野球読書日記「落合博満アドバイス 指導者に明かす野球の本質」

 

 

もう少し落合博満さんの話を続けさせて下さい。

 この本は落合さんの野球観だけでなく、仕事論、教育論、社会論にまで論述が広がっているのが魅力です。まさに「落合博満の哲学」が込められています。落合さんとは、もしかして自らの失敗や躓きを直視して反省し、そこから努力して挽回する成長意欲の塊みたいな人なのではないか・・・私はそう感じました。

 そして、社会人野球への感謝と愛が溢れんばかりに描かれています。東芝府中での日々こそが落合さんの青春の頂だったのでしょう。 所属された東芝府中のことを振り返ったこんな一文がありました。

 

「『やはり、そう簡単にプロ選手にはなれないよな』

失望ではなく、それが現実なのだと受け止め、野球部を引退しても東芝で働こうと考えるようになった。 当時の東芝府中には私のような中途入社や東北の出身者が多く、居 心地がよかったこともある。さらに、野球部だけではなく、職場でも上司や先輩が色々なことを教えてくれた。 会社の一員になっているという安心感で、都会に出てきただけで人疲れしてしまった 私が、人に慣れて社会に適応できるようになった。それが野球での成長にもつながったのだと考えている」(222~223頁)

 

 若い時からの謙虚で堅実な思考が伺えます。これが落合さんの本質の様に思います。

 大器晩成。

 高校野球や大学野球で思うような成果が出せなくても、自分に合った環境を求めて歩き続ける。ここが自分の勝負をかける所と見定めたら、ひたすら努力し芽を出し、根を張り、葉を繁らせる。そしていつか野球界を支えるような大樹になる。落合さんの生き様を思う時、「自分は過去の後悔から何か行動を変えたことがあるか?成功に向けて努力しているか?」と自問せずにいられません。

 落合さんの見識や指導力があれば、優勝から遠ざかっているチームに革新がもたらされることは確実の様に思います。どの球団のユニフォームを着ることになっても、「落合博満監督」を再び見たいものです。

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