レビュー:2018:J2:第25節:A:vsモンテディオ山形「相性を覆す監督の力量」
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杉野雅昭
2018年08月04日 15:07 visibility306
山形vs岡山:1-0
得点者:16小林 成豪(3栗山 直樹)
観客数:4,675人
試合会場:NDソフトスタジアム山形
1、チーム情報&評点
評価基準
良:1~5:悪
審判
主審:家本 政明:3.0
副審:田島 宏則、淺田 武士:3.0
第4の審判員:大友 一平
A:岡山
監督
長澤 徹:3.0
スタメン
24赤嶺 真吾:3.5
37鄭 充根(ジョン・チュングン):2.5、7伊藤 大介:3.0
11三村 真:2.5、14上田 康太:3.0、15末吉 隼也:3.0、21椋原 健太:3.0
6喜山 康平:3.0、5増田 繁人:3.0、8塚川 孝輝:3.0
13金山 隼樹:2.5
リザーブ
GK:22一森 純
DF:31下口 稚葉、39高橋 壮也
MF:17関戸 健二、19仲間 隼斗、10大竹 洋平
FW:18齊藤 和樹
途中交代
37鄭 充根(ジョン・チュングン)→18齊藤 和樹:2.5
24赤嶺 真吾→19仲間 隼斗:3.0
11三村 真→39高橋 壮也:3.5
H:山形
監督
木山 隆之:2.0
スタメン
39中山 仁斗:2.5
25汰木 康也:2.5、18南 秀仁:2.5
24古部 健太:3.0、20安西 海斗:2.5、17中村 駿:2.5、6山田 拓巳:3.0
35坂井 達弥:2.5、3栗山 直樹:2.5、23熊本 雄太:2.5
21櫛引 政敏:2.0
リザーブ
GK:1児玉 剛
DF:33西村 竜馬
MF:14本田 拓也、16小林 成豪
FW:9フェリペ・アウベス・デ・リマ(フェリペ・アウベス)、11阪野 豊史、27北川 柊斗
途中交代
39中山 仁斗→16小林 成豪:1.5
18南 秀仁→9フェリペ・アウベス・デ・リマ(フェリペ・アウベス):3.0
25汰木 康也→27北川 柊斗:評価不可
2、得点経過
H:1-0:15小林 成豪(3栗山 直樹)
GK21櫛引 政敏の山形の自陣のFKから6喜山 康平と27北川 柊斗が競り、一度はクリアするもクリアボールを17中村 駿が頭で再びボールに同じところへ送り、二人が再び競る。今度は、山形の3栗山 直樹の下へ行き、3栗山 直樹が、浮き球のボールを後ろに向かって右足で蹴るという背面へのスルーパスを出し、これが15小林 成豪へ通ります。15小林 成豪は、GK13金山 隼樹との1対1を冷静に見極めて、右足から離れたシュートで股を抜かれて、山形が最後の最後でのホームの岡山戦初勝利となる決勝点が決まる。
3、数値評
評価基準
良:A~E:悪
A:岡山
攻撃評価:D
守備評価:C
采配評価:D
総合評価:D
H:山形
攻撃評価:C
守備評価:B
采配評価:B
総合評価:B
4、文章評
キーマン
「6喜山 康平」
活躍度:30%
チームキャプテンとしてチームとして粘り強く戦えた要因の1つとして、後方に6喜山 康平が構えている事は大きい。いつもは、ビルトアップや縦パス、ロングパスといった攻撃の組み立てで、貢献することが多いが、この試合では、ドリブル突破を仕掛けてきた相手を止めてボール奪取したプレーが何度かあった。空中戦でも気持ちを見せて戦っていた。
ただ、この試合ではいつもの様にセットプレー時に言葉を交える事も少なくなってきたと感じて居るが、最近は、コミュニケーションのやり方を変えたかどうかは、気になる所。
今後に繋がるプレーとしては、ミドルシュートを打ったシーン。FWであったのが、嘘の様にシュート意識が下がっていたが、強烈で低く抑えたしっかりミートしたミドルシュートを久々に見る事が出来た。こういったシーンを増やしていく事が出来れば、相手チームが、シュートを警戒して、食いつきが良くなってくることも考えられるので、ボールを持って上がった時に、パスの効果も上がり、周りの選手がプレーし易くなる。
