import_contacts 「武士と野球」に関するブログ
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光忠はひ弱なだけでなく、騙されやすいといえるほど素直な少年であった。 苦労を知らずに育つ者は、人の立場をおもんばかることが出来ないことが多い。しかし幸いなことに彼の守り役、水野大炊頭徳勝は厳しく光忠を育てた。 食事の時には、やれ、「米ひと粒の内には七人の神様がおわしまする。百姓が丹精したればこそ宿るわけで、七かけることの三千粒……この食事だけで二万千人もの神が御身に宿るのですぞ! けして百姓への感...
|15年前 -
長松丸シリーズで、そのうち試合の場面も出てくるんですが、本丸を攻め落とすという概念なので、1塁〜3塁の呼称がややこしいというか、数字が若くなって行くので、解説しておきます。 バット :木刀 ボール :球 グローブ:籠手 ヘルメット:兜 一塁 :出丸 二塁 :三の丸 遊撃 :遊撃 三塁 :二の丸 本塁 :本丸 右翼 :右翼 中堅 :中堅 左翼 :左翼
|15年前 -
江戸は世界一を誇る人口密集地だ。 住むのは開府以来、天下の将軍家を「おらが殿様」と自慢してきた生粋の江戸っ子。旗本、御家人の家系はもとより、故郷で夢破れ、事情を背負って飛び出した浪人者。畑を捨て、独立を目指し、裸一貫で乗り込んで来た若者。天下の台所を利用して一攫千金を狙う商売人。 そして忘れてはならない、大名屋敷に住まう、江戸勤番の外様の侍たち。 江戸は魅力的だ。誘惑が多い。艶やかな女、旨い魚。遊...
|15年前 -
徳川家嫡子、長松丸光忠は元服すると同時に徳川野球軍団の采配を委ねられていた。 野球は戦を模した一大イベントである。日本中の大名がしのぎを削り、春の地区予選を勝ち抜いて、秋に江戸で行われる徳川家との試合を目指す。 受けて立つ将軍家は、歯を剥いてかじりついてくる彼らをいなすと同時に、それぞれの家中がどのような状態にあるかを見極めるのだ。 領民による応援の熱気、軍団内の統率、選手達の愛国心……。 それら...
|15年前 -
大奥御三間にて、将軍家の五男が乳母に尻を叩かれながら素読の予習復習をやらされていた。 「師、曰わく。ささ、前回の続きを読んでくだされ」 「ち、のたまわく」 五郎太丸は元気に声を張った。 「てきはわれにあり!」 「は?!」 「まけにふちぎのまけなち!」 「お、お待ちくだされ」 乳母が慌てて五郎太丸の開いている教科書を覗いた。 「はて、どこにそのような事が刻まれてございまする?」 それに答えて、五郎太...
|15年前