CS2のアドバンテージの効果およびCSの効用→相変わらずのCS批判に反論する.

広澤さんが,CS批判を日本経済新聞上でやっているのでコメントします.

CS2のアドバンテージ(1勝)の効果を以前計算したことがあります.詳しくは4年前のこちらの日記をご覧ください.単純な仮定に基づいて高校1年で習う確率計算を使ったものです.適度な応用問題なので,入試問題として2次試験に出した大学もあるかもしれません.ジョン君は理系の大学志望なら,自力で解くことをおすすめします.
 
 詳しくは上記の日記をご覧いただくとして結果の概要は以下の通りです.
リーグ優勝のチームがA,CS第1ステージを勝ち上がったチームをBとして,AがBに勝つ確率(BがAに勝つ確率)を0.5とし,引き分けを考えないとすると,

・AチームがCS第2ステージを勝ちにく確率は約66%でBチームが勝ち抜く確率は約34%.
・Aチームの勝ち抜く確率がBチームのそれの約2倍

となります.アドバンテージがなければ当然確率は五分五分(50%,50%)になりますから,1勝のアドバンテージはかなり大きいことが分かります.

 実際はどうかというと,1勝のアドバンテージを与えられるようになった2008年から2012年までのセパあわせて10回のCS第2ステージで,リーグ優勝チーム以外が勝ち抜いたのは2010年のロッテだけです.単純に計算すれば10%ということになりますね.逆にいうと,そういう困難を勝ち抜いたチーム(2010年のロッテ)はそれだけで十分賞賛されるべきということになります.広澤さんは例によって,「リーグ優勝したチームが日本シリーズに出られないのはおかしい.」という論理を展開していますが,「困難な条件で短期決戦を勝ち抜いたチームがあれば,そういうチームが(短期決戦日本一を決める)日本シリーズにでるのは,それも価値がある.」と考えるべきなのです.

 何度かここの日記にも書いていますが,リーグ優勝したチームが日本シリーズに出られないかもしれない今のCSのシステムに私も違和感はあります.でも,CSの導入によって,リーグ戦の,いわゆる「消化試合」が圧倒的に少なくなりました.CSをホームで開催することによる球団の収入も大きいです.率直にいって斜陽の日本プロ野球界において,CSは大切な収入源です.日本シリーズの相対的な価値の低下(というより,日本シリーズの位置づけが変わったことによる違和感)よりも,CS開催のメリットの方が,日本プロ野球界にとってはるかに価値が高いと私は考えます.

 とにかく広澤さんのような解説者に望むのは,リーグ戦の優勝を「1位通過」などとCSの予選のようにいうのではなくて,「リーグ戦の優勝こそが最も価値がある.」「リーグ戦とCS,日本シリーズは別物である.」ということを言い続けることですね.


 


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