なでしこ、我慢の逆転勝利！

東アジアサッカー選手権、開幕戦はアジア最強の北朝鮮戦ということで苦戦は必至でした。

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ところが試合開始直後、雨でさらに滑りやすくなった硬いピッチのせいか、やや動きの硬い北朝鮮選手とは対照的に日本はパスが良く回り、左サイドで得たセットプレーから宮間選手が放ったクロスボールをファーサイドの安藤選手がヘディングで合わせ、あっさり先制。

その後も相手を崩すまではいかないものの、パスのつなぎや中盤のプレッシャーはそれなりに機能する。しかし時間が経つにつれて北朝鮮も硬さがとれてきて、日本は次第に押し込まれ、高い位置でボールを奪われ、鋭いクロスを放り込まれようになる。特に日本の左サイドで何度も数的不利を作られ、フリーのクロスからピンチを招くことが増えて来た矢先、ショートカウンターから左サイドのディフェンスラインの裏をつかれ、飛び出したキーパーもかわされ、クロスを上げられ、中央で待ち受けていた選手にヘディングシュートを決められてしまう。

同点に追いつかれてから、日本も敵ゴール前で永里選手の頑張りからボールを取り返して味方につなぎ、大野選手がフリーでシュートを放つ場面もあったが、浮いてしまう。前半はそのまま終了。

後半も北朝鮮ペース。前半に引き続き、サイドをえぐられる場面が目立つ。日本はリズムを変えるべく、荒川選手を投入しようとするが、サイドラインで交代を準備した荒川選手の目前で中盤のパスミスを奪われ、そのままゴール前の敵フォワードにボールを入れられ、ひきつけられてできたスペースに２列目から入って来た北朝鮮の選手にボールがわたり、ダイレクトでの見事な２５メートルのミドルシュートが日本ゴールのニアサイドに低い弾道で突き刺さった。

逆転を許した直後、交替で入った荒川選手が持ち味の強引な突破からのシュートや、澤選手のロングシュートなどを放ち、逆転してやや受け身になった北朝鮮の陣内に進入する回数が少しずつ増えるが、なかなか守備を崩すまでには至らない。逆に両サイドからショートカウンターを食らってシュートを打たれるピンチを度々向かえるが、何とか無失点で切り抜ける。

そして残り１０分、少しリズムがでてきた日本は、左サイドで宮間選手が自らドリブルで仕掛けて得たフリーキック。ゴールに向けて低い弾道で飛んだボールは、ニアサイドに飛び込んで潰れた岩清水選手をスレスレで超えて、ワンバウンドでゴールマウスへ。棒立ちのキーパーの横を抜けてネットを揺らした。

同点と同時にドリブラー丸山選手を投入した日本だが、一方北朝鮮も交代選手を投入し、最後の力を絞って攻撃に出る。しかし疲労から、鋭さはあるものの厚みはない。中盤のルーズボールを日本が拾えるう場面が増える。しかしなかなかシュートまでは至らない。逆にコーナーキックから決定的なピンチを迎える。

これはなんとか防いだが、ロスタイムも表示の３分を回り、日本自陣ゴール前からのキーパーからのキックでタイムアップ…と思いきや、荒川選手が頑張り、マイボールのスローインを得る。そこからの本当に最後の最後のワンプレーで、右サイドのスローインを受けた荒川選手が後ろにいた澤選手の足下にボールを落とし、それを澤選手がダイレクトでキーパーを狙った高い高い浮き玉のキックを上げた。するとボールは高い放物線を描き、急激に角度をかえ、でファーサイドのゴールポストとクロスバーのわずかな隙間を襲う。キーパーが伸ばした手を超えたその刹那、選手も観客席も息を飲んだ。一瞬の静寂の後、ゴールの中でボールが弾み、ネットにやさしく包まれた。

奇跡的な時間帯での逆転決勝ゴール！

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雨で足下が滑りやすい上、浮き玉の処理に難が見えていたキーパーを狙った、澤選手らしい、非常に頭脳的なキックでした。「蹴った瞬間に入ったのがわかった」そうです。

内容的には北朝鮮の圧勝という感じで、佐々木監督の試合後のインタビューでも、やりたい内容はまだまだ通用していないという感じの冷静なコメントでしたが、選手の粘りは素晴らしいものがありました。個々の能力を見ても、競合いやキック力ではまだやや不利が目立つものの、ディフェンスラインの豊田選手、岩清水選手を筆頭にみな落ち着いてプレーしており、守備の読みやボール扱いの技術、ダイレクトプレーは、日本もかなりレベルが上がってきました。監督が変わったばかりなのにもかかわらず、ドリブルで仕掛ける姿勢や走り負けない粘り強いゾーンディフェンスを徹底したことが今回の勝利を呼んだと言えると思います。こうしたチームの雰囲気は今後に繋がって行くでしょう。