グラブ価格から見る野球の将来への危惧

  • 虎男
    2018年11月23日 11:30 visibility311

野球ファンの皆さんは、野球の将来をどのように見ているのであろう。私はあまり明るい未来を見出してはいない。サッカーが国際的スポーツであることは言うまでも無く、日本代表チームの試合にはサッカーファンでなくても注目が集まる。サッカーが地球上の多くの国で愛されるスポーツになった理由に「道具の少なさ」もかなり影響しているはずで、野球のそれは比較にならないほど多い。ユニフォーム、スパイク、グラブ、バットは最低限無いと活動ができない。そのうえバッティンググラブだの、リストバンド、寒い時にはネックウォーマー、ウインドシャツなど細々した物がやまほどある。膝や脛、腿などのサポーターもしかりである。さて、野球の将来を危惧する理由に、グラブだけをとってみよう。野球人口を支えるうえで一番大きな野球団体と言えば「高野連」だろう。その高野連傘下の野球部は全国でどれだけあるのだろう。4000校くらいあるのかもしれない。それらの高校野球の部に少なくとも10人以上の部員がいるのは当たり前で、そしてその部員が最低で1個は野球グラブを持っていると考えて間違いない。

 

高校野球は硬式野球である。そうすると硬球対応グラブを購入するといくらかかるのだろう。スポーツ用品店で市販の硬式グラブ1個の平均的価格は5万円だと言われている。そして毎日部活でノックを受けると、新品で買った硬式グラブが半年でお蔵入りする。高校は三年間通学するので、簡単に計算すると半年に1個の硬式グラブが必要であれば3年で6個買う必要がでてくる。三年間でグラブだけで30万円の費用が必要になる。そしてユニフォームだ。試合用のユニフォームを毎日の練習に使う球児はいない。試合用、練習用で最低2枚必要になる。そしてアンダーシャツは汗をかくので、複数枚必要だろう。スパイクもスライディングをしたり激しい動きで1年持たないでつぶれるはず。3年間で5足としても、少額ではすまない。さらにバットがある。こんな道具を全て用意していたら、球児の親御さんはどれくらいの費用捻出をしなければならないのか。このくらいの出費は家計に響かないと言う自信のある家庭以外は、将来野球をやらせることはできなくなってくる。そこで現在の野球グラブがどういう状況にあるかを説明しておこう。

 

私は野球のグラブが大好きで、コレクションしているくらいなのだが、25年前のグラブと今現在市場に出回っているグラブがどう違うか。はっきり言うと、現在出回っているグラブは「消費者の首」を絞めるような物になっていると言える。理由は「グラブが軽い」のだ。軽いグラブがなぜ「今の主流」ですとメーカーは言うのだろう。守備の時にグラブが軽ければ、軽快な動き、フィールディングの素早さを求められるときにグラブが邪魔にならない。軽量のグラブだと操作が楽で、得に外野手はグラブの重さを気にせずに打球を追いかけることができるとなる。しかし、軽いグラブを作るには革を薄く漉かなければならない。グラブの革が薄くなれば、耐久hは確実に落ちる。そう考えるのが自然だろう。強いゴロを取った時に、グラブの捕球面に破れやほつれが簡単にできるようになる。そうすると、自分の手になじんできたグラブなのに、修理に出さないとならなくなり、修理に出している間に、新しいグラブが必要になって来る。また、新しいグラブ購入となる。さらに、野球メーカーはグラブの耐久性が落ちているのに、さらに拍車をかけることをユーザーに推進するのだ。それが「湯もみ」だ。

 

革を湯や水につけることは、それだけ革の繊維をぶち壊し、耐久性を縮めることになるわけだが、多くの高校球児がこの「湯もみ」を疑問も無く、ありがたく店にもっていってやっているのだ。耐久性が従来のグラブと比較にならないほど落ちているにもかかわらず、ここでもグラブの素材そのものに対して、さらに耐久性を落とす工法で自らのグラブの寿命を縮めている姿を見ると、もうこの業界の自殺のようなやり方、自らがユーザーの数を減らす方向へ進めているやり方に疑問どころか、呆れた口がふさがらない。

 

プロの選手がグラブを湯もみするのは意味がある。彼らはアドバイザリースタッフとしてグラブの無償提供を受けているのだ。それであれば、彼ら自身の財布が痛むことは無い。そういう人間たちが「湯もみは良いですよ。」と言うのはメーカーとの契約の広告での一文であり、彼らはグラブを「消耗品」だと思っているからこそ一言であるのは間違いないはず。彼らとは違い、市販のグラブを家計と相談してねん出したお金で買うユーザーとって「耐久性が落ちる」と言うのが顕著な湯もみ型付けをすることによって、さらなる出費をするとなると、道具は多くそろえなければならないし、費用はかかるしで野球を断念する高校生は増加する気がするのは私だけだろうか。さらに、少子化問題がこの上に乗っかって来る。私はグラブの価格が27000円くらいにならないと野球復活は難しいと考えている。もちろん、今の状況であればメーカーはそんな価格で新品グラブを提供できるわけがないと憤慨するだろう。しかし、損して得取れだけではなく、アオダモの植樹と同じように将来を展望た時、今価格を抑えないと、野球人口はさらに減少する一方になるのは明らかではないだろうか。一考する時が今だと思う。

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