ユース構想の話。
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DIME
2009年01月27日 22:58 visibility139
すみません、なんかすっごい文章が冗長です。やっぱりなんかおかしいなぁ。
っていうか、これで説明になっていますかねえ。1〜10までを説明しなきゃいけないのに、5〜8ぐらいをすっ飛ばしてるような気がしてならないのですけど。
質問が出ていたことをいくつか。まずはユースの必要性について。
まずは記事引用します。これが一番良い感じだったので中日スポーツから。
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球団にユース構想 アマ選手の流出阻止へ
巨人・清武英利球団代表(58)が22日、大阪市内のホテルで行われたプロ野球労組選手会との事務折衝後、近い将来のユース設立構想を披露。田沢問題に端を発した海外流出阻止に関して球団の下部組織の必要性を強調した。
新井選手会長ら選手会幹部と約2時間の協議で、清武球団代表は自らの持論を展開した。それがプロ球界初のユース設立という構想だ。
「自前の育成組織がないので今はほかに(アマ球界)頼っている。その間は海外流出を防ぐことはできない。自前の育成組織をつくるしかない」と同代表。詳細こそ明かさなかったが、球団側も今後は高校生レベルでの下部組織を形成。そこから吸い上げる形で、ドラフトを経由せずプロ野球選手を生み出すシステムを構築するという。
プロ球団に下部組織ができれば、自前の有望なアマ選手と早期の段階でプロ契約もでき、海外流出を阻止できる可能性も高まる。
同代表は「ユースの設立は現実に近づいていると思っている。(選手会の)石渡弁護士もそれはいいことだと言ってくれている」と力説。選手会側も一定の理解を示しており、ユース設立の実現に向けて動きだすことになりそうだ。
ただ今後の課題は、高野連を筆頭としたアマ球界とどう折り合いをつけていくのかどうか。いずれにせよ、同代表が球界に一石を投じることになるのは間違いない。 (伊藤哲也)
2009年1月23日 中日スポーツ
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Toraoさんもピンとこないと言及されていました が、何故ユース設立が海外流出防止に繋がるのか、っていう質問でした。
直接的には海外流出防止には繋がらないでしょう。ただ、方向性としてどちらに進むべきか、そしてまずどこから始めるか、っていうところでのユース設立が海外流出防止に繋がるっていう主張ではないかと思います。
まず、基本的なことですが、たとえ何をしようとも、選手個人がNPB以外の球団に所属したいと望んだときにそれを防ぎきることはできません。
それは憲法とかで保障されている自由のレベルですから。たとえ何をしようとも個人の自由は制限できない。
だから、「日本の選手がNPB以外に所属することを防ぐ」という手段を取ることはできません。そのまんま字義通りの意味で、「日本人野球選手が日本以外のプロスポーツリーグに所属することを防ぐ」方法はありません。
そういう意味では、清武氏の提案が海外流出防止に繋がるかと言えば繋がらない。繋がるはずがないんです、そんな方法はないのですから。
現実的には、選手が流出することを前提として、防止策は考えられなければなりません。
で、現在の「選手流出」の問題点はどこにあるか。私が思う一番の問題点は、もし仮に流出してしまったとして、その補償が全くないって点です。
現在の海外流出は、その選手が生み出すであろう利益が、日本野球界に還元されるシステムになっていないということです。
スポーツでは、選手が市場を生み出し、市場が選手を生み出します。
選手が市場を生み出すのはわかりますよね。市場が選手を生むというのは、基本的にそのスポーツが盛んに行われれば行われるほど、優れた身体能力を持った人間がそのスポーツを行う確率が高くなり、結果として良い選手が出てくる可能性が高くなるってことです。
鶏が先か卵が先か、という議論の結論はともかくとして、一度のサイクルに乗ってしまえば、選手は市場から生まれていると言うことができます。
一万人に一人の選手が出てくるということは、逆に言えば、その選手を生み出すためには一万人の野球人口が必要ということです。一万回の投資をしたからこそ、その選手は出てきた。その選手は日本球界が一万人分のコストを支払った結果、製造された商品です。
で、そうやって生み出された商品が、販売(つまり活躍)されることで投資を回収し、利益を上げ、再投資される、っていうのがあるべきサイクルです。
