フェデラーの美しさ

  • マル
    2010年10月16日 23:40 visibility563

今日の上海オープンはフェデラーvsジョコビッチです。

なお、昨日書くつもりだった記事を、更に一日先延ばしにして
 この記事を書いています(^^;

***
…とはいうものの、
 今日はネットが激混みだったらしく、
 肝心なポイントでカクカクしたりして、非常にストレスフルな観戦となりました。
注目度が高いのかもしれないな、などと考えつつ観ていました。


1stセット。
途中から見たので、全部は見れていないのですが、
 流れとしてはキープ合戦だったように思います。
しかし、フェデラーがキープに苦しんでいました。

ジョコビッチは「ポイントの獲り方」が見えているのでしょう、
 自信満々にプレーします。
そして、ディフェンシブなショットも、アグレッシブなショットも、いいコースに決まります。
強打でフェデラーが押し込まれることも、何度もありました。
圧巻は、サービスの確率と威力でした。
セカンドでもエースを取ったりします。

(余談ですが、セカンドで相手の「待ち」とは逆のサイドにスライスなど回転+スピード、
 という選択は、非常に有効だと思います。
 …えぇ、そうです。
 前回のテニスで、私もひっきーさんやYさん、Qualiaさんにしこたまやられた手です(==;
 もっとサービスは向上しないとなぁと痛感しています。)

では、この自信満々のジョコビッチを、フェデラーはどう崩していくのか?

ソダーリンと同じように球種で崩すんだろう…
…と思った私は、自分の考え方が甘かったことに、すぐに気付きます。

そう、フェデラーの戦い方は、昨日とは全く違ったのです。
昨日は、
 「相手が取れそうな場所でも、球種の工夫で強打を封じる」という、
 ぱっと見、「どうしてそんな甘いところに?」という気もしてしまう戦法でした。
しかし、今日は、
 「緩 ⇒ 急」
 という戦法でした。
上手く表現できるか自信はありませんが、
 通常のラリーを続けた後(これでもレベルは十分高いものですが)、
 いきなり「強打」するのです。
この「強打」、単に強く打つわけではありません。
打つタイミングを早くしたり、
 逆にやや溜めてハードヒットしたりと、
 打球リズムを変える、と言った方が正確かもしれません。
あるいは、ジョコビッチのスプリットスレップのタイミングを外すようなショット、
 と言えばしっくりくるかもしれません。
ともあれ、「びっくりショット」を打つのです。

もちろん、ラリーの中で急にギアを上げるわけですから、
 かなり無理があり、リスキーです。
現に第1セットでは、このショットの成功率は五分五分といったところだったと思います。

しかし、そのリスクをとった甲斐あって、
 5−5からジョコビッチのゲームをブレイク、
 その次はしっかりキープして7−5にします。

このような戦法を取ったのは、
 ジョコビッチのボールへのアジャスト能力が半端ないから
 だと思われます。
多少回転が違おうが、
 甘いコースに来たら強打、
 そしてそれはしっかりとスピンがかかっており、コートに入る。
更に、そのショットは返しづらい上、
 その次のショットできっちり決めてくる。
そんなプレーヤーに相対するには、
 相手の気持ち良いリズムでラリーしてはいけない、
 そう考えての戦法だと思います。


2ndセット。
このセット、フェデラーはいきなりジョコビッチのゲームを2ブレークします。
前のセットの戦法がまだまだ通用します。
また、リズムが狂ったせいでしょうか、
 ジョコビッチのミスが増えてきました。

ここで、ジョコビッチもさるもの、
 続くフェデラーのゲームをブレークして4−2、
 その後キープして4−3とします。

しかし、ジョコビッチの反撃もここまででした。
フェデラーの中に「勝ちパターン」が見え、
 逆にジョコビッチに「ポイントパターン」が見えなくなったのでしょう。
トントンとゲームは進み、
 危なげなくゲームを締めました(6−4)。


試合を観ていた感想としては、
 「自信満々だったジョコビッチの『自信の衣』を、
  フェデラーが徐々にはぎ取っていった」
 といえると思います。

***
一度相手に行ってしまった流れや、
 試合をしまくって、勝てる気がしなくなってしまった相手に対し、
 どのようにまくっていくか。
そのヒントがてんこ盛りな試合だったと思います。

必要なのは、
 ちょっとした工夫で、相手に気持ち良くプレーさせないことと、
 それに必要ならば、リスクを承知で攻めること、
 そして、ちょっとの運。

学ぶところの多い試合でした。

sellテニス

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