消えた球場・番外 堺大浜球場

  • Mr.black
    2011年02月21日 17:05 visibility4801

消えた球場シリーズは前回の第20回で一旦終了しましたが、番外編として紹介したい野球場があるのでここに記しておきます。

 

大阪府堺市、南海本線「堺駅」の南西、徒歩10~15分程度の場所に「大浜公園」があります。


 

この公園の南端に南北2面の草野球場が存在します。これが今回紹介する「堺大浜公園野球場」です。

 

 

かつてこの草野球場とほぼ同じ位置に南海ホークスの本拠地がありました。


南海が利用していたのは球団が創設された戦前から戦後間もなくの短い期間だったそうです。名目上は一応ホークスの本拠地になったこともありましたが、スタンドの規模が小さく、興行的に向かなかったらしいです。(当時の交通事情では堺は遠くて不便だったことも一因でした。)


そのためホークスの試合はほとんど甲子園や西宮で開催されてこの大浜は練習場として利用されることの方が多かったようです。いわば中モズ球場と似たようなものでした。

 

やがて難波に大阪球場が完成するとこの大浜球場は完全に忘れ去られた存在になりました。この球場がいつ頃閉鎖され取り壊されたかははっきりしていないようです。

京都の衣笠球場と同じく「幻の本拠地」と言ってもいいでしょう。

 

 

↑ 球場の現在の様子。こちらは2面あるうちの北側。2面なのでやや歪な形状をしています。

 

 

この球場で一番気になる存在、それは写真のスタンドです。

北面グランドの何故か3塁側にだけあるコンクリートのスタンド。


1塁側後方には十分な空き地があるにも関わらず3塁側にだけ存在するこのスタンド。おまけに非常に古めかしい状態です。

もしかしたらこれは旧・大浜球場のスタンドの一部分なのでは?と思えます。

 

野球場を一旦解体して再度グランドにする時、既存のスタンドの一部分を再利用するということはありがちなので的外れではないような気もします。

 

ところで一度は忘れ去られたはずのこの大浜球場がある時に脚光を浴びたことがあります。

それは南海ホークスの最晩年の頃でした。この頃、関西国際空港建設との兼ね合いで再開発の対象になっていた大阪球場。球場閉鎖が決まり、南海は新たな本拠地を検討しないといけませんでした。


まず候補地に挙がったのは2軍の本拠地「中モズ」でした。ここを建て替えて新本拠地にする案が出されました。

しかしその一方でもう一箇所候補に挙がった土地がありました。それがこの「堺大浜公園」だったのです。これは当時の堺市長が大のホークスファンだったからと言われていました。

 

 

しかし事態は急転します。南海のダイエー身売りです。

ダイエーオーナーの中内功氏は当初は球団を大阪に残すことも考えていたようです。本業のスーパー、ダイエーが関西が基盤だったからです。

しかしライオンズを失ってNPB球団を熱望していた福岡からの誘いが強く、結果的にホークスは大阪を去ることになりました。

 

「大阪ダイエーホークス」と「新・中モズ球場」(または「新・堺大浜球場」)は全て幻に終わりました。

 

 

プロ野球があっという間に去っても残った草野球を見守り続ける大浜球場。

このスタンドがはたしてかつて南海が利用していた時と同じものなのかどうか?

スタンドは黙して語らず。

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