野球読書日記「どんな球を投げたら打たれないか」

  現在北海道日本ハムファイターズに所属する金子千尋選手の全盛期2014年に出版された本です。

 金子選手の野球観、投球哲学が余すところなく語られています。特に自身の投げる変化球に関してかなりの量を費やして説明されています。

 しかし、私が最も感銘を受けたのはマウンド上で力まないこととコントロールの関係に関する考察です。その部分を引用します。

 

「打者はピッチャーの投げるボールに反応するしかありませんが、ピッチャーは自分の意志で好きなボールを投げることができます。その点だけをとらえれば、ゴルフと同じです。

 つまり、ピッチングも、同じフォームで投げれば、同じところへボールが行く。そんなイ メージを頭のなかに描いたのです。

 もちろん、同じフォームで投げ続けるのは至難の技です。同じように投げようとは思っても、フォームはわずかな力みで崩れてしまうからです。 さきほどの記述と重なりますが、それならば、崩れる原因をなくせばいい。つまり、力まず、いつも同じフォームで投げられるようにすればいいのです。」(61頁)

 

 この記述は本の最初の方で出てきますが、力まないことと良い投球をすることの相関性は度々で切り口を変えて丁寧に語られています。

 金子選手は間違いなく思索的で、独創性のある野球理論の持ち主です。しかし、それは決して天の邪鬼なのではなく、自らの持ち得る能力を最大限に活用し最高の結果を収めるかという命題を追求する中で産み出された答えなのです。

 金子選手のように自分の野球理論、勝負哲学を築くことができた者が死力を尽くして戦うプロ野球の世界。その深淵を垣間見ることのできる一冊です。

 

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