ソフトバンクの戦力が増大する一方巨人の戦力が低下した理由は何か?(その2)

理由2:監督の権限が強くなりすぎたこと
 
 2011年シーズンのV逸に端を発した原監督・清武GMの責任問題は,当初「ケンカ両成敗*」の立場をとっていたナベツネ氏が,清武氏の造反を受けて原監督に肩入れをしたため,「原監督留任,清武GM追放」という結果に終わりました.現場の監督が球団の(事実上の)オーナーと組んで,フロントトップを追い出した形になり,2012年以降,原監督にものをいえるフロントはいなくなりました(清武GMの後任の原沢GMは,原監督のイエスマンとならざるを得ませんでした).監督は,成績が悪ければシーズン途中でも解雇されうる存在ですから,どうしても目前の勝利優先になり視野が短期的になります.それを補うのがフロントの筈で,選手編成も含めた長期戦略は本来フロントの仕事です.しかし,上記の結果,選手編成にも原監督の意向が大きく反映されることになりました.さらに,2010年の時点で伊原さんが抜けて,コーチの中にも原監督にモノを言える人がいなくなり選手編成~起用まで極端に原監督に依存する体制ができてしまいました.目前の勝利を優先すれば,どうしても使い勝手のよいベテラン選手が優先され,若手選手の登用(つまり育成)は後回しになります.また,原監督は,細かい作戦が好きで,そのコマになる選手を好みましたから,若手を含む全選手が,自分の能力よりも先に原監督の望む「コマ」になるように努力をするようになりました.結果として,若手だけでなく中堅~主力選手すら小粒化し,そのため更に原さんが細かい作戦に走るという悪循環に陥りました.
 今シーズン途中で,原沢GMを堤GMに交代しましたが,球団も上記の問題に気付いたようにためのように思えます.6月10日に日ハムとの間で,矢野・須永-北・矢貫のトレードがありましたが,これについての原監督のコメントを聞く限り,トレードの詳細を把握していなかったようです.「チーム編成はフロント主導」という姿勢を球団は見せ始めたのでしょう.来季の監督が誰になるかは分かりませんが,監督の権限は縮小される方向に向かうと思います.

*清武氏の著作を信用すれば,ナベツネ氏の出した当初案は「原監督は留任だが強いヘッドコーチをつける.清武氏は名目上はGM解任だが実質的なGM職としての権限は与え続ける.」というものでした.この案は,表面上は「原監督留任,清武GM解任」ですが,実質的にはむしろ清武氏に分がある案です.清武氏が切れずにこの案を受け入れていればと私は今でも思います.

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