で、このサイクルを円滑に動かしていくためには、選手から市場というお金の流れは欠かせません。ところが選手の海外流出というのはここを大きく阻害します。
例えば、今回の田沢のような流出、これはどう表現できるか。
「日本野球界」がコストを支払って製造した商品を、ただ同然で持ち去られて、その商品が生み出す可能性がある利益は「外の世界」が得てしまっていると表現できます。
奴隷と農場主みたいなものですよね、奴隷が作るところだけは頑張って労働を負わされながら、出来上がった商品だけは持ち去られていく、私には現在の状況はそう見えています。
例えば、野茂がしたようにクラブチームを作るとか何とかして野球界に還元したりしたとしても、そんなものは彼が生み出したであろう利益に比べれば、微々たるモノです。彼という商品が生み出した利益「X」の一部に過ぎない彼の取り分「Y」のさらに一部である「Z」でしかないんです、どう考えても「Z」が「X」を大きく下回らないはずがない。
現状の海外流出の問題点はそこに尽きます。極論を言えば、その選手が生み出すであろう利益を日本市場が正しく受け取ることさえできれば、その選手がNPBにいようがMLBにいようが「日本野球界」のためには問題はない。
問題は利益をちゃんと受け取れるかどうか、です。MLBからみれば、日本市場に対する利益の再投資をできるだけさけ、逆に日本市場から生み出される商品だけを回収するのが最も理に適っています、現在彼らが行っているのはそれです。
それが生み出すことは何か、日本野球界から生まれるお金と商品は日本野球界の外へと流出し、それは返ってきません、当然ですが、日本野球界全体は先細りするでしょう。
MLBからすれば痛くもかゆくもありません、彼らは日本以外にも選手の供給源を持っていますから、奴隷は使うだけ使って、次の奴隷に買い換えるだけです。
この現状を打破するには、どうするのか。最初に示したように、商品が単なる商品でなくて、権利と意志を持った商品ですからそれを尊重しなければならず、尊重するのであれば、商品を持って行かれることを防ぐ事はできません。
だったらどうするか。商品を持って行かれることになったとしても、最低限その商品を作るために必要なコストだけでも回収しなければいけない。合格ラインまで届かせるとすれば、その商品が生み出した利益がちゃんと還元されるような仕組みを作らなければいけない。
ここまで考えたときに、ユース設立っていう考えが出てきます。
田沢のときにちらっと書きました(田沢の件)が、NPBはプロしか管理していません、アマ球界にいる選手はそもそも「NPBと無関係の他人」です、その彼らに何ができるかって何もできるはずがない。
逆に言えば、ここを解消して、ちゃんと日本野球界が商品が生み出されるまでに支払ったコストを回収しようとするならば、他人であることを解消しなければいけない。
もちろん、アマチュア選手にも所属している組織があるのですから、その組織がコストを回収すれば良いではないかという話にもなるのですけど、現実的にはそれは難しい。なぜなら彼らが「アマチュア」だからです。
建前上彼らは野球によって収益を上げることを目的としていないのですけど、その選手個人にかかった以上のコストを得ることはミクロで見れば収益を上げるということになってしまいます。マクロで見れば球界全体で支払ったコストを得ているはずなんですけどね。
これは別に野球に限った話ではなくて、スポーツにおけるアマチュアがトップであることの限界点です、多くのスポーツがプロスポーツ化を目指すのは、このあたりが理由になります。
数少ない完成した商品で、未完成の商品のコストまで回収しなければいけないのですけど、そうするにはアマチュアであることは壁になります。「アマチュア」ではコストを回収する事ができません。
もっと問題なのは、コスト以上のものを回収することもできないことです。運良くもの凄く稼いでくれる大ヒット商品がうまれたとしても、アマチュアである限りその商品が作り出した利益の取り分に必ず上限ができてしまいます。上限以上の部分はそのスポーツ界が取ることはできず、他の誰かがさらっていくのを指をくわえて眺めていることしかできません。
もしアマチュアでなければ、その大ヒット商品が生んでくれた利益をしっかり回収して、そのスポーツ界に再投資できます。
だから、ユースを設立するって話になってきます。
日本野球界というのが一つの組織になっていないがために、製造コストだけを支払いながら、その隙間から完成品を持ち去られていくというのが、「流出」です。
持ち去られてしまうのは防ぎようがないので、じゃあ次善の策として、持ち去られてしまうとしても、その商品を作った立場として当然得るべき取り分を受け取る、その具体策がユース設立です。
