#231 災害発生‥その直後‥

 

昨日の読売新聞の記事で、九州北部豪雨で被災した熊本県阿蘇市の発災当時の状況記録が掲載されていました。

 

 

以下の記事を読んでみると、当時の混乱状況が理解できます…紹介します。


 

 

九州北部豪雨で死者21人、行方不明者1人を出した阿蘇市が、住民から寄せられた被害情報を克明に記録していた。

 


















 

「隣が流され、家の前も後ろも川のようだ」

 

「2人が生き埋めになった」

 

 

午前6時からの3時間だけで約90件に上った通報内容からは、想像を超える災害に振り回された市の様子が浮かび上がってくる。


 

 

市では11日深夜から、雷を伴う激しい雨が降り続いた。12日午前0時半、大雨洪水警報が発令され、市は本庁舎と支所に計約30人を待機させて警戒に当たった。

 

 

「内牧地区の旅館前の道路が冠水した」

最初の被害情報は午前2時50分、内牧支所の職員からだった。

 

 

「家の前の川から水があふれている。何とかしてくれ」

1分後には、区長から浸水の連絡が入る。

 

 

防災を担当する総務課の電話は鳴りっぱなしになった‥

 

 

午前4時55分、市は災害対策本部を設置し、全職員を招集。

しかし、土砂崩れや冠水で道路は寸断され、役場に近づけない職員が続出した。

 


















阿蘇外輪山の斜面に出来た土石流跡(長いものは500メートルに及ぶ)

 

 

 

午前5時を回った頃。

「三野地区の至る所で土砂が流れている」

 

 

庁内に緊張が走った‥

 

 

続いて「手野地区で地滑り。2人が生き埋めになっている」との連絡。一の宮町坂梨の住民からも「家が倒壊した。生き埋めの可能性がある」。悲痛な叫びが次々と届き、職員の机の上には、被害状況を記したメモが山積みされた。

 

 

 

その頃、阿蘇広域行政事務組合消防本部も混乱の極みにあった。

 

 

パニックに陥った住民や市からの通報が相次ぎ、通信室の八つの電話回線は全てふさがった。「どこにいるんですか」「高い所に逃げて」。隊員が受話器に向かって叫ぶ。「現場にたどり着けない。救出できない」。無線からは隊員の悲鳴が漏れた。

 

 

災害が未明に起きたことも、救助活動を難航させた。停電も重なり、消防団員も思うように活動できない。

 

 

「早く夜が明けてくれ」

市で指揮を執っていた渡辺賢勝総務部長は何度も祈った。

 

 

午前6時55分、「もう、我々の手には負えない」と自衛隊の派遣を要請した。

 

 

大雨洪水警報が発令されてからの12時間で、市に寄せられた被害情報は約180件。その約半数が、午前6時からの3時間に集中した。午前3時からの1時間雨量は106ミリに上っていた。

 

 

阿蘇山の麓に広がる市の人口は約2万8400人で、高齢化率は31・2%。年老いた人たちの避難はままならなかった。

 

 

渡辺総務部長は「これまでの経験がまるで通じなかった。山手や低地には早めに避難勧告や指示を出すように定めるなど、市の防災計画に反映させたい」と話した。

 

 

(2012年7月29日 読売新聞より)

http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/kumamoto/news/20120729-OYT8T00051.htm?from=popin

  

 

新聞の最後に記載されていたように、行政としてはいかにタイミング良く避難勧告や指示を行うかがポイントであり、深夜帯での対応など課題もあります。

また、住民自らが異変に気づき自主避難や情報提供を行うことも大切なネットワークとも言えるでしょう…



 

 

また、九州北部豪雨による福岡、熊本、大分3県の被害額が判明しているだけで計1000億円を超えることが分かった。今後さらに増える見通しという。

 


















 

福岡県では、柳川市を流れる矢部川の堤防が決壊するなど、県南部を中心に農地約1085ヘクタールが被害を受け、農業関係で約58億円。

道路、学校などの被害も相次ぎ、27日時点で計511億円に上る。

熊本県も計513億円に上るが、大きな被害を受けた阿蘇地方ではまだ確認が進んでいない。

大分県では農林水産業の被害総額が少なくとも約34億円に上ったという。

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