元気印と強い気持ち

  • HiRO
    2007年06月09日 17:03 visibility82

チームの窮状に川崎宗則が志願のスタメン復帰。
まだ、ファームで2試合にDH出場したのみ、守備にはついていない。でも、ショートという内野の要にあってチームを引っ張る宗則の存在は大きい。その存在感と気持ちの強さを買って、まだ調整が万全ではないことを承知の上での、1番ショート、スタメン起用。

まだ、足の状態もあり全力疾走ができないが振れば塁に出る「打ち出の小槌」大村を溜まったランナーを帰すポイントゲッターとして6番に起用し、2番には本多。
宗が不在の間、2番として本多が十二分に機能したからこそのオプション。

Carp先発、ルーキー左腕の青木の立ち上がり。先頭のその宗が四球を選ぶも、本多が2球連続でバント失敗、結局、遊ゴロゲッツーで初回のランナーを活かせず。

対するCarpも、ガトームソンから先頭梵にいきなりヒットを許すも、すかさず牽制アウトに。

両チームとも2連敗で迎えた今のチーム状態を象徴するようなスタート。

Carpのルーキー左腕青木。
130km/hちょいのストレートに、80km/h台のスローカーブを駆使した投球スタイルに、ボールを持った左手を身体で隠し胸元から小さく引き上げる、そのコンパクトなテイクバックのピッチングフォーム。まるで星野伸之を彷彿させる。

雷雨による2度の中断。
踏み出した左足が滑るマウンドコンディションに、ガトームソンのピッチングが狂わされた。
4回裏、新井にヒット、前田には四球。左打者のアウトコースへのボールがすっぽ抜ける。続く栗原の打球はライトのポール際へ。福岡ドームなら絶対に入らないであろう打球。だが、ここは広島市民球場。ライトスタンドへ吸い込まれる3ラン。

5回裏、喜田のセンター前ヒットかと思われた打球。宗がベースの後ろへ回り込み追いついたか、と思いきや2塁ベースに当たって逆方向へ。それに機敏 に反応し、滑りながらキャッチ。宗のファインプレー。あの打球に追いついただけでもファインプレーだが、さらに方向が変わった打球への反応が抜群に素晴ら しい。
こういうプレーで流れを引き寄せていきたい。

降りしきる雨。5回を過ぎ試合は成立した。早く点を獲って追いつきたい。
宗のファインプレーの直後、6回表、王監督が仕掛ける。8番山崎に代打田上。9番ガトームソンには代打ブキャナン。そのブキャナンがアウトコース屋や甘めのボールをライト方向へ。こすったような打ち方だったがライトスタンドへ。8号ソロで反撃の狼煙。
その直後に宗の打席。直前にファインプレーをしただけに、ここで出塁するようなことがあれば、一気に流れはHawksへ。そう感じていたのか、レフト ファールゾーンへのフライに気迫のダイビングを見せる前田。結局、宗は三振に倒れたが、前田の勝ちへの執念を感じさせる。Carpも必死だ。


7回の表。先頭は多村。1-2からの4球目、アウトコースのスライダーを右方向へ。9号ソロ。ベースを廻る多村の表情に気迫がみなぎる。どっかで見たこの表情......WBCだ。

これで青木は降板。代わったマルテから小久保がライトへの2ベース。ここで王監督が動く。アダムの代打に柴原。ライト前タイムリー、同点!
今日は王采配がピタリと当たる。

だが、この直後。宗同様、この日1ヶ月ぶりに復帰の嶋に、6回からガトームソンの後を継いだ佐藤誠がレフトスタンドへ流し打った勝ち越しHRを被弾。
同点に追いついた直後に勝ち越し弾を浴びるというHawksにとっては嫌な展開。

