新天地で「いまだ全盛期と証明」したイチローもNYでは年齢・条件を加味すると再契約の可能性は低い

  • 有希
    2012年09月01日 04:51 visibility203

心機一転、ニューヨークでは好調ぶりをアピールしているイチロー

 しかし、これらの選手の中で各々の契約満了後もヤンキースでプレーを続けた選手となると限られてくる。特にイチローと同様、シーズン終了後にはFAになるという状況下で移籍し、新たに契約を結んで残留したのは投手でコーン、野手ではブーンぐらいしかいない。ブーンの場合は移籍の時点でまだ29歳と若く、直前に初のオールスター出場を果たしたばかり。ヤンキース移籍後も正三塁手としてまずまずの働きを見せ、レッドソックスとのリーグ優勝決定シリーズ最終戦では劇的なサヨナラ本塁打でワールドシリーズ進出を決めるなど、強烈な印象を残していた。新たに結んだ年俸575万ドル(当時で約6億1000万円)の1年契約もヤンキースにとってはリーズナブルなものであり、そういう意味ではあらゆる面で「残留の条件」を満たしていたと言っていい。

 では、イチローの場合はどうか。バリバリのレギュラーだったマリナーズ時代と違い、ヤンキースではロールプレーヤー(特定の役割をきっちりとこなすプレーヤー)としての役割を求められながら、8月27日現在で32試合に出場して打率2割9分6厘、3本塁打の成績を残している。マリナーズでプレーした前半戦は打率2割6分1厘と精彩を欠いていたが、地元紙『ニューヨーク・ポスト』が20日付けの電子版で伝えたように、新天地で「いまだ全盛期にあることを証明している」と言える。

■年齢・条件を加味すると再契約の可能性は低い ただし、今年10月で39歳という年齢、ロールプレーヤーという立場、今季1700万ドル(約13億3000万円、うちヤンキースの負担はおよそ200万ドル)の年俸などを考えると、イチローがヤンキースと再契約して来季も残留するかどうかは微妙なところだ。前述の『ニューヨーク・ポスト』も、同じ20日付けの記事でイチローとヤンキースの再契約には懐疑的な見方を示している。
 球団が同じくオフにFAとなる31歳の正右翼手、ニック・スウィッシャー(今季年俸1025万ドル=約8億円)との再契約にこぎ着ければ、イチローに再契約のオファーがあったとしてもあくまで「外野の準レギュラー」。条件は当然これまでよりもグッと下がる。今季も年俸総額は両リーグトップのヤンキースだが、25人の開幕メンバーのうち、開幕スタメンの9人を除く野手で最も年俸が高かったのは、アンドリュー・ジョーンズの200万ドル(約1億6600万円)に過ぎなかった。

 もっとも、米4大ネットワークの1つである『FOX』が18日に自局のウェブサイト上の動画ニュースで「トレード期限前にイチロー獲得を検討していたジャイアンツが、オフに再び動く可能性もある」と報じたように、FAになればレギュラーとして迎えようとする球団は必ず出てくるはずだ。

 ちなみにイチローの移籍直後にラスベガスのブックメーカーが発表した倍率によると、「ヤンキースはイチローと再契約する」が2倍、「再契約しない」は1.7倍と、“人気”では後者がやや上回っていた。シーズンも終盤戦に差し掛かり、イチローが自身初のワールドシリーズ出場に向けて突き進んでいく中、このオッズはどのように変わっていくのだろうか。

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