今年初めてペイトリオッツの試合を

  • DIME
    2008年01月21日 13:59 visibility1094

満足に見ることが出来ました、ポストシーズンになってからようやくって言うのが泣けてきますが。

2001年〜2006年の6シーズンで優勝3回、プレーオフ圏外だったのはその間1度、そして今年はレギュラーシーズンパーフェクトですから、他の競技ならともかくこれだけ戦力均衡を押し進めているNFLにおいてのこの結果は十分ダイナスティと呼べるだけの、普通ならありえないほどの圧倒的な強さです。
つまり、それを逆に言えば、アメリカを中心としたスポーツリーグで言われてる、「戦力均衡によってリーグの面白さを拡大する」というアメリカ式のビジネスモデルの限界がそこに見えているってわけです。

その理由としては、まず第一にビル・べリチックの戦術的卓越。いろんなスポーツを見ていて正直、“コーチの能力”という要素が“運”とか“選手個人の資質”などの要素よりも勝敗に関係するのはアメフトぐらいだと思います、もっと言えば、他のスポーツはその要素は他の2つの要素に勝るどころか並ぶことさえ難しいでしょう。
そうなっている理由としては、戦力均衡が達成されているからというのもあるでしょうし、アメフトと言うスポーツそのものがまだ発展途上にある、他のスポーツでは年月の積み重ねによって作られてきたある程度の“常道”があるのですが、どうもまだアメフトはその域にまで達していない気がします。
その域にまで達していないのは決して悪いことではなくむしろ喜ばしいことなのですが。全ての選択において「常道」が決まってしまえばそれは勝負の前から既に勝敗が決定すると言うことでありもはやスポーツでも競技でもなんでもなくなってしまうんですから。
「井」の字を書いてやるマルバツゲーム(三目並べ)なんか完全にそれですね、ミスさえなければ引き分けにしかならない。引き分けにしかならないゲームを何故しようって言ってくるのか、それの何が面白いのか子供の頃からわからなかったです。ストレスを溜めるため?それとも我慢比べ?と思ってました。
話を戻して、そんな特徴があるアメフトにおいて、ベリチックHCの戦術の卓越は他のコーチに比べてひとつ抜けています、単純にその時点において選択できるデザインプレイの数が多いでしょうし(実際に全てのプレイをするわけじゃないので多いと断言は出来ませんが)、その多くのデザインプレイの中から相手の予測の裏をかくプレイを選択できるだけの(フィールド上ではなく脳内の)視野の広さもある。

んで、もう1つは戦力均衡の為に設けられているサラリーキャップ、その限られた総年俸の効果的な活用です。戦力均衡を前提としたビジネスモデルの限界はここにあらわれています。
細かく言うと、その活用の特徴としては2つあって、1つには試合において大きな影響力を持つ一部のポジションの選手にだけ徹底的にお金をかける、或いはお金をかけた選手に徹底的に合わせて戦術を作り出す、それに長けていますし、そうできるだけの競技特性(一部のポジションの影響力が強い)をNFLが持っています。
2つ目としては、QBのトムブレイディの年俸が抑えられているからです。NFLの場合は複数年契約が多く、年俸以外の契約金等が高かったりするので一概に比較はしにくいのですが、やはり他のQBと比べれば明らかに安い。
なんでそんな安い金額になっているかと言うと、何年だったか忘れましたがその実力が認知された辺りで結ばれた長期契約、このときブレイディが「金額よりもチームに残ることを優先する」みたいな事を言ったはずなんですよね。で、実際にその言葉に見合うような契約内容に落ち着いたと。
前にも他の日記で、戦力均衡を達成すると言う目的において、「5億の価値の選手に10億払う」事と「10億の価値の選手に5億払う」ことはベクトルの向きが逆なだけで、戦力均衡に及ぼす影響は全く同じだと何度か書いていますが、そう考え始めた発端がこのブレイディの契約でした。
現在もどこまで本気かは読みにくいですが、日本人に良くあるような「できるかぎりチームに残りたいんだ」って発言を繰り返しているのは確かなようです、クルーンやラミレスの例のように「出来る限りチームに残りたい」と「どんな条件であろうが呑む」というのが少なくともあちらの文化圏では全く違う意味なのは間違いないでしょうからほんと何とも言いがたいんですが。
ただ現在の契約がどう考えてもブレイディの能力に見合っていないのでその分だけ戦力均衡にマイナスに作用しているのは間違いないと思います。

