
ストロングプレーヤー ~ 長友 祐都 編 ~
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ペスカドーレ
2012年02月08日 09:25 visibility837
では、世界のトップレベルのプレーヤーが集う「セリエA」という大舞台で、現在闘っている日本代表の左サイドバック長友選手の『ストロングポイント』は?というと何だろうか。
彼は、名門インテルへの入団記者会見で「世界一のサイドバックになる」と語った。
では、長友選手は何を“武器”にして世界一になろうとしているのだろうか?
左サイドバックに求められる能力とは…
まず1対1の守備があげられる。そしてセンターバックやボランチとの連携した守備。
攻撃では、サイドを切り裂き状況打破するためのランニング、ドリブル、パス交換。オーバーラップからのクロスや中央へ切り込んでのスルーパス or シュート。
サイドバックが90分間に求められる仕事量は実に多い。
世界一の左サイドバックになるためには、これら全てをハイレベルでこなすことが大前提となる。ここに『ウイークポイント』があれば、『ストロングポイント』を活かすことが難しくなる。
そして、これらの仕事のうち圧倒的に得意とする『ストロングポイント』を磨き抜くことこそが、世界一になるために重要だと、長友選手は理解しているのである。
左サイドバックに必要とされる能力において、長友選手は高い能力を示している。しかし、その中でもひとつ突貫した『ストロングポイント』を持たなければ、世界最高峰の舞台でレギュラーの座を勝ち取ることは難しい。
長友選手の場合、自他共に認めるストロングポイントが『圧倒的な走力』である。
チャンピオンズリーグ初スタメンを果たした「シャルケ04」との一戦では、両チームトップの走行距離を記録した。この試合で1ゴール1アシストの活躍を観せたシャルケのラウール選手は、走行距離11.42kmだったのに対し、長友選手はこれを上回り11.53kmを叩き出した。
さらに、もう一つのデータを見てみると、昨年1月のアジアカップ準決勝の韓国戦では、この試合でも両チームトップの走行距離を叩き出している。韓国の左サイドバックのイヨンピョ選手は12.7kmだったのに比べ、長友選手は14.15kmと圧倒的な差をつけている。
また、平均速度で見ても、長友選手の7.2kmに対してイヨンピョ選手は6.5kmであった。
つまり、長友選手は重要なこの二つの試合で、全選手中、誰よりも長く速く走り圧倒していたことになる。
なぜ長友選手がこのような“武器”を手に入れることができたのか?というと…やはり地道な『練習』と『努力』の他ない。
高校の頃まではボランチとして無名の選手だった長友選手、大学に進学し、サイドバックにコンバートされたのをキッカケに一気に開花することになる。
自分の『ストロングポイント』が“走力”であることを強く意識するようになり、全体練習が終わった後にも様々な走力トレーニングに取り組んだ。
走るフォームを徹底的にチェックし、無駄のない走り、力まないフォームを心がけ、90分間持続して走れる走力強化を目指した。
ブレない走り方に着目したのも特徴的で、身体が縦方向に跳ねてスピードに乗れない状態を防ぐため、『体幹』を鍛えて身体の軸がブレないように走れる身体を作り上げた。
世界最高峰の舞台で現在活躍できているのも、「これらのトレーニングを今でも欠かさず行っていることにある」と彼は公言している。
現在、世界の舞台において注目されているサイドバックの選手たちも様々な個性と“武器”を持っている。
パトリス・エブラ(マンチェスターユナイテッド)は、ほぼ左足しか使わないが、高速ドリブルを武器に相手コーナー付近まで突破するのが持ち味である。
ダニエウ・アウベス(バルセロナ)は、フィジカルを活かした重戦車のような突破と強烈なミドルシュートを武器としている。
長友選手と同じチームのマイコン(インテル)は、スピード、ドリブル、空中戦のどれもがハイレベルな上、緩急と高低差をつけたクロスを武器としている。
このように優れた選手には、必ずその選手ならではの“武器”『ストロングポイント』があり、その『個性』が試合の中で差を生み出し、勝利するための重要な要素となる。
ゆえに、ライバルとの競争に勝ってレギュラーになるため、試合でチームに貢献するためには、自分の『ストロングポイント』が何なのかを知り、磨き抜き続けなければならないのである。
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