是非ともFW→MF→DFと、ポジションを後ろに下げてきたが、ストライカーであったその左足という武器を最大限に使って勝利に繋げて欲しい。
攻撃キーワード
「連動性」
達成度:10%
18齊藤 和樹、19仲間 隼斗、7伊藤 大介の1トップ2シャドーの組み合わせと比べると、連動性に欠けた。前節から6人変わっているとはいえ、それは相手も同じ。メンバーを変更した分、フレッシュですし、ベストメンバーでなかったのであれば、それは、序盤戦で、他の選手を起用してこなかった事が、理由であって、理由にはならない。
さて、岡山のどこが連動性に欠けたという視点は、解説者が、山形と岡山のサッカーが似ていると、仰っていましたが、今日のサッカーを見る限り、山形に失礼かと思います。ただ、今回のそこに乗っかって、整理していきたいと思います。
山形と岡山の同じパス回しからでも顕著に違うミドルゾーン、アタックゾーンのパスの質。岡山は、横パスやバックパスを繰り返し、攻め手を探せず、メッセージ性と精度を欠いたロングパスでのボールロストが目立った一方で、山形は、後方から前方へ縦パスを足下につける事で、バイタルエリアで、プレー出来るシーンが、岡山より多く、良い形を作れていました。
長澤 徹監督体制で良かった時もこの縦パスを高確率で通していた矢島 慎也という存在が大きい。山形の選手は、そういった有名なパサーという訳では無く、むしろ岡山も技術があり、縦パスを通せる選手が揃っている。そう考えると、練習からそういったサッカーをしていないから出来ないのであって、やはり選手の質の差ではなく、長澤 徹監督の練習のセンスの無さに起因していると言える。
勿論的確な助言や練りに練った練習もしっかりしているのかもしれませんが、山形の前への強い意識は、やはり練習からやっているから出来る。強かった時の岡山の様に矢島 慎也に限定されている訳では無く、チームとして出来ているのもその証左です。
更に、山形の選手のバイタルエリアでのプレー選択も前への意識が強い。岡山の選手は、19仲間 隼斗と除いて、パスを受けて囲まれそうになると、すぐにバックパスや横パスで逃げますが、山形の選手は、キープしてスルーパスを狙ったり、ドリブルで崩したり、ダイレクトで繋いで、パススピードで、守備網の突破を意図した仕掛けをお90分間続けていました。
岡山のサッカーを見ていると、パスを繰り返し、気付くとGKまで戻るというシーンを何度も見てきました。この試合でもGKに戻った挙句に、精度を欠いたフィードと前線の空中戦の弱さでのボールロストを繰り返していました。
前節の愛媛戦でもそういった意識が愛媛にありました。そして、岡山は、練習でそういったプレーが無いからドリブルに弱く、味方同士で、紅白戦でやった時になかなか得点出来ない。守備が堅いのではなく、攻める意識や攻め方が消極的であるからである。
昔からハードワーク、全員守備全員攻撃、堅守速攻堅守遅攻。こういったワードが長澤 徹監督の目指すサッカーにはあり、岡山のサッカーでもあると思いますが、相性の良いカード、相性の良い条件。これらをもってしても勝てない現状を見ると、限界が見え隠れしているのではないかと思います。
守備キーワード
「ハイライン」
達成度:50%
この試合で、8塚川 孝輝を最終ラインで、起用する消極的采配にがっかりとしか言えない。33阿部 海斗にアクシデントがなく、リザーブからも外す選手起用は、正直賛同しかねる。10大竹 洋平と16リカルド・エンリケ・ダ・シルバ・ドス・サントス(リカルド・サントス)にあれだけチャンスを与えて来たのに新人には、ほぼチャンスを与えない。
