やはり、攻守の切り替えの速さが際立った印象を持ちました。ボールを奪う時の形が奇麗です。単純な危険回避のクリアもありましたが、繋ぐクリアであったり、収めてそこから組み立てる。そういった技術と視野の広さをチームの完成度の高さから可能にし、カウンターに速さとキレがありました。特にボールを落ち着いて前を向いた時に前線の選手が、適格なポジショニングで、フリーで受けるというシーンが、何度もありました。そして、その前線の選手へ配給される回数も多かったです。そのパスを受ける前線の選手も凄く、8柿谷 曜一朗、10清武 弘嗣、9杉本 健勇、18梁 東炫(ヤン・ドンヒョン)の4選手とも卓越した技術を持った選手であったり、強さと高さを持った選手であったりという事で、高い確率で、前線に収まりました。その結果チームにゴールに迫っていくスピードと迫力を生み出し、3得点に繋がったと思います。
 C大阪には、これに2失点こそしましたが、堅い守備という特徴を持ったチームで、デュエルで厳しく、対人守備能力の高さ。更に、自由を許さない運動量も持っている事で、隙をあまり見せない強さは、今季も健在であると思います。
今季もC大阪強しという印象を持つに十分な試合内容と試合結果でした。C大阪が、今季この強さ、どこまで維持。いやより高めて、どういった結果を残してくれるかという期待を持つことが出来、2018シーズンのC大阪の躍進が楽しみ。後は、豊富な手駒をリーグ戦以外のカップ戦などを並行する中で、選手のやり繰りなどを巧くやり遂げ戦い抜けるか注目したい。

試合評

Man Of the Match(MOM):9杉本 健勇(C大阪)
Most Impressive Player(MIP):3奈良 竜樹(川崎)
満足度(10点満点):7点(★★★★☆)

Jリーグから世界へ
To Be Continued

by 杉野 雅昭(Masaaki Sugino)

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