中村俊輔というファンタジスタの行方

  • 2009年06月12日 23:34 visibility859


仕事が忙しい。

それはとてもありがたいことなのだけれども、その忙しさの内訳は淡々とした事務作業だ。社員の勤務表のチェックだったり、膨大な条項の契約書のチェックだったり、およそその行為からは一銭の利益も生まれない。
そんな煩雑な事務作業に費やされる24時間の中で、会社に利益を生み出すための新しいアイディアや企画を考え出して行かなければならない。
でもこれはけっこうしんどい。身体が疲れるのはもちろんなのだけれども、何より事務作業に追われて頭のなかが疲れてしまって判断力が鈍り想像力が衰える。

そんな煩雑な生活に嫌気がさし、軽く現実逃避気味に仕事を早々に切り上げ観戦に行ったこの試合で、僕は中村俊輔の一挙一投足に目を奪われた。
死ぬまでに一度は生で見たいと思っていた選手の一人だったから、予選突破が決まっていたとはいえまるで子供みたいにワクワクしながら見ていた。

連戦の疲れもあって期待していたよりも勝負に行くパスが少なかったけれど、随所に俊輔らしさを見せてくれた。
ハーフウェイラインややうしろから、最前線の岡崎の飛び出しを(見るのではなく)感じて、右足軽くトラップ、左足ですぅっとGKとDF間に出したあのパスは絶妙で唸らされたっけ。
ただそれ以上に印象に残ったのが守備への献身的な姿だった。右サイドは内田が頻繁に前へ出るのでそのカバーリングが欠かせない。そんなチーム戦術の中にあって淡々と前線からの守備をハードにこなし、時折輝くようなファンタジックで創造性溢れるプレーをみせてくた俊輔には、凄いなこいつ!と思うと同時に、攻撃だけには専念できない現代サッカーにおけるファンタジスタの悲哀にも似た宿命を感じた。

俊輔に限らず、今のファンタジスタと呼ばれる10番タイプの選手はみんな前線からの守備をこなし、頭も身体も消耗している中で、常人には想像もつかないパスを出したりプレーをみせなけば試合には出られない。

そしてその何万分の一かはわからないけど、ちょっと今の僕の境遇にも似てるかも、と不遜にも思ってしまった。そんなことを会社に帰って話せばきっと他のみんなからは笑われるんだろうな、と思いつつ。



p.s 一緒に付き合ってくれた連れへ
カールスモーキー石井が唄った国歌を聴いて、この人歌上手いね、とか言わないでね。一応歌手なんだから上手いの当たり前なんだからさ。






















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