A契約枠が気になるのであれば、それはストーブリーグのやり繰りが下手と言える。岡山に来た期限付き移籍の選手が、岡山の良さを吸収して成長した様に、岡山もリスクがありますが、新人をもっと起用して、A契約になっても期限付き移籍などで、経験を積ませることも大事だと思います。
さて、少し話がそれましたが、ラインは、やや高め程度で、山形のパスワークに対して、中央で人数をかけて守るという事が出来ていました。守備時の選手の距離感が良かったと思います。ドリブルとボールキープ、スルーパス、ダイレクトパスの応酬から、シュートというシーンも多かったですが、ドリブルを止めてボール奪取したシーンや、シュートを打たれても体を張ってブロックしたシーンを何度か見る事が出来ました。こういった事が証明する通り、アディショナルタイムで、失点するまで、チームとして、高い守備意識を持ってしっかり守った事は、誇るべきかと思います。
異常気象により、厳しいピッチコンディションにより、ハイプレスハイラインは難しくなると思いますが、やはりパスサッカーに対抗するには、パスの出し手を抑えて、パスコースを限定するためコンパクトに保つという手法はやはり有効であると思います。
そのためにラインを上げる事と下げる事の判断が、重要になりますが、この試合では的確に出来ていたと思います。ただ、よりコンパクトに保って、ボールを奪いきりたかったという欲深く考えてしまいます。この辺りを、どうバランスを取っていくのか、注目していきたいですし、チームとしても永遠の課題と言えると思います。いつか、そういったサッカーを体現してくれる日が来ると信じて応援したいと思います。
山形の注目選手
「21櫛引 政敏」
対応度:15%
21櫛引 政敏のフィードはやはり脅威であった。距離と球足の両方を揃えたキックは、13金山 隼樹の完敗であったと思います。
GKとしても的確なポジショニングで、岡山の攻撃を完封。あの判断の悪さが目立った選手と同一人物とは思えないパフォーマンスであったと思います。
総評
アウェーの山形戦は、岡山にとって相性が良いカードでした。こういった相性の良さは侮れず、いつも勝てないチームや難しいゲームになるチームが多かった一方で、相性の悪かったチームに対して、歴史をかえる結果を残した事もあったが、アウェーの愛媛・松本・山形戦といった全てで勝てなかった。これは、昇格を目指すチームにおいて痛恨の結果と言えると思います。そして、この試合の敗戦を持って、アウェーは敗戦の方が多くなってしまいました。やはり、上位を目指すには、下位や相性の良いチームには、確実に勝利していかないといけない。しかし、長澤 徹監督の体制が長くなるにつれて、この辺りが悪化し、今季も悪い流れがここ数試合続いています。
上記で述べた通り、この流れは、練習、TRM、公式戦といった中でのチーム作りに問題を抱えている事は明らかで、9李 勇載(イ・ヨンジェ)の依存度が高かった。9李 勇載(イ・ヨンジェ)が戻って来ても自動昇格は、厳しいでしょうし、各チームが、チーム熟成度を上げている中で、勝利するのは難しいでしょう。
ただ、19仲間 隼斗、18齊藤 和樹のパフォーマンスが向上しており、39高橋 壮也、37鄭 充根(ジョン・チュングン)も期待できるパフォーマンスを魅せている。こういったポジティブな点を結果に繋げる事が出来るかが、今後の注目ポイントになる。
5、試合評
Man Of the Match(MOM):15小林 成豪(山形)
Most Impressive Player(MIP):37鄭 充根(岡山)
満足度(10点満点):3点
6、試合後通算対戦成績
J2
岡山:7勝(19得点):2分:(15得点)3勝:山形
会場別(岡山視点)
H:シティライトスタジアム:3勝1分2敗
A:NDソフトスタジアム山形:4勝1分1敗
7、試合後チーム成績(データ)
勝敗(25/42)(他会場中止試合有)