まぁNFLに関しては詳しく勉強していないと言うか、はまり易い自分の性格はわかっているので出来るだけSTATSとか分析とかは敢えて避けてるところでもありますから、ぼろを出さないうちにこの程度にしておきます(笑)
なので、どこまで正しいかはあんまり信頼しないでください、結構ライトなファンですから。

結局、こういう作用が発生しないようにより戦力均衡を押し進めるとすれば、そうやって安い値段で折り合おうとした時に、他球団がより高い値段でオファーすれば、そちらを選ばざるを得ないとかぐらいしか解決手段は思いつきませんが、その手段を使うと、今度は駆け引きで選手年俸が天井思いっきりつけぬきると思うので、結局は本末転倒になるでしょうし。
だから、「理想的な形で戦力均衡が達成されている」と良く紹介され、球界問題においてよく引き合いに出されるNFLですが、今示しているのはむしろ「戦力均衡」策の限界です。
これからどういう対応がなされるのかはわかりませんが、その辺りは非常に気になっています。

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私などからすれば、「もっとも戦力が充実して強いチーム」という好みが合って、特定のチームに個人的な思い入れが無いので、大混戦になるより、頭1つ抜けたチームがいるほうが応援しやすいし思い入れもしやすいので楽です。
ところが、これが逆に、帰属意識が高くて自分のアイデンティティの一部としてどっかのチームが存在していたとすれば、今のNFLなどはストレスがたまってしょうがないと思います、どんだけ応援してもお金を落としても強くならないんですから。

逆に言えば、たとえ強かろうが弱かろうが、地元のチームを応援する、地元への帰属意識とチームがそのコミュニティのアイデンティの発現となっているからこそ、戦力均衡と言うビジネスモデルは成立する、と私は思っています。
そういう「チームの勝敗に拠らない地元からの応援」があるからこそ、「チームがより強くなる為の努力」をある意味不当に制限していたとしても、それを受け入れてくれると言うか、そうであっても自らのアイデンティティの一部ですから応援せざるを得ない、そう納得するしかない。
そういう市場としての特性があるからこそ、戦力均衡のビジネスモデルと言うのは成立すると思うんですが、じゃあ日本にそういうのがあるかと言えば、そうでも無いような気がするんですよねえ。
何故かと言うと、日本ではそういう「地域」に所属するという帰属意識が低いし、低くならざるを得ない。
人口の半分以上が三大都市圏に集中し、そこに本来ならばそれぞれ違った「地域」をもっているはずの人間がなだれ込んでいるので、その“地域の坩堝”とかした都市圏でコミュニティを成立させるためには畢竟そういう「地域」への帰属意識と言うものをお互いがあまり持たないようにして交わりあわないと成立しない。
結局、今の日本のそういう偏った人口分布が続くかぎり、地元への帰属意識が前提となるようなスポーツの作り上げ方は限界があると思うし、地域が確立している欧米とは事情が全く異なってくる。
まずは地域から作らなきゃいけないんですよね、その後にスポーツ。或いは地域を作るためにスポーツを使うって言うのもありですけど、まぁどっちにしろ簡単な道ではないでしょう。
だから「ヨーロッパで成功している」も「アメリカで成功している」も「日本で成功する」という理由にはならないと思うんですよね、日本には日本にあわせたビジネスモデルを作らなきゃいけない。
そしてそのビジネスモデルが戦力均衡を組み入れた方が望ましいとはとても思わない、その為には日本に決定的に欠けているもの(地域への帰属意識)を作らなきゃいけないと言う、ある意味余計な労力が必要になりますから。

まぁもっとも「地域」の確立というのは日本社会全体が抱える構造的な問題で、解決しなきゃいけない問題でもありますから、それに取り組むことは大事ですし、「地域」を感じさせる手段としてスポーツと言うのは多くのメリットがある上策だと言われますので、それに取り組むことじたいはいいんでしょうけど。
ただそれらの仕事は本来ならば公共機関なり地域のボランティアなりによって取り組むべき課題、逆に言えば、そこまでスポーツに全部おわせるのは無理、ある程度そういう支援が無いと成り立たないんですけど、じゃあそういう支援をもらえるかと言えば、支援の貰い方が異常に下手なNPBでは難しい。

考えれば考えるほど深みにはまっていく問題ですねえ。

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