スポーツでの突然死を防ごう①



 みなさん、スポーツでの突然死について考えたことがありますか?

 より多くの人々が楽しんでスポーツをするために、ちょっと目に止めて考えてみてはどうでしょうか?

 

 2010年4月、読売巨人コーチ木村拓也さんの突然死。2011年8月、松本山雅FC松田直樹選手の早過ぎる訃報。

 一人でも救える命を救うために、この日記を最後まで読んでいただけたら幸いです。

 

 

 

 日本で心肺蘇生法が注目されることになったきっかけの一つは、1986年、バレーボール試合中の突然死でした。

 



 1986年1月22日、松江で行われていた女子実業団バレーボール「ダイエー対日立」の試合中、ダイエーのフロー・ハイマン選手がベンチ前で突然、倒れました。しかし、試合は中断することもなく、ハイマン選手は救命措置も受けずに担架で外に運び出されて、2日後に亡くなってしまいました。

 アメリカ出身のフロー・ハイマン選手は、ロサンゼルスオリンピックで米国代表にも選ばれた有数のエースアタッカーであり、当時32歳でした。

 ハイマン選手の事故は海外でも大きく取り上げられましたが、最も問題になったのは、主催者やスタッフの対応でした。

 

 当時、すでに欧米では、「事故・急病の時は、救急車が来る前に、一般市民が心肺蘇生を施すのが当然」とされていたのに対し、日本では、スポーツの心臓への負担、心肺蘇生法の重要性がほとんど認識されていませんでした。

 

 

 この事故をきっかけに、日本でも救命救急治療への取り組みが始まりました。



 しかし、それから6年後、さらなる悲劇が起りました。

 2002年11月21日、カナダ大使館でスカッシュに興じていた高円宮殿下(当時47歳)が突然倒れ、帰らぬ人となってしまいました。



 高円宮殿下は、倒れた時にすぐに心肺蘇生法を受け、さらに、救急車も早急に到着し、応急処置後、病院に運ばれて適切な治療を受けましたが残念ながら助けることはできませんでした。

 それは、倒れた時に「心室細動」状態であり、すぐにAEDで「除細動」をする必要があったのではないかと考えられています。この場合の「すぐ」とは、2~3分以内の「倒れてすぐ」です。どんなに救急車が急いで駆けつけても、6~7分はかかります。その場にAEDが置いてあったならば、高円宮殿下は助かっていたのかもしれません。



 高円宮殿下の事故以来、心肺蘇生だけではなく、AEDの重要性も広く知られるようになりました。また、その後も下記のように運動中の心臓突然死事故が続いたことから、AEDの設置が進み、一般人でも使えるようになりました。

 

 

 ・2002年11月 「福知山マラソン」で58歳の男性、59歳の男性が相次いで倒れ、死亡

 

 

 ・2002年11月 「名古屋シティマラソン」で58歳の男性が倒れ死亡

 

 

 ・2002年12月 ハワイ「ホノルルマラソン」で日系人ランナーがゴール直前で倒れ、死亡

 

 

 ・2003年2月 「ふくやまマラソン5km」で44歳男性が倒れ、死亡

 

 

 ・2003年2月 「鹿沼さつきマラソン」において44歳男性が倒れ、死亡

 

 

 ・2003年5月 「黒部名水ロードレース10Km」において、29歳男性がゴール直前で倒れ、死亡

 

 

 ・2003年6月 サッカーの国際大会「コンフェデレーションズカップ」の準決勝で、カメルーン代表のフォエ選手が心臓突然死と推測される急病で死亡

 

 

 ・2003年10月 「琵琶湖マラソン」で25歳の男性、51歳の男性が相次いで倒れ、死亡

 

 

 ・2004年1月 サッカー「ポルトガルリーグ」試合中に24歳のハンガリー代表選手が倒れ、死亡

 

 

 ・2004年12月 サッカー「フェデレーションズカップ」決勝試合中に、ブラジル人選手が倒れ、死亡

 

 

 ・2010年4月 「読売ジャイアンツ対広島東洋カープ」の試合前、シートノック中に巨人の木村拓也コーチが倒れ、関係者による心肺蘇生法~救急隊によるAEDでの蘇生処置を受けたが、急性クマ膜下出血で死亡

 

 

 ・2011年8月2日 松本山雅FCに所属していた元日本代表松田直樹選手が、練習のランニング直後に倒れ、見学者の看護師による心肺蘇生法(AED不設置)を受けたが、2日後の4日、死亡(一番記憶に新しくみなさんにとっても衝撃的出来事ではないでしょうか)

 

 

 



 これら「心臓突然死」は誰にでも起こりえます。

 みなさんが思っている以上に心臓突然死による死亡例は多く、年間6万人、なんと日本全国で1日に100人以上の人が、心臓が原因で突然死していると言われています。

 

 

 上の例であげたように、マラソン、運動中の事故だけでなく、ストレスや緊張、疲労でも心臓突然死は起こります。また、その中には健康診断で異常のない人、運動が好きで体力に自信のある人もたくさんいます。

 

 

 それでは‥なぜ心臓突然死が起こるのでしょうか?

 それについてはまた後ほど触れたいと思います…

chat コメント 

コメントをもっと見る

通報するとLaBOLA事務局に報告されます。
全ての通報に対応できるとは限りませんので、予めご了承ください。

  • 事務局に通報しました。