8回、代わった林から、この日は山崎の代打として途中からマスクを被る田上がセンター前ヒット、佐藤誠の代打本間のライト前ヒットで無死1、2塁。ここで宗は送りバント。が、Carp林のフィールディングがいい。3塁に送り3塁封殺。
1死1、2塁となってマウンドには右のサイドスローの梅津。
本多に代わって途中出場の仲澤がキャッチャーフライに倒れ2死。多村が打席に入る。打てるときの、穏やか、かつ自信に溢れた表情。その初球、レフト前へ。2塁走者がホームイン、再び同点に追いつく。
なおも、2死1、2塁で、信彦を迎えるこの場面で、Carpは守護神永川を投入。Carpもこの試合を落とすまいという執念の継投。が、充分な準備ができ ていなかったのか、永川のフォークが全て高めにすっぽ抜ける。初球ストレートの後、フォークを続けるが入らない。インコースへのフォークがワイルドピッチ となり、走者がそれぞれ2進、3進。2-3のフルカウントからインコースへのフォークはボール。2死満塁。
信彦には初球ストレート以外は徹底してフォークだったが、ストライクが入らない。一転、小久保へは全球ストレート勝負。何処でフォークを放るのか。が、1 -3となってフォークは考えにくい状態に。5球目は低めへのストレート。打球が三遊間を抜ける。2人が還るレフト前への2点タイムリー。
多村の同点打から信彦が繋ぎ小久保の勝ち越し打とTMK砲が繋がり、嫌な流れを振り払う。

その裏、セットアップを託されたのは水田。Carpは2番からという好打順。東出の、1、2塁間抜けようかという打球を倒れ込みながら本間が好捕。が、1塁はセーフ。両チームの勝利への執念を感じさせる好ゲームだ。
代打の廣瀬が2ストライクから外へのスライダーについてくる。最期は外への真っ直ぐ。2ゴロ、ゲッツー。
4番の新井には、初球、外一杯のスライダー。高めに1球外し、3球目インハイの真っ直ぐをファールさせる。アウトローへのスライダー、がボールに。もう1 球アウトローへのスライダー、新井がファールに。再び高めの吊り球。ファールでついてくる新井。真っ直ぐをインハイに1球外し、2-3となって8球目もイ ンハイへの真っ直ぐ。これもファール。9球目、田上はおそらくアウトローへのスライダーを要求したのだろう。が、これが高めへ。だが、おそらく打者の意識 としては、インハイへの真っ直ぐを続けてくるか、外へのスライダーか、という状況に高めに抜けたスライダー。新井には一瞬、また高めへの真っ直ぐに見えた に違いない。ハーフスイングで三振。見応えのある新井と水田−田上バッテリーの攻防だった。
素晴らしい水田のセットアッパーとしての投球。

9回は当然馬原。珍しく(苦笑)3人でピシャリ。
勝った瞬間、宗則の「よっしゃっ!よっしゃっ!」という嬉しそうな声がTV越しにも聞こえてくる。宗則の底抜けに明るい笑顔に小久保の爽快な笑顔。マウンド上に笑顔が集まる。

6、7回の2イニングを投げた、佐藤誠に2勝目。ガトームソンは降雨による中断と滑るマウンドにペースを乱した4回の投球だけが悔やまれる。

3回を追いかける苦しい展開、しかも同点に追いついた直後に再び勝ち越しを許すという、流れを掴めずにいたチームにとっては苦しい展開だったが、8回に中軸が繋いで終わってみれば会心のゲーム。

宗則にヒットはなかったが、5回のファインプレー、そしてちょこちょことマウンドに声を掛けにいくその姿と、野球ができるのが嬉しくてしょうがないといったオーラを全身から発散させる溌剌としたプレー。

小久保のいうように、チームの元気印。
「ああ、Hawksというチームにとって、いつの間にやら、こんなに大事な選手になとったんやなぁ」と改めて実感。

ゲームを通して、チーム全体の勝とうとする強い気持ちをヒシヒシと感じた。王監督の打つ策もピタリ。いい感じにチームがまとまってきた気がする。
ここは、明日もう一つ勝って波に乗りたいところ。
大隣の初先発、愉しみやね。

chat コメント 

コメントをもっと見る

通報するとLaBOLA事務局に報告されます。
全ての通報に対応できるとは限りませんので、予めご了承ください。

  • 事務局に通報しました。