大田泰示の話とドラフト目論見
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DIME
2008年10月15日 09:26 visibility684
去年のドラフトが終了時点から、今年のドラフトについての方針というのは私の中では確固としたものがありました。
そして今年の現有戦力評価を済ませて、じゃあドラフトにってなったときに最初に書き出すのもそこからだと決めていました。
それが以下の文章です。
「今年のドラフトの最大の目標は上位指名ではありません。巨人を志望する長野と大田を下位で指名することです。大田が3巡、長野が4巡ぐらいであれば申し分ありません。後はそれに引き続いて上位指名枠で上位指名枠を消費する価値のある選手の獲得を目指せば良いでしょう。」
で、この本文の後には「しかし、大田は高校3年生の時点で予想外に評価を上げてしまったのでいまさら下位で囲うどころか、上位で確実に指名することすら危うくなってしまったので進学もやむをえません」と続くはずでした。
ところがこれを覆す報道が今日入ってきました。
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巨人、ドラ1に“タツノリ2世”大田…東海大相模の65発大砲
巨人が、30日のドラフト会議で“タツノリ2世”の異名をとる高校球界NO1スラッガー、東海大相模・大田泰示内野手(18)を1巡目指名することが14日、分かった。
高校通算65発を誇る強打者は系列の東海大へ進学すると思われたが、15日締め切りの「プロ野球志望届」を提出する意思を固めた模様。巨人は将来の主砲候補として高い評価をしている。大田は、他球団が指名した場合には東海大に進学する方針だ。
(2008年10月15日06時01分 スポーツ報知)
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長野、巨人以外ならホンダ残留…調査球団に意向伝えた
巨人が高校球界NO1スラッガー、東海大相模・大田泰示内野手(18)とともに狙うホンダの強打者・長野(ちょうの)久義外野手(23)は、意中の巨人以外に指名された場合、チームに残留する意思を固めている。この日までに西武を除く11球団から調査書が届いたが、各球団には長野サイドの意向が伝えられている。
長野は日大4年だった06年の大学・社会人ドラフトで、巨人入りを熱望。日本ハムの4巡目指名を拒否し、ホンダに入社した。昨年11月のW杯(台湾)では日本代表として、打率4割5分7厘とチームNO1の好成績を記録。社会人ベストナインに輝くなど、レベルアップを果たした。巨人も9月の都市対抗で、清武英利球団代表(58)が東京Dに視察に訪れるなど、走攻守3拍子そろった即戦力に熱視線を送ってきた。
また、長野が尊敬する“ミスター社会人”こと三菱ふそう川崎の強打者・西郷泰之内野手(36)が来季、ホンダに移籍することも「巨人以外なら残留」とした要因の一つだという。
(2008年10月15日06時01分 スポーツ報知)
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話がそれますが、三菱ふそう川崎の西郷選手の移籍先はホンダだったんですね、関東の強豪チームの親会社に転職なされるとは聞いていたのですが。ご活躍を祈念します。
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ほんとうは現有戦力評価を仕上げてから書かなければいけないことなんですが、自分がのそのそしていたのが悪いので、タイムリーな話にあわせるため、野手編のドラフト関連の結論だけ先に書きます。
今年の野手の状況は、「一・三・左」という比較的強打者を置きやすいポジションに存在している同世代の三人の選手のみで"打線の中核”となった打線を形成しています。この状況は「意図的に破壊」していかないと、数年後に破綻してしまう危険な状態です。
この破壊方法としては2つあります、その1は「"一・三・左”にそれぞれの選手を上回れるような可能性のある選手を獲得して育成する事」です。その2は「3つのポジション以外の比較的強打者を置きにくいポジションからどうにかして彼ら並みの強打者をひねり出す事」です。
現在の巨人の状況としてはその2を担う選手はいます、高橋由伸と阿部慎之助です、ただし高橋由伸は年代が近いので、事実上は阿部慎之助のみです。