9勝8分8敗(暫定10位:勝ち点35)
得失点
24得点22失点(+2)
ホームスコア(12試合:4勝6分2敗:15得点10失点)
〇:1-0×2、3-0×1、3-1×1
△:0-0×3、2-2×2、3-3×1
●:0-1×2
アウェースコア(13試合:5勝2分6敗:9得点12失点)
〇:0-1×4、1-3×1
△:1-1×2
●:1-0×4、2-0×1、3-0×1
得点時間帯(24得点:前半×10、後半×14)
1分~15分×3、16分~30分×3、31分~45分×4、前半AT
46分~60分×8、61分~75分×6、76分~90分、後半AT
失点時間帯(22失点:前半×12、後半×10)
1分~15分×3、16分~30分×4、31分×45分×5、前半AT
46分~60分×4、61分~75分×2、76分~90分×2、後半AT×2
ゴール(全24ゴール)
FW(6):18齊藤 和樹×1(PK右足×1)、19仲間 隼斗×4(頭2、右足1、ボレー右足1)、24赤嶺 真吾×2(左足ボレー1、PK右足1)
MF(10):7伊藤 大介×2(ダイビングヘッド1、右足ミドル1)、8塚川 孝輝×3(頭1、右足ミドル1、左足ミドル1)、11三村 真×1(左足ボレー1)14上田 康太×3(FK左足3)25武田 将平×1(左足ミドル1)
DF(6):3後藤 圭太×1(頭1)、4濱田 水輝×3(頭3)、6喜山 康平×1(頭1)、33阿部 海人×1(左足1)
GK:なし
その他(1):オウンゴール×1(足1)
アシスト(全16アシスト)
FW(7):9李 勇載×1(右足1)、18齊藤 和樹×2(右足1、右足クロス1)、19仲間 隼斗×1(左足1)、24赤嶺 真吾×3(パス右足2、クロス右足1)
MF(8):8塚川 孝輝×2(頭1、右足1)、14上田 康太×5(CK左足1、FK左足2、クロス左足1、パス左足1)、21椋原 健太×2(右足クロス2)
DF:なし
GK:なし
得点の形(24得点:流れ×10、セットプレー×14)
ボール奪取→ミドルシュート(右足)×1
パス(左足)→ミドルシュート(左足)×1
クロス(右足)→右足×1、クロス(右足)→ダイビングヘッド(頭)×1、クロス→左足ボレー×1、クロス→右足ボレー×1、クロス(右足)→頭×1、クロス→頭×1、クロス→オウンゴール×1
速攻→ポストプレー→右足ミドル×1
FK→頭×2、FK→混戦→左足×1
CK→混戦→頭×1、CK→2次クロス→頭×1、右CK→セカンドボール→ダイレクトボレー(左足)×1、左CK→頭×1、
左足直接FK×3、PK(右足)×2
ロングスロー→混戦→頭×1、ロングスロー→セカンドボール回収バックパス→左足ミドル×1
失点の形(22失点:流れ×17、セットプレー×5)
カウンター(CK)→ロングパス(左足)→ダイレクトシュート(右足)×1、カウンター(CK)→スルーパス(右足)→ループシュート(左足)
左足(フリック)→頭×1、右足(パス)→右足(ミドル)×1、右足(スルーパス)→右足×1、右足(浮き球パス)→右足(ボレーシュート)×1、右足(背面スルーパス)→右足(股抜きシュート)×1
右足(クロスが直接)×1、右足(クロス)→頭×2、右足(クロス)→ブロック→右足(押し込み)×1、左足(クロス)→頭×2
ドリブルからシュート(右足)→セーブ→ダイレクトシュート(右足)×1
毀れ球→ドリブル→シュート(右足)×1
CK→ショートコーナー→右足(ミドル)×1
PK×1、PK(右足)×2
右足×1、右足(ミドル)→オウンゴール×1
ロングスロー→テクニカルな繋ぎ→シュート(左足)×1
岡山から世界へ
To Be Continued
by 杉野 雅昭(Masaaki Sugino)
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