野球読書日記「野球は頭でするもんだ!」

  野村克也さんの話を続けさせて下さい。

 この本は私が大学2回生か3回生の頃に買ったので四半世紀以上も手元にあります。

 野村克也さんが1985年に書かれたものです。ヤクルトの監督になる5年前。解説者として活躍されていた時代です。

 この本は読み進めていくうちに野村さんのフィルターを通した野球知識が身に付いていきます。

 野村さんの考える性格別ポジション適性の話が何度か出てきます。もしかしたらヤクルト監督時代に秦真司さんや飯田哲也さんをコンバートしたのは野村さんによる性格分析も一因だったのでは?と思わされますが、いかがでしょうか。

 また、野村さんのバッティング論も深い洞察に基づいた重厚さがあります。対戦したチームの打者を徹底的に観察・分析し、自信を持って類型化を図り世に問う意思を感じます。その核心と思える部分を抜き出します。

 

「バッターには四通りのタイプがある。

①ストレートにタイミングを合わせていて、変化球についていく型。 長島、張本、若松(ヤクルト)が代表的だ。

②内角か外角か、五割の確率で、ねらうタマをしぼる型。王、福本 (阪急) 谷沢(中日)、田尾(西武)。

③流したり引っぱったりで、バッテリーを自分のペースにまきこむ型。 島谷 (元阪急)、加藤(近鉄)。

④球種にヤマを張る型。

大半の打者は④に属する。 私もそうだったが、ヤマを張るのは恥ずかしいことではない。 問題はカンではなく、どの程度の根拠をもってヤマを張るかだ。 ヤマの確率を高めるためには、配球のデータを集めたり、投手のクセを知らねばならぬ。他のタイプには必要のない努力がいる」。(112~113頁)

 

 これを読むと野村さんはヤクルト、阪神、楽天いずれのチームでも監督としてバッテリーを中心とした守りの野球を進めておられたように感じますが、本当はバッティングが大好きだったのではないでしょうか。そして、あくまで想像ですが、理想のチームとは先に抜粋した部分に名前のある打者に匹敵するバッターを育て、夢の様な打線を組んで、打ち勝つ野球をすることだったのではないでしょうか。

 

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