そして今の2軍でのSTATSを見る限り、田中大二郎も中井大介も隠善智也も加治前竜一も、1軍でのSTATSを見る限り、坂本勇人も亀井義行も、"打線の一員”ではあっても"打線の中核”となるような結果は残せていないんです。
それが、彼らが中核となれる可能性を否定するものかといわれれば決してそうではありません、まだまだ十分そうなれる可能性は秘めています。
しかし、現実として中核となれるといえそうな結果がまだひとつもないというのも厳然たるものとしてそこにあるのです、そしてそれはなかったとしたら非常に困ることなのです。
その中核がなかった巨人が、他から今の3つを集めてくるまでどういう惨状になったかということを考えれば非常に困ることであることがすぐにわかります。
よって野手に関しては「打撃能力」をその評価基準として基準を満たす選手に対しては上位指名枠という資源を積極的に消費するべきです。
ってところがドラフト関連の結論です。
そして、その中核選手候補を獲得するための方策として、「その1」の最善の選択肢が大田泰示であり、「その2」の最善の選択肢が長野久義でしょう。
だから、大田泰示も長野久義も、「上位指名枠」という資源を消費するだけの価値は十二分にあります、これに否やはありません。ただ他との兼ね合いも考えるとできればどちらか一名は資源を消費せずに獲得したい。
今年は2巡目で11番目に指名することになります。このとき気をつけなければいけないのは、3巡目と4巡目の間に大きく間が開くということです。逆に2巡目と3巡目には2名しか挟まりません。
なので「上位指名枠」という表現は、3巡目までに使用するのが妥当であると思います。よって、個人的には3巡目までを「上位指名枠」とみなしています。
そういう事情からできれば長野は4巡で指名したい。
そう出来たときに、残りの2枠を同使うかと言えばまずは高校生右腕に1枠、もう1枠は左腕、これはその時点で残っている中で一番評価の高い選択肢を、将来性の左腕でもいいし即戦力の左腕でもいい。
逆に大田泰示はここまで評価が高まってしまった以上、1巡で指名することはやむを得ません、そこまですべてが思い通りにいかないでしょう、しっかり囲い込みができるのだとすれば、1巡を消費して指名することで落ち着かせるべきです。
長野に関しても、中堅・若手外野手で突出した長打力を示しているのが矢野ぐらいですから、下位での指名が難しいなら上位で指名することになっても仕方ないだろう、ぐらいにまでは緩めています。もうちょっと野手に余裕があれば、4位で取れなければもう一年と言っていたんですけどね。
もし仮に長野を3巡までに指名するとすれば、削るのは左腕のほうです。今年は高校生左腕も名前がいつもより多く出ていますし、去年と同じリスクをとる事になりますが、指名順を一段下げて残った左腕を確保するという選択でしょう。
世間一般のドラフトでの補強ポイントとまったく合致しないのは、即戦力先発投手でしょうか。私はこれはまったく巨人の補強ポイントではないと思っています。
これまでにずっと書いてきたとおり、今年は「先発に不足して苦労してローテを回していた」のではありません。「他に補充する選択肢があったにもかかわらず、能動的に少ない人数でローテを回すことを選んだ」のが実態です。
にもかかわらず結果だけを後から見て、「これはローテが足りなくて苦労したんだな」と評価するのにはまったく持って賛成できません。
最低限、自前で持っている先発候補にすべて失格の烙印を押してから、先発の補強に入るべきです。烙印を押すためにはそれだけのイニング数を与えて判断するべきです、それをするだけで来年の登板機会は精一杯のはず。
もし仮に先発の補強を今年するのだとしても、年齢バランスを考えればドラフトではなく、そのほかの選択肢から検討すべきです。
よって、今年のドラフトで上位指名枠で即戦力の先発投手を獲得することは賛成しかねます、もちろん下位指名で即戦力をと言うのであれば否定はしません。
大田が入ってくる。これによって一番妄想が膨らむのは、これで安心して中井大介をセカンドにまわせるって事です。
今年一年経験させて、これから再度の漬け込みに入れるべき坂本勇人とあわせて、将来性のある内野陣がそろうのだとすれば、これほど楽しみな2軍もそうはありません。結局2軍ですね私。
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- 事務局に通報しました。
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