女子サッカー日本一決定戦をベレーザが制す。
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アオ
2006年11月04日 23:46 visibility57
なでしこリーグ1部プレーオフ最終日。1位2位の直接対決ということもあり、西が丘の記者席はぎっしりでした。
ベレーザはこの試合に負ければ逆転で優勝を逃す可能性がわずかにありましたが、非現実的な得失点差でなければならなかったため、まず優勝は間違いないというシチュエーション。
しかし、逆に優勝に汚点を残さないためにも、ベレーザにとっては勝利が義務付けられる試合には違いなかった。
キックオフ前、スタンドにもフィールド内にも緊張が高まる。
しかし、それはあっという間に破られた。
前半1分になるかならないかというところで、ハーフウェイ付近からレッズレディースの選手が自陣に戻したボールが、ベレーザ19番永里の目の前のスペースに出てしまう。まるで縦一本のスルーパスのようになり、。押し上げていたレッズレディースのディフェンスは完全に裏を取られ、追いすがるもリーグ得点ランキングトップの永里選手がフリーでシュートを放つ。レッズ日本代表GK山郷選手のセービングも及ばず、右隅への狙い済ましたグラウンダーのシュートがゴールネットを揺らした。
しかし、試合はまだ始まったばかり。レッズレディースは8番高橋選手、10番安藤選手、9番北本選手を中心に攻撃を組み立てるも、ベレーザの個々の選手の1対1での強さ、、またボランチに入った22番川上選手の的確にピンチの芽を摘む動きでなかなかベレーザ陣内に深く攻め入ることが出来ない。
一方でベレーザは、10番澤選手の運動量と攻撃センス、川上選手の効果的な動きでボールを早く動かす。左サイドバック12番豊田選手の効果的な攻撃参加も光った。しばらくはバイタルエリア手前でのレッズのタイトなディフェンスにてこずっていたが、フィールドを大きく使ったプレーが功を奏し、時間とともにベレーザの強力2トップ・9番大野選手と19永里選手が前を向いてボールを持つ回数が増えるようになっていき多くのチャンスを生み出した。全体的にベレーザが押し気味で、レッズ陣内で試合を進めていたが、レッズの守護神・山郷選手の的確なポジショニングとセービングに阻まれる。一方、レッズも左サイドからの攻撃に何度か活路を見出すが、最終的にいいクロスボールを供給することができなかった。また、前半終盤の比較的いいリズムで攻めている時間帯に10番安藤選手の運動量が落ちてしまい、結果的にチャンスに絡めなかったのが惜しまれる。
後半になると、立ち上がりから高い位置でボールを回すベレーザ。7番のレフティー伊藤選手が左サイドの高い位置で前を向いてボールを受けることが増え、レフトバックの豊田選手の効果的な攻め上がりも相まって、どんどんボールが回る。そして後半3分から4分、右サイドを攻めあがったライトバック・2番中地選手のクロスをゴール前で川上選手が折り返し、前線に上がっていた6番近賀選手が頭で押し込んでベレーザ2点目!
前半はバイタルエリア手前でボールを持った選手が2人、3人に囲まれるシーンが多かったが、このゴールはレッズの選手がプレッシャーに行く前に早くパスを回して混乱に陥れ、見事にフィニッシュした、内容的にも素晴らしいゴールだった。
その後はヴェルディは何度もチャンスを作るが、レッズは全体的な運動量が落ちてしまい、GK山郷選手の素晴らしいキックからのセカンドボールを狙ってサイドのスペースに展開する攻撃を試みるも、ベレーザの粘り強いディフェンスを破れない。、数度サイドをえぐって苦し紛れのグラウンダーのボールを上げたほかは、シュートもミドルレンジから狙うのみとなってしまう。
そして後半20分ごろ、11番荒川選手を近賀選手に代えて投入。FWをさらに増やし、さらなる得点を狙うが、これが一時的にベレーザに隙を生む。ポストタイプが永里選手と荒川選手の二人になったことで、その足元を狙ったパスばかりになり、大野選手のスペースも消されてしまう。その結果レッズDF陣にパスをカットされてからのカウンターが増える。レッズはフレッシュな交代選手を中盤に次々と投入し、間延びしたスペースを突いた攻撃を加えるが、なかなかフィニッシュできない。そしてベレーザは攻守の切り替えのスピードや運動量が落ちず、ひとたびボールを持つと一気にレッズゴール前に迫る。この攻防を繰り返すうち、荒川選手から永里選手へのスルーパスが通り、ペナルティエリア内で永里選手が倒された。荒川選手と一言声を掛け合った永里選手が、GK山郷選手に読まれながらもきっちりとPKを決め、3−0。
その後も山郷選手のキックからパワープレー気味の攻撃を続けたレッズだったが、ベレーザの中盤の運動量は最後まで落ちず、また荒川選手も積極的にサイドに流れてボールを引き出すようになってリズムを取り戻しレッズにスキを見せない。そしてそのままタイムアップ。
ベレーザが王者に相応しい試合運びでリーグ優勝を達成した。
スコアは一方的なものになってしまったが、内容的にも見るべきところのあるゲームだった。ベレーザファンだけでなく、天皇杯で早々と敗退してしまって連休を迎えたヴェルディのサポーターも、久々に強く魅力的な緑軍団を見ることができて満足したに違いない。
天気にも恵まれたがまだまだ空席が目立つ女子サッカーの人気がもう一段高まって欲しいと感じた。
また、今日のベレーザの背番号12番の左サイドバック・豊田選手のプレーは非常に安定していて、チーム全体のリズムを作っていたことを付け加えておく。
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- 事務局に通報しました。
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