実は坂本と同期入団、支配下登録された林イーハウ
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舎人
2010年08月03日 04:49 visibility1393
坂本たちのドラフトの行われた2006年9月25日の前日24日に、
台湾から来た15歳の少年がひっそりと入団会見をしました。
それがこのたび育成選手から支配下登録された林イーハウです。
実は坂本と同じ2006年の入団で、歳こそ違いますが2人は同期なのです。
ちなみに歳から言ったら大田たち高卒2年目と同じということになります。
当時中学校を卒業したばかりの15歳。
とは言え、早生まれの1991年1月2日生まれですから、
日本でいえば高校1年生だったということです。
それでもとんでもない青田買いでした。
ここまで若い選手が入団したのは、過去巨人にいたかどうか・・
少なくともここ30年で最年少の巨人入団だったと思います。
しかし、当時すでに149キロを投げて台湾のジュニア代表にも選ばれていました。
そのため、まずメジャーリーグ・ホワイトソックスを皮切りに、
多数のメジャー球団のスカウトが林の元を訪れました。
そこに巨人が環境面や教育面でしっかりと林を育てることを条件に、
多くのオファーの中から契約にこぎ着けたのでした。
これは多くのスポーツ紙の一面を飾り、
“巨人裏技補強”などの文字が飛び交いました。
この獲得劇の中心になったのが現在育成コーチをしている中本茂樹さんです。
中本さんはヤクルト退団後台湾のリーグでプレーし、
引退後はその時の人脈を生かし、巨人のアジア担当コーチになっていたのでした。
この中本さんが話すには
「林は台湾に野球が始まってから一、ニを争う素材」
なのだそうです。
この林のことを入団からしばらくして、
早くも報道ステーションでは特集しています。
長嶋一茂氏の「月刊カズシゲ」で、
巨人が育成を目指す球団になることを印象付ける象徴として、
この15歳の台湾から来た少年を紹介していました。
しかし、入団直後に林は肩を痛め、
ようやく入団後対外試合で投球したのは3年目2008年の5月1日のことでした。
この試合はチャレンジマッチで、巨人の4番手投手として、
2イニングを被安打3、奪三振2、与四球1、無失点の内容でした。
この試合の後、林はフューチャーズの一員といて先発を任されることになります。
清武代表の著書「巨人軍は非情か」によると、その時、林は
「三回を無失点で切り抜けたら、両親に一泊分の宿泊費を出してくれ」
と代表に申し出てきたという話です。
しかし、5月15日に行われたチャレンジマッチ、フュチャーズ対湘南は、
林にとって散々な結果に終わってしまいました。
先発して3イニング、被安打10、奪三振2、四球9、失点10
試合を見に来た両親の前で残念な結果だったのです。
しかし、清武さんはこの時の林について
「私は残念だとは思わない。三回を投げるぐらいで、両親を幸せにしてもらっては困る」
と突き放し、大きな期待を込めていました。
2008年は結局イースタンで1試合、チャレンジマッチで3試合の登板に終わりました。
実際はこの他にプロアマ交流戦や独立リーグのとの交流戦でも投げているのですが、
まだまだプロとしては全てに渡って力不足な状態でした。
しかし、4月21日の日記でも紹介した通り、
林はフェニックスリーグで活躍し、なんと156キロを連発したのだそうです。
その時の自信が次の年のステップアップにつながりました。
2009年はようやくスタートラインに立ったと言える年です。
フューチャーズやシリウスでの登板が中心だったものの、
先発も何度となく任されるようになったのです。
それまではいつまた故障を再発するかどうかを心配していた様子でしたが、
腕の振りが昨年までとは全然違います。
球速も147キロや148キロを連発するようになったのです。
この年のイーハウは長い間の雌伏の時からようやく目覚めたかのようでした。
しかしイースタンでの登板は5試合のみ。
開花の兆しは見え始めても、まだまだ信頼感は得ていなかったようです。
今年、2010年、林はイースタンの開幕三連戦の三戦目、いきなり先発を任されます。
それまでイースタンでの登板は2年間でわずか6試合のみ、
もちろん全てリリーフでの登板でした。
しかし、このイースタン初先発の林は、
六回を被安打5、奪三振5、与四球4、失点2と見事先発の任務を果たしたのでした。
特に二回表は打者三人を三連続三振です。
開幕戦で初勝利を挙げた笠原と共に、
新時代の幕開けを予感させる投球を見せてくれました。
林はその後18試合に登板、3勝3敗2セーブ、防除率3.23という成績を残しました。
今までの下積みから一気に首脳陣の信頼を勝ち取り、
多くのチャンスをもらえるようになったのです。
先発を中心に登板してきた林でしたが、ロメロの一軍昇格と共に
7月からは抑えを任されるようになりました。
しかし、一軍の投手陣は先発陣が崩壊、一気に需要は先発要員になったのです。
当然今回の支配下登録は先発を期待してのものでしょう。
林という投手は発掘した中本コーチの話の通り、
素材としては何十年に1人なのかもしれません。
腕の振りがしなやかで、スリークオーターから鞭のように球が放たれます。
あまりシュート回転をしない、きれいな球筋で、重い球質のようです。
おそらく自信をつければかなりの活躍をすると思います。
個人的には支配下登録はもう一年先と思っていたのですが、
今回の支配下登録は文句なしの素材の良さと、
今年に入ってからの成長の速さを加味した上でのものだったのでしょう。
動画はわずかばかりですが、
2009年と2010年の奪三振シーンを編集してみました。
今年のものと昨年のものを比較すると、昨年よりも上体が沈み込み、
より力感のある投球ができるようになっています。
林イーハウ奪三振 2009-2010
http://www.youtube.com/watch?v=KtpvbwK5uag
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