普及活動を怠った結果が招いた野球・ソフトボールの五輪競技落選

2005年7月6日、国際オリンピック委員会(IOC)はシンガポールで第117回総会を開催し、2012年に開かれる第30回夏季五輪の開催地としてロンドンを選出した。

ロンドン開催。時差を考えても、利便性を考えても、日本のスポーツファンの目から見れば、決して悪くはない判断だった。だが、この決定により、運命の歯車が大きく動き出し、二日後の7月8日、衝撃的なニュースが飛び込んでくる。

「野球、ソフトボール共に2012年ロンドン五輪の種目から除外」

理由として挙げられた点は4つ。

国際的普及度の低さ(特にソフトボール。野球に関しては参加国220の内、110しか野球機構を持たない)球場建設にお金がかかる割には、観客が少ない(ギリシャではチケットの半数以上が売れ残った)ベストの選手(大リーグなどのプロ選手)の参加が期待できないドーピングの問題の未対応 (実際は今年、MLBは「ワールド・ベースボール・クラシック(野球W杯)」開催、そして出場の前提条件として「ドーピングの全面禁止」を決定しているが、他のスポーツに比べドーピング率が高いのは事実)

確かに、大リーグの五輪不参加は今までも問題視されてきた。日本に関しても必ずしもベストのメンバーで挑んできたとは言えない。だが、ここに挙げられている理由のほとんどが「建前」と言ってもいい。

では、野球とソフトボール除外の本当の理由はどこにあるのか。

それは2001年にIOCの会長に選任されたジャック・ロゲ氏の掲げる「肥大化した五輪のスリム化」にある。

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