頑張れ、寺原! ようこそ、多村!

  • HiRO
    2006年12月06日 01:30 visibility103

これにはさすがに驚いた。
BayStars多村とHawks寺原の交換トレードが成立。

その実績からすると、かなり不釣り合いな1対1のトレード。
多村は、今季、故障で活躍できていないとはいえ、一昨年、昨年と2年連続で3割30発を打ったBayStarsの新たな顔ともいえる右の長距離砲。WBCでの活躍も記憶に新しい。
普通に考えれば、Hawksの先発陣であれば3、4番手クラスとの交換でもおかしくない。今季不振だった杉内あたりでもバランスを欠くことはないはずだ。
それが、先発ローテも怪しい寺原である。プロ入り5年で通算16勝、最高でも7勝止まり。

一見、バランスの悪さが目立つ。
だが、これは、両選手にとっても、両チームにとっても、案外良いトレードだという気がする。現に、BayStarsのファンにも歓迎の声が目立つ。


寺原は、松坂の1年下。日南高校時代から松坂を上回る157Km/hを記録した速球で「怪物」と呼ばれ、ドラフトでは王監督の当たりクジで1位指名された右の本格派。Hawks期待の未完の大器である。
ルーキーイヤーに6勝、2年目に7勝をあげるも、その後2年間は勝ち星無し。
とはいえ、その潜在能力の高さは計り知れない。
今季のその登板内容にバラツキがあったのも否めないが、勝ち星を得られずとも、インコースをえぐるシュートと140Km/h台の外へのスライダー、そして150Km/h台のストレートで、鳥肌の立つようなピッチングを魅せたゲームもあった。その興奮に、寺原の覚醒を確信し、こんな記事を書いたほど。

が、今季序盤、そこそこのピッチングを見せつつも、貧打の鷹打線にも泣かされもともと若い先発投手が充実しているうえに、今オフ、大隣を獲得したHawksでは、来季の先発機会があるか否か、微妙なところ。かといって、中継ぎ向きではないと思う。が、先発の頭数の足りないチームであれば、ローテーションに入れるポテンシャルは充分にあるだろう。
BayStarsは、10勝をあげた門倉のFA流出が決定的とあって、先発候補は幾らでも欲しいはず。しかも、寺原はまだ23歳と若い。

一方の多村。
2004年は3割40HR100打点をあげ、2005年も2年連続の3割30HR以上を達成しながらも、怪我や病気での欠場が多く、さらには昨季、交通事故を起こして戦列を離れ、今季も故障で39試合の出場にとどまるなど、BayStars首脳からの信頼を損ねていたきらいはある。オフの契約更改時にも毎年ごねていたから尚更かも知れない。

井口、城島と相次ぐ主力選手の流出で、中軸を打てる右打者の決定的な欠如を招いた今季のHawks。小久保が戻ってきたとはいえ、ズレータがもし去った場合は今季と変わらぬ状況となってしまう。
その意味で、助っ人外国人に頼らぬ打線を理想とする王監督にとっては魅力的な選手であったに違いない。
しかも、王監督はWBCで多村のプレーを間近に目にしている。韓国戦での外野守備といい、そのバッティングといい、王監督の評価が高いのも無理はない。
「怪我がなければ」という前置きはつくが、シーズンを通して出場できれば、大きな戦力となるのは間違いない。
Hawksには、秋山、小久保、松中と良い手本が幾らでもいる。彼が、それに好影響を受けて、少しでも怪我を少なくできたなら、本当に3冠王ですら夢では無かろう。そのくらいの優れた資質を持っていると思う。

新庄が引退し、小笠原がFAで去ったFightersも、金村を交換要員に多村の獲得を画策しているとも伝えられていた。

実績では金村に劣る寺原ではあるが、その若さと資質からくる将来性は高い。この1対1のトレードに、そのポテンシャルへの評価の高さが現れている。
Hawksで先発のチャンスを得るのが難しいことを考えれば、これを大きなチャンスと捉えて飛躍して貰いたい。

そして、王貞治という類い希なるかつての長距離砲のもと、多村もその才能をさらに大きく開花させることができれば、皆がハッピーなトレードとなる。


レフト多村、センター大村、ライト柴原という外野手の布陣。3塁に小久保。そうなると、必然的に1塁、もしくはDHで信彦。
ある意味、ズレータの去就に左右されぬよう布石を打ったHawks。が、願わくはズレータを手放して欲しくはないのはもちろんのこと。

そして、Hawksの若手にとっては、チャンスが少なくなるのは間違いない。
いったん、こうと方向を定めると、ただひたすらに、ひたむきにそれを目指す王監督らしい今オフの補強。


BayStarsファンにはBayStarsファンの見解があって、欠場の多すぎる多村でポテンシャルの高い若い寺原を獲得できたことを歓迎する向きも多いようだ。

一方、Hawksファンの立場で見ても、著しく投打のバランスを欠いていた今季のウィークポイント中軸の右打者を、余剰先発要員で獲得する、投打のバランス的には最高のトレードだ。
もちろん、寺原のその潜在能力には大きな期待を寄せていただけに寂しくもある。だが、それも登板機会を得てこそ。
双方のチーム事情を考えるに、寺原にとっても大きなチャンスを得るトレードだと思う。


頑張れ、寺原!

ようこそ、多村!

2人の野球人生に幸あれ!

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