ジダンというフランスの象徴:ブラジル−フランス
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soultrans
2006年07月03日 03:33 visibility549
※いちおう、「一つになるフランス、一つになれなかったブラジル:ブラジル-フランス」の続き。
もともと、タレントで見れば、最も優勝候補と目されてもいいチーム。なにせディフェンスにはテュラム、ギャラス、中盤はボランチにマケレレ、ヴィエラ、そしてジダンがいて、トップは何でもできるマルチプレーヤー、アンリがいる。ただ、少なくとも予選までのフランスは、これらのトッププレーヤーがあまりかみ合う事が少なかった。特にジダンとアンリ。この二人が絡むときは、二人のポジションが非常に近く、お互いにパスの出し、受けのタイミングがすこし違うように見える。アーセナルでも、長年にわたって、同様のポジションに位置するベルカンプなどと組んで来たアンリにとっては、意外なほどと言っていい程、この二人が機能しづらい状況にあるのは、今でも不思議な気がする。ただ、この二人は、間違いなく、天才肌のプレーヤーで、周囲が合わせるタイプ、周囲がを生かすタイプのプレーヤーだと思う。そのためか、この二人の天才は、なかなかフィットしづらいのかな、というのがなんとなくの印象。ベルカンプはそれに比べれば、すくなくとも現在は明らかに職人タイプのプレーヤーだ。ジダンとベルカンプは、同じポジションに入っても、プレー内容は当然違う。むしろジダンは、ヴィエラなどの後方からのプレーヤーに対しての視野をも持っていることが確率的にアンリへのパスを減らしている要因なのかもしれない。
一方、ブラジルも当然、サブの選手でさえ、知らない選手はほとんどいないくらい、豊富すぎるタレントで構成されたチームとなっている。ロナウジーニョやロビーニョ、ロナウド、アドリアーノ、カカ、ペルナンブカーノ、カフー、ロベルトカルロス、エメルソン、ジウベルト・シウバなど、上げるときりがない(既にきりがないくらい上げているけど)。ウイニングイレブン的に考えれば、それこそ優勝間違いなしなイメージすらある。
もちろん、前にもグループリーグ予選の前に書いたけど、それでも弱点が無い訳ではないが、その弱点を突く事自体、かなり難易度の高いチームである(だから強いんだけど)。攻撃に関しては、得点は取っていたし、負けや引き分けも無かった。けれど、何か足りない。そういう戦いをブラジルはこれまでしていたという印象がある。日本が必要としていた予選突破の為の勝ち点を僅か2試合で取ってしまえる力があるのに、ブラジルには、それ以上のことを期待してしまう。日本人である僕らがそう感じるくらいだから、ブラジル国内での期待は当然もの凄いだろうし、優勝を義務づけられるチーム、そして、世界の頂点であり続ける国としての評価は、簡単な勝利だけでは認められないものなのかもしれない。
戦術的に見れば、ブラジルはロナウジーニョを中心に据えたいところだったが、そこにはカカやペルナンブカーノが入り、ロナウジーニョはバルサでの定位置、左サイドに入っていた。ただ、バルサのときのような縦横無尽なポジションチェンジや、スピードにのった切れ込むドリブルは、ことごとくフランス相手には通じなかった。コンディションや、ブラジルのフォーメーションにも問題はあるだろうが、ロナウジーニョのコンディションそのものも、ブラジル代表である以上、完全なピークではなかったのだと思う。
さらにいえば、このベスト4の時点で、ヨーロッパ以外の国は姿を消している。フランス-ブラジル戦は、それほどあからさまなものは無かったように見えるが、これも何かのせいかもしれない。ただ、アンリのゴールはアンリがきっちり決めたもので、ロベカルが完全にディフェンスしなかったのが責任だから、そこには誤審の余地は無いと思う。
とにかく、フランスは更にもう一試合、ジダンのための試合をすることが出来るようになった。
40年ぶりのベスト4を果たしたポルトガルと準決勝を戦うことになるフランスは、決勝進出することが出来るだろうか?ユーロ2004で最後の活躍をし終えたと思われていたポルトガルが、若手とベテランの融合を見事に成功させ、ここまで上がって来た。逆に若手の成長が予定通り行かずにベテランの力を借りたフランスは、ここにきてようやく一丸となりつつある。リベリーという「後継者」も現れ、その才能は、ジダンとは違う形で開花しつつある。フランスは98年のベストチームのような団結力で、決勝に臨む事ができればと思う。
仮に出場できなかったとしても、既にこの06フランスというチームとその中心にいるジダンはベストチームと呼んであげていいのかもしれないが。
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