FC東京vs東京ヴェルディ1969

ヴェルディと言えば泣く子も黙る、フッキ・レアンドロ・ディエゴの
ブラジル人トリオが織り成す前線の攻撃力がウリのチームではあるけれども、この3人が抑え込まれると脆いチームでもある。
攻めるブラジル人、守る日本人という分かりやすさで、
所謂「前後分断サッカー」の様でもあるけれど、
彼らの攻撃力を活かすためには、日本人が攻めあがって相手守備陣を増やしてスペースが無くなるというパターンが最も恐れる展開であるから、
これはこれで合理的な戦術だろう。

対するFC東京はと言えば、こちらもブルーノ・クアドロス、エメルソン、カボレが先発し、ブラジル人トリオがチームの中核を成すのはヴェルディと同じだけれども、トップ、オフェンシブハーフ、ディフェンシブハーフにそれぞれ配置されるという所と、札幌・韓国・ギリシャからそれぞれやってきているからか、守備とパスワークにも重きを置くタイプのトリオである所、この2点が大きく異なる。
エメルソンとブルーノはしかし、出場数がまだ少なく、ゲームへの飢えがある、という部分も大きいか。

それにしてもブラジル人はすごい、というのを1年位前にも書いた気がするが
まあ1年に1回だけ書いて済むような事ではないので繰り返しておく。

ゲームはフッキ、レアンドロ、ディエゴらがドリブル&キープをし、サイドバックに開いてそこからクロスという形をヴェルディが何度も作るが、惜しいと言えるクロスは1本もなかったと言ってよい。
FC東京はブルーノが中央でボールを持ち、一旦後ろの浅利に預けて前に出、浅利から中盤やや前の左サイド側にいた羽生へ。羽生がダイレクトでシンプルにはたき、ブルーノが前を向いてボールを持つ。バイタルエリアで誰もチェックにいけていないのが大きく、右足ミドルがネットを揺らしてFC東京が先制した。
その後もカボレの浮き球スルーパスに飛び込んだブルーノのシュートや
FC東京ユース上がりでJデビュウの右サイドバック椋原のクロスから平山のヘディングがバーを叩いたり、とFC東京がよい攻めを見せるがなかなか追加点が決まらない。後半になると徐々に全体を押し上げてこぼれ球をよく拾ったヴェルディだが、ルーキーの椋原の所から攻め込もうとするも椋原のスピード及び、佐原やエメルソンのフォローなどで決定的なシーンはなかなか作れない。前線で細かくつないでやや外からフッキらが角度のない所や遠目からのシュート、という場面が目立った。
FC東京は左サイドで得たFKを徳永が蹴り、佐原がヘッドで合わせて追加点を奪い、後半終了間際にはエメルソンとカボレのコンビネーションから、エメルソンのスルーパスを後半途中出場の近藤がゴールを決めて、止めを刺した。

以下個人採点

FC東京
GK塩田6.5 安定感が増してきている。
DF椋原6 ポジショニングや判断力でちょっと、というシーンもあったけれど、良い対応を見せていた。
佐原7 ディフェンスではカバーリングがよく、またゲームを決める追加点も大きかった。
藤山6 読みを活かしたインターセプトは相変わらずの切れ味だが、届かないシーンが数回あるのはやはり怖い。
徳永6.5 近藤に出した左足クロスや佐原へのアシストもよく、フッキらのドリブルも要所で止めた。だから点数は甘いけれども彼のポテンシャルなら「要所」以外でも働き、リーダーとしてやってゆかなければならない。
MFエメルソン7.5 守備では椋原を良く助けて、自身でもボールを奪い、攻撃ではキープし、ドリブルで相手をかわし、パスでチャンスを作り、そして走った。要はシュート以外の全てをこなした。
浅利6.5 ヴェルディの菅原との対決は渋さ�1ボランチを決める戦いでもあったか。
ブルーノ7 先制ゴール以外でもビッグチャンスによく前半は絡んだ。
羽生6 カボレを走らせたスルーパスも良かったし攻守に働いた。
FWカボレ6.5 自身の得点はなかったが多くのチャンスに絡んだ。
平山5.5 ヘディングは惜しかったけれど。

交代選手
近藤6 ヘディングも決めなければ!土肥の股を抜いたゴールは見事。
金沢6 中盤を引き締めるのに一役買ったじょお!
石川は直。もとい略。

東京ヴェルディ
GK土肥5.5 ブルーノのあわや2点目などは良く防いだ。
DF和田4.5 攻めてはクロスに精度を欠き、守ってはカボレや羽生に翻弄された。
土屋5 攻め上がって使われず、相手の攻め上がりを後ろからファウル、というシーンが象徴するように、可哀想な役回り。
那須5 平山はでかいし、カボレは速いし、エメルソンはうまいしで厄日か。
服部4.5 うまい守備をする場面も合ったけれどもクロスはひどい。
MF菅原5.5 効いている何気に。しかし先制されたシーンは誰かについていってしまったか?
福西5 ファウルを貰ったり、イーブンのボールをマイボールにしたりするのは本当にうまい。
大野5 地味に働いていたが決定的なシーンは作れず。
ディエゴ5 攻撃をオーナガイズすることが出来ず。
FWフッキ5 迫力はあったが相手の思う壺方面へ前進。
レアンドロ4.5 こちらも飛んで火に入る夏の虫、といったところか。佐原も藤山も飛び出してしまって抜け出したシーンを決めていたらゲームの流れも変わっていたか。

交代選手
河野、富澤、両方とも略。

柱谷のリアリズムだけが決して悪いのではないかもしれないが、
ヴェルディの悪い面が大きく出たゲームだったろう。
逆にハマると手がつけられないがその振り幅が大きすぎるのではないか。
ほとんどベテランだけの守備陣にオフェンシブなブラジル人3人というチーム編成は極端すぎて、来シーズンがいったいどんなイレブンになっているのか想像もつかない。

FC東京は代表で何人かを欠いたがレギュラーを固定化してこなかったチーム作りがよい方向に(このゲームは、そして今シーズン今までの所も)出た。
ブルーノの攻撃力は確かに素晴らしいが、浦和の闘莉王と同じく
最終ラインで使って欲しいというのが個人的な意見である。
藤山の読みを活かした守備はうならされる場面が何度もあるが
おやっと思う場面も何度もあるのがいつも思うところ。

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