ユースを設立することっていうのは、NPBの下に日本野球界全体の裾野を吸収することを最終的な目的としているのは明らかでしょう。それは間違いなく、「流出防止」の具体策になります、というかほぼ唯一の解決策です。
その先に、海外流出を防ぐ可能性はあります、ゼロじゃあないです。製造した商品が生み出した利益を回収して再投資できる環境をちゃんと作っていれば、つまりお金がちゃんとあれば、どうにかできる可能性があります。
ただ間違いなく言えることは、現状の田沢のような例では、プロ野球が海外流出を防ぐ可能性がゼロであるということです、他人に口を挟めるはずがない。そしてお金が戻ってきません、それでは魅力を生み出すことはできないでしょう。
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ぶっちゃけて言えば、ユースを設立するっていうのは、現在のアマチュアが存在している領域を、プロ側が浸食しようとしているって事に他なりません。ただ、そうしなければ、日本野球界の先がない。
本来ならば、こんなやり方ではなくて、既存の組織とうまく話し合って日本野球界が統一されるようになっていくべきです、理想としては。
でもその理想論をかかげたまま、それこそ私が生まれる遙か昔から何にも進歩できていないのが現在の日本野球界です。
そんな理想論じゃあ現実は動かない。今まではそれで問題がなかったから理想論を掲げるだけで何もしなかったんですけど、もう現実が動くのを待っていたら、つぶれてしまいかねない。
だから、実力行使が始まった、ってことじゃないですかね。
現実として、アマチュア組織、彼らが日本野球界全体ではなくて彼らだけの利益を考えるのであれば、MLBであろうがNPBであろうが変わりません。彼らの世界がアマチュア世代だけで完結している限り、これは問題にならないのです。
だから、実際問題、日本野球界の統一問題を解決するには、プロ側の実力行使しか道はないと思います、これしかないです。
私は選手が海外に流出していくことが問題だとは思いません。彼らがそれが良いと願うのだったらそれを受け入れるしかないでしょう。
ただ、それを受け入れたとしても、日本野球界が存在し続けられるようなシステムを作ることは、日本野球界の課題であり、義務です。
我々ファンも、日本野球界に属する人間です。私たちが野球を愛するのであれば、その愛する野球を次の世代に受け継がせていく義務があります。
幸運とか偶然とか他の人間の目こぼしとかでなく、ちゃんと自立して存続し続けていかせるには、ユース設立、そしてその先にあるであろう流れは必須でしょう、少なくとも私には他に有効な策は思いつかない。
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蛇足ですけど。
今の日本野球界の最大の病巣は高野連です。これをどうにかしない限りには先はないでしょう。
彼らが悪いんではないんです、高校野球だけを区分けしてそこで世界を完結させるっていうシステムに問題がある。そのシステムの上で野球界全体のことを考えたとしても、それは野球界全体の事にはなりえない。
「日本野球界」の中から「高校野球」だけを区分けし、高校野球だけの最大化をはかろうとすれば、それは日本野球界の最大化をはかることと、往々にしてバッティングします。
バッティングしたときに「野球界全体のために」って理想論で動けるか、そう簡単にはいきません、現実として動けていません、高野連はいつでも“正しく”高野連の最大化のために動いています。
そこに「崇高なるアマチュアリズム」というエラー要素がもう一つ加わっています。それでうまくいくはずがないんですよ。
何が正しいかとかどこに理念があるかとかでなくてね、現代化し続け、変化し続けているスポーツ界でこれからも野球を存続させていくためにはどうすればいいかと考えたときに明らかにシステムとして合わないのは高野連の存在だってこと。
で、個人的には攻め落とせると思うんですけどね、高野連。3枚抑えてしまえばいい、「甲子園」と「私学」と「NHK」。
でそのうち一番大きな1枚は既に持っている。甲子園は公共の施設じゃあなくて、親会社のうちの一社が持っている、これはすごい大きな切り札だと思うんですけど。
あとはNHK、つまり露出さえ抑えてしまえばそれで済むはずなんですが。露出さえ確保してしまえば、私学はそれを目的としているのですから勝手に付いてくる。NHKが落とせないんでしょうかねえ。
まぁ、この話はあんまり書きたくないんで、このぐらいで。
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- 事務局に通報しました。
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