USオープン その1

  • マル
    2010年09月04日 00:32 visibility812

USオープンの試合チェックで眠たい日々です。

なにせ、日本時間で夜12時から始まり、長い試合では昼までやってますから…(==;
もちろん、その全部なんて観られませんので、
めぼしい選手や、面白そうなカード(選手同士の相性など)を数ゲーム見て、
その日注目する試合を重点的に観ています。

***
面白いことに、
今大会はシード勢、それもハードコートを得意とするはずの選手がダウンしています。

ヒューイット、ロディック、バグダディス、ベルディッヒはハードコートは得意なはずでした。
特に前二者はUSオープンで優勝経験があります。
しかし、負けました。

これは、現代テニスの要素が詰まっているのではないか、というのが持論です。
(以下、興味無い方は飛ばしてください(^^;)

現代テニスの要素 その1: 用具の進化
ヒューイットの相手はフランスのマテューでした。
全英で最長試合記録の選手ではありません(あれはマウーです…紛らわしい)。
この選手は余り穴のない、悪く言えば盛り上がりに欠ける選手なのですが、
現代っ子テニス選手のご多分にもれず、強打が結構いけます。
一方ヒューイットは、昨今の「反発性の高い」ラケット以前のラケットから入った世代ですので
(全盛期はヨネックスの黒ラケやマッスルパワー1を使っていました。これらもあまり飛びません)、
「強打」というほどの強打はもたず、
どちらかというとコントロール重視の選手です。

サンプラスやヘンマン、ラフターといったネットプレーヤーへのパッシングショット、
追い込まれてからのカウンターショットやランニングショットの精度は素晴らしいものがあります。

しかし、現代っ子テニスにそれは通用しません。
ラケットの進化によって通常のラリーからすでに強打気味のボールがきますから、
体勢を立て直す暇もなく、強打の嵐です。

ヒューイットはこれに耐えきれず、轟沈しました。


現代テニスの要素 その2: 戦略の重視
一見「その1」と矛盾するようにも思えますが、現代テニスでは「戦略」が重要です。
サーブだけ、ストロークだけでは勝てない、そんな試合になってきています。

特にハードコートでは「あてれば返る」のに加え、
上記の「用具の進化」がありますから、
「上手く当てて返せばエースになる」わけです。
その分、どのショットを、どんなときに、どういう風に使うのかの選択が重要となってきます。

ロディックは、ティプサレビッチに敗れました。
ティプサレビッチはセルビアの選手で、
腕に「美は世界を救う」というドストエフスキーの名言を日本語で刺青している選手です。
動きが良く、タイミングの早いラリーを得意としています。

一方、ロディックはご存知サーブとフォアハンドが強烈な選手で、
最近はネットプレーにも磨きがかかってきています。
ただ、アプローチやネット際でのセカンドボレーの動きに難があると言われています。

この試合、一見すると冗長なラリーからあっというまにポイントが決まるという、分かり辛いものでした。
しかし、それはおそらくティプサレビッチが、
�ロディックのバックを狙いつつ、ストレートへの展開でポイントをとる
�ネットに出てきたら横を抜く
という方針を立て、それを遵守したためだと思います。
それゆえ、バックのクロスラリーが長く続き、
またフォアにボールが来てもロディックは強打できずにスピンでつないだため、
よりいっそうラリーが冗長に見えたのだと思います。

そして、特筆すべきは、ティプサレビッチのストレート(ダウンザライン)への攻撃です。
ロディックは
「そんなリスキーな攻撃は長く続かない、入ったら入ったで放っておこう」
と考えていた節がありますが、それが敗因だったと思います。
なぜなら、ロディックにそのように考えさせて、ストレートを空けさせておくことこそが、ティプサレビッチの狙いであり、それによってより一層、ストレートへの攻撃が容易になったからです。
ティプサレビッチとしては、
最初の方で厳しいストレート攻撃をしておけばあとは少しずつ楽になりますから、
あとはロディックが戦法を変えてくることを待てば良いわけです。

その後はロディックがネットに出てきても、
ロディックにサービス→フォアハンドのコンビネーションをやらせるより楽ですし、
動きのいいティプサレビッチにとってパスを打つのはそれほど苦痛ではないので、
順調にポイントを重ねていきました。

いわばティプサレビッチは「先の先」をとることで試合に勝ったといえると思います。


なお、ベルディッヒはフランスのネットプレーヤー、ロドラに敗れました。
この勝負は観ていてとてもスリリングで面白かったです。
ネットプレーこそがテニスの醍醐味と思わせてくれました。

戦略・戦術的にみれば、オールラウンダーvsネットプレーヤーのガチンコ勝負、といった風情で、
見事ネットプレーヤーに軍配があがった試合でした。

…え?
大好きなネットプレーヤーが勝ったのになんでそんなに淡白なのかって?
なんででしょうね…きっと相手がベルディッヒだからなないでしょうか(ひどい
※ベルディッヒ:ネット上では「空気」と呼ばれているほど影の薄い選手。
 ウインブルドンでフェデラーに勝っても知名度はあまり上がっていない。
 実はジャパンオープンでも優勝しているが、それすらあまり知られていないほど影が薄い。

***
本当は内容的にもう少し書くつもりだったのですが(錦織選手とチリッチ選手の試合など)、
思ったより分量をとってしまったのと、もうすでに第一試合が始まる時間なので(笑)、
尻切れトンボですが今日はこのへんで…(^^;

それにしても、テニス観戦は楽しいなぁ。

追記
「お前の言っていることは頓珍漢だ!そうじゃない!俺はこう思う!」
という方、是非語り合いましょう。
お手柔らかにお願いします(^^;;;

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